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『花とゆめ』で問題なのは“絵柄”の酷似ではない。クリエイターが絶対にやっちゃいけないのは〇〇の模倣だ


出典:「花とゆめ」公式サイトより


『ねとらぼ』によると、少女漫画雑誌『花とゆめ』(白泉社)14号に掲載された読み切り漫画の絵柄が、「他作家に酷似している」との指摘があったとして、編集部が謝罪文をネット上に掲載した……らしい。もう少々、詳細を加えておこう。



 



ツイッターなどで、『花とゆめ』14号発売時から、読み切り漫画『ロマンスとバトル』の主人公が、漫画家・種村有菜さんの絵柄と非常に似ているとの指摘が多く寄せられ、それらの声を受けた編集部は、



 




「編集部が率先して先生の絵柄に近い方向へと誘導した結果」




……と説明。さらには



 




「本来なら掲載を中止しなければならない程、酷似していたにも関わらず、雑誌に掲載するという過ちをおかしてしまいました」




……と綴り、編集部の意識・認識の甘さが原因として謝罪した……という。



 



さて。同記事を読むかぎりだと、基本的には「別にそこまでへりくだった謝罪までせんでも…」というのが私個人のスタンスである。新人漫画家さんの絵柄が巨匠の誰だかに似ている……みたいな話は、いかにもありがちだし、先日『gooランキング』で行われたばかりの「ジャンプ史上最強の画力を持つ漫画家ランキング」で7位の座に輝いた、自他とも認める実力派の荒木飛呂彦先生もJOJOシリーズの初期のころは、筋肉の描き方が、あの『北斗の拳』の原哲夫先生にそっくりだった(とくに、トキをはじめとする中性的な美男子キャラのマッチョバランスとか?)。コージィ城倉先生が描く『プレイボール2』に至っては、モトネタとなっている『プレイボール』の作者・ちばあきお先生が描くキャラクター陣と寸分も違わないほどの“まんま”状態だったりする。まあ、この企画に関しては、ちば先生サイドの了承を取ったうえで、オマージュの意味を込めて「あえて、絵柄を似せること」を主旨とした特殊なパターンではあるのだが……。



 



あと、音楽シーンで例えるなら、私が「好きなタイプの女性は?」と問われると、ベスト5までには確実にランクインする、あの倉木麻衣も、デビューしたての時期は「宇多田ヒカルのモノマネ」などと散々揶揄されてはいたものの(たしか、宇多田本人もそんな皮肉の言をどっかのメディアで語っていた)、現在ではきちんと独自の路線を築いている。逆に、ド新人の段階から「誰にも似ていない」なんてケースは、少なくともクリエイティブの世界だと相当に稀なのではなかろうか。そんな根っからの“天才”は、漫画に半世紀近く“読者”として、ときには“作者”として携わってきた私ですら、鳥山明先生くらいしか思いつかない。



 



したがって、「率先して巨匠の絵柄に近い方向へと新人作家を誘導する」といった編集部の指導法も間違ってはいない……と私は考える。最初は「真似する」ことから始め、それでもじわじわと“オリジナル”から生じてくる“ズレ”をデフォルメしていくことこそが、“個性”を育成するイロハなのだから。ただ、最近の画材やCGの進化に伴ったトレーシング技術の向上によって、「似すぎちゃった」っていうのはあるのかもしれない。そこらへんのさじ加減こそが編集部の技量を問われるところなんだろう。



 



絵柄よりも、むしろストーリーが似ているほうが全然ヤバいのではないか? 



 



今回のテーマを振っていただいたcitrus編集長殿によると、



 




実際、ゴメス風原稿とか結構ありますしw、人によっては「ゴメスさんに憧れて、話の展開をマネしてみました!」みたいな人もいます。




……とのことだが、漫画に当てはめると、いわば「絵柄を真似されている」ようなものである。けれど、それが仮に本当だとしても、私はもちろん一切苛つきもしないし、本音では「私なんぞをお手本にしてくださって…身に余る光栄であります」と感謝さえしてしまう。だが、一度どこぞのライターにどこかの雑誌で、私がもう20年以上前から提唱し続けてきた「SM振り子の理論」(人間のサド・マゾ性はS度70%・M度30%といった風に分割されるのではなく、S度が70%ある人間はM度も70%同様に併せ持つといった法則)を一言一句違わず、まるで自分が発見したかのごとく語られていたのを読んだときには、猛然と腹が立った。世界観の模倣──これだけは、クリエイターが絶対にやってはいけない禁じ手なのだ。



 



※この原稿を入稿した直後、citrus編集長殿から、



「OKな模倣か、NGな模倣かは、外野がとやかくいう事ではなく、模倣された本人がどう思うか、ってところなんでしょうねえ」



……との返信があった。まったくもってその通りであります!


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