節約上手さんは必ずと言っていいほど使用している「格安スマホ」。大手キャリアの利用料金より安くなるということは知りつつも、「手続きが複雑そう」などのイメージで使っていない人も多いはず。イオングループの格安スマホ事業者「イオンモバイル」担当者に詳しく教えてもらいました。
格安スマホとは?
格安スマホと聞くと何をイメージしますか。実は、格安スマホというカテゴリーには「スマートフォン(以下、スマホ)本体」と「通信料金(格安SIM)」が含まれており、一般的には特に後者の格安SIMが注目される場合が多いようです。
「明確な定義はありませんが、格安スマホとは、スマホの格安通信サービスの総称となっています。ただし、格安SIMだけを契約しても(スマホ本体は格安スマホでない場合も)、『格安スマホを利用している』という認識が一般的になっていると思います。利用者が最も節約したいと思っているコストは、スマホの本体代金ではなく、利用料金となっていますね」(イオンモバイル 担当者)。
安さの理由
まだ格安スマホにチャレンジできていない人にとって気になるのが、「なぜ安いのか」という点。「サービスが落ちるのでは? 」といった理由で迷っている人も多いのではないでしょうか。
安さの理由として最も大きなものは、通信速度がやや落ちることです。簡単に言うと、大手キャリアよりも通信速度が少し制限されます。特に昼間(昼休みの時間帯)と夕方(帰宅時間帯)は通信量が増えるので速度が多少遅くなります。とはいえ、通常時に使う分には通信速度にストレスを感じることはほとんどありません(※感じ方には個人差があります)。安さと引き換えに速度がやや落ちる。低料金の理由がわかって、逆に安心します。
「イメージ的には、大手キャリア(※)は高級車。通信速度は超高速ですが、機能が良すぎて持て余してしまう方もいらっしゃると思います。反対に、格安スマホは普通自動車のイメージです。機能性は高級車よりは落ちることもありますが、普通に利用する分には十分だというお客さまが大半ですね」。
※大手キャリア……NTTdocomo・au・SoftBankの3社
特に、勤務先や自宅に別途契約しているWi-Fiがある人は、そちらを使えばスマホの通信量を抑えることもでき、また混雑時間帯のスピード問題も気にならずに使用可能になります。実際に格安スマホを使用している人の多くが、混雑時間帯に少し遅いと感じることよりも、1カ月の利用料金を5,000円程度低くできることのメリットを選択し、格安スマホを選ぶといいます。
格安スマホ事業者には実店舗を持つところは少なく、ほとんどがWEB上で手続きをする仕組みとなっています(イオンモバイルは実店舗有)。その分、店舗運営費用や人件費がかからなかったり、また広告宣伝費も大手キャリアほどかけていなかったりすることも、月々の通信費を安くできる理由となります。
「『実店舗がないと万が一故障した時に、すぐにスタッフに聞けなくて不安』というお客さまもいらっしゃいますが、実は契約時以外に店舗を利用することはないという方がほとんど。ですので、WEB上でしか手続きができないことにはそんなに不安を感じなくても大丈夫かと思います。とは言えやはり不安な方もいらっしゃいます。そんな場合は、弊社のような実店舗を持つ格安スマホ事業者でのご契約なら、対面でしっかりサポートをさせていただけます」。
料金体系は2年目以降もチェック、期間縛りも見逃さないで
ここで注意したいのは、各格安スマホ事業者の料金体系や期間縛りを必ずチェックしておく点です。一部のブランドでは、CMなどでうたっている料金が最初の1年にだけ適用されることがあり、2年目以降料金が高くなる場合もあります。また、無料で解約できる期間が決まっている"期間縛り"があるブランドも存在するので、申込時には必ず利用条件を確認しましょう。
もちろん、上記があった場合でもそれ以上にそのブランドのサービスが気に入れば問題ありません。また、2年目以降に料金が上がる場合でも、大手キャリアに比べれば安いことがほとんどです。
どんな機種でも使えるの?
格安スマホを契約する場合、
- 現在利用しているスマホをSIMロック解除し、格安SIMを契約する
- スマホ本体ごと買い替え、格安SIMを契約する
の2パターンがあります。1の「SIMロック解除」とは、そのキャリア(NTTdocomoなど)のSIMカード以外のSIMも利用できるようにすること。WEB上で手続きはできますが、もし手続き方法が分からない場合は、契約している大手キャリアのショップに行けば対応してくれます。ただし、店頭で手続きを依頼する場合は料金が発生することもあるので注意してください。WEB上には方法が掲載されているので、可能であれば無料で手続きできるWEBからがお得です。
※機種によってはSIMロック解除ができないスマホもあります。その場合はスマホごと買い替えが必要です。
2のパターンの場合、自分でスマホを購入することが必要です。家電量販店やWEBから購入可能なほか、イオンモバイルのような「格安スマホ事業者で実店舗があるブランド」の場合は店頭でもおすすめのスマホが販売されています。基本的に「SIMフリー(どのブランドのSIMカードでも使える)」のスマホであれば問題ありません。ただし、各社が提供するSIMカードのサイズには複数種類あり、間違えるとスマホに入らない場合もあるので、「ご自身が利用しているSIMカードのサイズ」を考えたうえでスマホ本体を購入するようにしましょう。
基本的には格安スマホにはAndroid製品が多いですが、アップルストアなどでSIMフリーのiPhoneを購入して格安SIMを利用することも可能です。
手続きは複雑じゃない?
複雑そうに思える格安スマホへの乗りかえ手続きですが、実はとっても簡単。イオンモバイルの場合、平日に店頭で申し込みをすると、30分程度で終わることもあるといいます。
「店頭での手続きは大手キャリアと同様に、その場で契約してその場で利用いただける状態でお渡しいたします。イオンモバイルは、期間縛りがないことや契約のための複雑な条件がないため、契約手続きは大手キャリアよりもシンプルであり、手続き自体も非常に短時間となっております」。
イオンモバイルの場合、主なステップとしては、
- いま持っている携帯電話と同じ番号を使用したい場合は、MNP(ナンバーポータビリティ)の予約番号発行手続きを、契約しているキャリアで行う(この時点で元の通信業者は解約となる)。
- MNP予約番号(1の手続きをした際に発行される)と本人確認書類、スマホ購入代金(現金またはクレジットカード)を持って店頭に行く
- (希望のスマホ本体を購入し)契約プランを選んで申し込む
- 30分~1時間後、使える状態のスマホを受け取る
の4ステップで完了。イオンモバイルのように実店舗が無い場合は、上記手続きを希望する格安スマホ事業者にWEB上から申し込めばOKです。MNP予約番号の発行方法や解約方法などは、キャリアのWEBサイト内に掲載されているので安心ですね。もちろん、元々使用していたキャリアなどの店頭で質問しても問題ありません。
※MNP……すでに利用している携帯電話の電話番号を、契約会社が変わっても持越しできるサービス
格安スマホのデメリット
ここまで読んで気になるのが、格安スマホのデメリット。イオンモバイルに「ずばり、格安スマホのデメリットは何ですか? 」と聞いたところ、以下の回答が返ってきました。
「繰り返しになってしまいますが、通信速度を大手キャリアのように超高速とせず安さを実現しているため、時間帯(昼および夕方)によっては、インターネットの閲覧に時間がかかったり、動画がスムーズに再生できない場合があります。また、格安スマホ事業者は店舗を持つところがほとんどないため、対面によるサポートを受けにくいのも事実です。スマホが故障した場合は、利用者がメーカーへ直接修理依頼を行う必要があり、代替機も用意されていないので、注意が必要です」。
イオンモバイルとは?
今回話を聞いたイオンモバイルとは、大手小売業の「イオン」グループの格安スマホ事業者。格安スマホのデメリットの一つである「対面でのサポートが受けられない」点は、イオンモバイルであれば心配なし。格安スマホ事業者のなかでも数少ない実店舗を持つ事業者です。
イオンモバイルでは、音声プラン(通話可能)、データプラン(通話不可で通信のみ)、シェア音声プラン(複数のスマホやタブレットで通信容量をシェアできる)の3パターンで、全29種類の料金プランを用意。
通信容量は0.5GB~50GBまで細かく設定し、無駄なく自分に合ったプランを選択することが可能です。また「10分かけ放題サービス」や「端末保障サービス」など、利用者がスマホを利用するうえで必要なオプションも用意されています。
ちなみに、イオンモバイルで主婦に人気No.1なのは「音声4GBプラン」だといいます。SNSも十分に使用でき、電話も可能。基本料金はなんと1,580円!! 大手キャリアプランから大幅に携帯電話料金を削減することが可能です。なお、イオンモバイルでは「10分かけ放題サービス」を追加していない場合は電話料金はかけた分が基本料金に追加となるので、実際の請求は基本料金+電話料金となります。ただ、最近はLINEなどで電話をかける人も多く(電話代はかからず、通信量がかかるのみ)、またイオン電話のアプリをインストールして利用すると、30秒10円と電話料金も抑えることが可能です。
さらに、余った通信容量は翌月へ繰り越しできる点も魅力的。プランはWEB上から自分でいつでも何回でも変更できるので、例えば「10月は2GB容量が余ったから、来月は2GB下のプランに切り替えて料金を抑えよう」などの節約方法も可能です。なお、通信容量の繰り越しは1カ月分まで可能となります。
もし通信量が制限に達してしまっても、1GB=480円で追加容量を購入可能。大手キャリアが1GBで1,000円程度である点を考えると、とってもお得に利用できます。
イオンモバイルのメリット・デメリット
最後に、他の格安SIM事業者と比べた際のイオンモバイルのメリット・デメリットも紹介します。
メリット
- 全国216店舗での対面サポート(2018年9月時点の店舗数)
- 解約金、期間縛りなし
- 料金プラン以外の追加オプション料金も安い
- 契約前に1週間無料貸出サービスを実施(試してから契約することが可能)
デメリット
- WEBからの契約手続きで、電話番号をそのまま使う(MNP)申し込みをした場合、新しいSIMカードが届くまで1~2日通信ができない(店頭で契約した場合は即日利用可能)。
- 手持ちのスマホをそのまま使う場合、SIMカードのサイズ変更が必要になると、その手続きで1~2日通信できない。
- パケットカウントフリー(SNSなど特定のサービスを利用する場合、通信量にカウントされないというサービス。現在はLINEモバイルなどで実施)がない
今回は主婦にも身近なイオングループ「イオンモバイル」の例を参考にご紹介しましたが、各社で様々な料金プランが用意されています。複雑そうに思えますが、仕組みが分かると、あとはWEBで調べて解説通りに手続きを進めていくだけ。
かくいう、この記事を書いているIT音痴の編集スタッフも最近格安スマホに乗りかえましたが、重い腰を上げてみると想像以上に簡単で「どうして今まで利用しなかったんだ……」と後悔したほどです。携帯電話料金の節約は額も大きく、毎月の家計がかなり助かってくる手段の一つ。ぜひこの機会に変更を検討してみてはいかがでしょうか。