「さつまいもを使おうと思ったら、黒くなっていた……これって食べられるの?」そんな疑問を持つ方に向けて、さつまいもの「黒さ」のパターン別に食べられるかどうか、味に変化はあるのかを解説します。黒くなっている=傷んでいるではないので、正しく見分けておいしく料理に活用してくださいね。
食べても大丈夫な「黒い」さつまいもの特徴
さつまいもが黒くなっている場合、どのようなものなら食べても大丈夫なのでしょうか。まずは、食べても問題のない「黒さ」の特徴を3つに分けて解説します。
皮から黒い蜜のようなものが出ている
皮の表面についた黒い蜜のようなものは、さつまいもに含まれる「ヤラピン」という成分です。ヤラピンはさつまいもを切ったときに出てくる、白い汁の中に含まれています。
さつまいもの先の断面や、さつまいも同士がぶつかってできた傷から、ヤラピンが含まれた白い汁がにじみ出てきて乾燥し、黒く変色したものと考えられます。
ヤラピンは食べても大丈夫な成分で、整腸作用があるといわれています。さつまいもは食物繊維も豊富なため、整腸作用+食物繊維のダブルの働きで便秘解消効果が期待できます。
しかし、黒く固まったヤラピンの場合、土などと一緒に固まってしまい、硬い場合があります。気になる場合は取り除いて使うようにしましょう。
切ってしばらくすると、断面に黒い(または緑の)斑点が出てきた
さつまいもを切ってしばらく置くと、黒い(または緑の)斑点のようなものが出てくる場合があります。これもさつまいもに含まれるヤラピンが変色したもので、食べても大丈夫なものです。調理前であれば水で洗い流して使いましょう。味や栄養価に変わりありません。
黒くなるのを防ぎたい場合は、さつまいもを切ったあと5~15分ほど水にさらしておきます。
ただし、切ったときにはじめから断面に黒い斑点がある場合は、さつまいもが低温障害を起こしている可能性があります。詳しくは後ほどお伝えしますが、この場合は処分するようにしましょう。
加熱後に実の部分が黒く変色した
加熱後に実の部分が黒く変色するのは、さつまいものアクであるクロロゲン酸が変色したものです。クロロゲン酸はアクの成分なので、食べるとえぐみを感じることがありますが、食べても問題はありません。
黒い変色を防ぎたい場合は、切ってから水に5~15分ほど浸けておくことでアクが抜け変色を防げます。
こんなときは食べないで!さつまいもが傷んでいるサイン
反対に、食べない方がいいさつまいもの特徴について説明します。
切ったときにはじめから黒い斑点や黒ずみがある(低温障害)
切ってすぐに断面に黒い斑点や黒ずみが現れた場合、さつまいもに低温障害が起きていることが考えられます。低温障害を起こした野菜は、品質が劣化したり、栄養価が損なわれたりします。
一部分であれば切り落とすことで使えますが、低温障害は全体に出ている場合が多いです。苦みがある場合もあるため、さつまいも全体の断面が黒くなっている場合は処分しましょう。
さつまいもは寒さに弱く、15度以下で保存すると低温障害が起きてしまう可能性があります。家庭で保存する場合は冷蔵庫には入れず、室温で保存しましょう。
※参照…農林水産技術会議 技術指導資料 平成27年3月 新品種活用による産地育成を目指したサツマイモの高品質生産技術・販売促進支援の手引き
黒カビが生えている
さつまいもに黒カビが生えている場合は、食中毒の原因になるため食べるのを避けましょう。黒カビはふわふわしたものがついていたり、表面に斑点状についていたりします。
表面にヤラピンが固まって黒く変色しているものは、カビとは違いツヤっぽい感じがあり、触ると硬くべたべたとしています。ヤラピンの場合は食べても安全なため、黒カビとしっかり見分けるようにしてください。
皮にシワができてハリがなくなっている
皮にシワができてハリがなくなり、しぼんでしまっているものは乾燥が進んでいます。多少のシワであればまだ食べられますが、味が落ちている場合もあります。乾燥が進み、変色していたり柔らかくなっていたりするものは処分しましょう。
さつまいもは乾燥を嫌うため、新聞紙などに包んで常温で保存するようにすると、シワの発生を防止することにも繋がります。
実の部分が柔らかくなっている
さつまいもを冷蔵庫で保存するなどして低温にさらした場合、低温障害となり実の部分が柔らかくなって腐敗することがあります。触ってみてぶよぶよしている場合は、処分しましょう。
イヤなニオイがする
さつまいもがカビ臭かったり、酸っぱいニオイがしたりするなど、イヤなニオイがする場合は食べるのを控えましょう。イヤなニオイは食品が傷んでいる証拠です。
ニオイが出ている場合は、カビが生えていたり柔らかくなっていたりと、見た目も変化していることがほとんどです。ニオイや見た目が変化する前に、計画的に使い切るようにしましょう。
食べられる・食べられないを正しく判断してさつまいもを楽しもう
さつまいもの「黒さ」のパターンなどから、傷んでいるかどうか、食べられるかどうかの見分け方について解説しました。食べられるものを捨ててしまうのは、食品ロスの観点からもなるべく無くしたいもの。正しく判断して、おいしいさつまいもを楽しんでくださいね。