■「2人目は?」に吐き気が
33歳で結婚、35歳でひとり娘を授かったシュウコさん(39歳)。夫の両親が近くに住んでいるので、どうしても人の手当がつかないときは保育園に迎えに行ってもらうこともある。
「もっと頼ってくれていいのよ、が夫の母の口癖。でも私は極力、頼りたくないんです。というのも、彼女、最近、『2人目は?いつごろを考えてるの?』がもうひとつの口癖になっているから。私はひとりでいいと思っているし、夫はなりゆきまかせでいいじゃんという感じなんですけどね」
仕事を辞めずにがんばってきたのも、子育てだけが人生ではないと思っているから。かなり困難な出産だったため、もう妊娠したくないという気持ちもある。
「でもそういうことを正直に言えない空気があるんですよね。出産は絶対的にいいことだとみんな思っているから。夫の母だって、私が大変な思いをして出産したのを知っているくせに、よく平気で2人目はって聞けるなあと思うんです」
つい先日、夫の母の誕生日で、シュウコさん一家と夫の妹一家が実家に集まった。夫の妹には3人の子がいる。
「そこで夫の母が、『シュウコさんも2人目、頼むわね』と言い出して。私、それを聞いて吐き気がしたんですよね。思わずトイレに行って戻ってきたら、『ひょっとして……』と、夫の母が目をキラキラさせてる。『妊娠じゃありません、ストレスです』と言うと、『だから仕事なんて辞めて、2人目を作ったほうがいいわよ』って。いや、ストレスはあなたですって言いたかったけど」
そんなとき、知らん顔している夫にもシュウコさんは複雑な思いを抱えている。
■気にするなと夫は言うけど
夫は、「オレがあれこれ言うと、ますます母さんがいろんなことを言い出すから、黙ってやり過ごすほうがいいんだよ。気にしないで」としか言わない。
「とはいえ、歩いて10分くらいの距離に住んでいるわけだから、どうしても接点が多いんですよ。気にするなと言われても気になる関係だということを、夫は理解してくれない」
都合のつかないときは親を頼るのに、親の言うことには反発するのかと義妹が夫に言っているのを聞いてしまったこともある。
「めんどうくさいですね、夫の家族との関係って」
シュウコさんは顔をしかめた。だからいっそ、お金を出してシッターを頼んでもいいと思うのだが、夫は「他人に子どもを委ねたくない」の一点張り。
「育児とか介護とか、そういうものはプロに任せたほうがいいと私は思っているんですが、そのあたりも夫とは相容れない。子どもが大きくなっていけば解決すると今は自分に言い聞かせています。でもそうなればなったで、今度は介護の問題が出てくるでしょうし、一生、いろいろやっかいなことを抱えながら生きていくんでしょうね」
あきらめの境地に達したようなシュウコさんの言葉だ。
「それでもやっぱり、1度くらい夫にガツンと言ってもらいたいという思いは拭えないですね。夫が実家と私、どちらにもいい顔しようとしているところが気に入らないのかもしれません」