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復活したホンダ「CR-V」。CMに初代モデルを登場させ、アラフォー世代へアピールする理由とは?


出典:「ホンダCR-V」公式サイト


あのロールス・ロイスも参入してきたSUVのマーケットに、懐かしい名前が帰ってきた。本田技研工業(ホンダ)の「CR-V」だ。



 



CR-Vは1995年にデビュー。先行したスズキ「エスクード」、トヨタ自動車「RAV4」とともにオンロード重視のファッショナブルSUVとして注目を集め、国内のみならず海外でも高い評価を受けた。ところがその結果、モデルチェンジのたびにボディもエンジンも大型化。4代目の途中で一度日本での販売を止めてしまった。米国や中国ではその後、現行の5代目が発売されており、今回はこれが導入されることになった。



 



なぜCR-Vは日本市場に復活したのか。やはり現在のSUV人気によるところが大きいだろう。なにしろ現在、ホンダが日本で販売しているSUVは、2013年末に発表された「ヴェゼル」しかないのだから。



 



ヴェゼルはコンパクトカーの「フィット」をベースとしながら、ボディサイズは同クラスの日産自動車「ジューク」より大柄で、ひとクラス上のトヨタ自動車「C-HR」に近い。しかも空間効率に優れたフィットのプラットフォームを活用したことで、ダイナミックなデザインをまといながらキャビンはかなり広い。こうした部分がユーザーに評価され、2014年から3年間、国内SUV販売台数でトップをキープ。今もC-HRに続く第2位の座にある。しかしホンダには前述のように、このヴェゼルからステップアップを図れるSUVがなかった。



 



わが国では昨年秋マツダから「CX-8」が登場して以降、3列シートSUVに注目が集まっている。幸いにして現行型は、歴代で初めて3列シート車を用意していた。しかもアラフォー世代以上のクルマに興味がある人なら、CR-Vの名前は覚えているはず。ということで復活という道を選んだのではないかと考えている。



 



CMにちらっと初代CR-Vが登場する。このモデルを覚えているアラフォー世代は多いはず。出典:「ホンダCR-V」公式サイト


 



すでにテレビでは新型のCMが流れている。筆者も何度か見たけれど、登場人物やストーリーに加えて、途中で初代がチラッと登場するなど、40代以上の人たちにアピールする内容だと感じた。



 



 



■“思想”を感じ取れるユーザーが増えれば、ヒットするかも!?



 



さらに一部の業界関係者から「絶対に売れない」と断言までされたシビックの復活劇が、好感を持って受け入れられているという事実もある。ホンダにとってはシビックに続いてCR-Vも、という気持ちがあるかもしれない。



 



ただしシビックの価格が約265万円スタートなのに対し、CR-Vはもっとも安い仕様でも約323万円とやや高め。4WDではガソリン車が350万円近く、ハイブリッド車では約400万円というのが最低価格になる。



スタイリングも、シビックと比べるとオーソドックスという印象を持つ人は多いだろう。実車を前にすると、プレスラインに頼らず、面の張り出しで前後フェンダーの力強さを表現しており、考え抜かれた造形であることが分かるのだが。



 



パワーユニットは1.5Lターボのガソリンエンジンの他に、CR-Vで初のハイブリッドも用意された。しかも2L直列4気筒エンジンと2個のモーターを組み合わせた後者は、「オデッセイ」や「ステップワゴン」にも積まれ評価が高い。



 



残念なのは大柄なバッテリーを搭載する関係で、ハイブリッド車では3列シートが選べないこと。これは日産「エクストレイル」などでも共通するが、ホンダらしいブレークスルーを見せてほしかったという気持ちもある。



 



逆に好感を抱くのは使い勝手だ。2列目シートは背もたれを倒すと座面も沈み込み、車中泊もできそうなフラットな空間が得られ、3列目はスプリングを内蔵して座り心地にもこだわっている。荷室は開口部が低いし、前席間のセンターコンソールは3通りの使い方ができるなど、あちこちにホンダらしい工夫が込められている。



 



テレビCMにもちょっと出てくる初代CR-Vは、当時のシビックのバリエーションとして設定されていたトールワゴン「シャトル」の発展型で、ATのセレクターレバーをコラムに配し、前席間をウォークスルーとして折り畳み式テーブルを用意するなど、使い勝手にこだわったSUVだった。



 



新型の根底に流れるその思想を感じ取り、価格相応の価値があると考えるユーザーが多くなれば、CR-Vは販売面でも復活となるかもしれない。


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