「女性向けの恋愛参考書」を謳うネットサイト『オトメスゴレン』が、『慰めになってない…振られた男友達を地味に傷つける一言9パターン』なるタイトルのコラムを配信していた。その「9つの一言」ってヤツを、とりあえずは以下に並べてみよう。
(1) 「見た目で判断しないでほしいよね!」と外見のマズさを暗に認める
(2) 「とりあえず仕事がんばろっか」と恋愛から距離を置くように勧める
(3) 「ツイてなかったってことで…」と適当な励ましでお茶を濁す
(4) 「あなた、素材は悪くないのに…」と遠回しにファッションにダメ出しする
(5) 「あなたには高嶺の花だったのかも」と身の程をわきまえるよう促す
(6) 「あんな子、振られて正解だよ」と女の見る目がないと断じる
(7) 「彼女があっちの男性を選ぶのも無理ないと思う」と相手の女性の肩を持つ
(8) 「ライバルが最強すぎたよね」と負けを認めるよう諭す
(9) 「大丈夫だよ、失恋には慣れているでしょ?」とサラリと言ってのける
「じゃあ、どういう一言をかけてあげるのが一番の正解なのか?」の明確な輪郭こそ、残念ながら同コラム中からは識別できなかったものの、どれもほんのりとした既視感がよぎる、(良い意味で)わりと“ありがち”なセリフばかり……ではある。
そもそも、男はなぜフラれたとき、同性の男に……ではなく、あえて女性に話を聞いてもらおうとするのだろう? 私が自身の経験から推測するかぎりでは、まず
「女性による同性目線から見た客観的で前向きなアドバイスがほしい」
……ケースが挙げられる。フラれた彼女を諦め切れないからこその“相談”であり、「男のピント外れで前向きなだけの雑感や励ましの言葉は、これからの行動の妨げにしかならない」といった発想ゆえ、そんなときは遠慮や躊躇なんぞ不要。とにかく「現時点で脈があるかないか」を男の口頭から得た情報のみを材料として冷徹に独断し、「脈のある・なし」を問わず、その根拠をなるべく具体的に淡々と述べればいい。一度、私の男友だちが、とある女性に「フラれた元カノとヨリを戻したい」と相談した際、「諦めるのは早いんじゃないかな? まだ70%くらいは脈アリだと思いますよ。だって、(フラれた後で)○○クン(←私の男友だちの名前)の誕生日にポストにプレゼント入れてくれてたんでしょ? オンナは顔も見たくない男に、そーいうこと、絶対にしませんから」と背中を押されたことがあるらしい。実際、彼女のジャッジを信じた彼は、傍目からは「しつこい」と眉をひそめられかねない再アプローチを元カノに泥臭くかけ続けたおかげで、めでたく復縁を果たすことができたという。まさに100点満点のアドバイスではないか。
あともう一つ、タチが悪いのは
「あわよくば、話を聞いてもらっている女性と付き合いたいと目論んでいる」
……ケースであり、正直なところ“フラれたてホヤホヤ”の男らは大半において、大なり小なりこうした“下心”を潜在下、あるいは露骨に抱いていたりする。「淋しい」「捨て鉢」「その場しのぎ」……などの感情が入り交じったうえで、女性に対して失礼極まりない話ではあるのだけれど、「誰でもいいから“代替”がほしい」という心理状態へと到っているわけだ。
「女性の前で失恋のつらさをメソメソカミングアウトしている姿に自己陶酔している」
……といった“歪んだナルシズム”に浸っている側面も幾分かはある、と私は睨んでいる。もし「その男と付き合いたい」のなら、それはそれで別にかまわないが、「そんな気は一切ない」のであれば、今回オトメスゴレンが提言する「フラれた男を地味に傷つける9つの一言」は、むしろ「フラれた男にぶつけるべき9つの名言」と差し替えるべきなのかもしれない。あんまし男を甘やかしすぎちゃあダメですよ〜(笑)。