Instagramや雑誌などできちっと収納された家の写真を見て、「我が家もきちんと片付けよう!」と心に決めた次の瞬間、どんな行動をしますか。いろんな人がいると思いますが、まずは「収納グッズを買う!」という人もいることでしょう。
Instagramや雑誌の写真に憧れ、その通りに収納グッズを100円ショップやスーパー、さらにはインターネットショッピングで購入。そして次のアクション……というところでいきなり頓挫してしまう人が一定数います。「買う」という行為は楽しいものの、次に行うべき「整理」という段階をすっ飛ばしていきなり「収納」の工程に入って「入りきらない!」と断念したり、「整理」をするものの、「いる・いらない」の判断がつかずそこで終わってしまったり。
「収納」という行為を「購入」行為から入った時に陥りがちな、「グッズを買ってしまっただけで終わってしまう」という失敗例には理由があります。整理収納コンサルタントの金内朋子さんに、失敗しないための3つのチェックポイントを教えていただきました。
失敗しない3つのチェックポイント
収納をするときに失敗しないよう、次の3つのチェックポイントを設定しています。
1. 持ってる物の種類と総量を把握できているか
2. 収納とあなたの性格とグッズの相性は?
3. その先を見据えている?買い物がもっと楽しくなる
これから、それぞれ1項目ずつ詳しく解説していきます。
ポイント1: 持っている物の種類と総量を把握している?
「きれいに収納するために必要!」と思い買ってきたものの、せっかく買ってきた収納グッズが使われずにクローゼットや押し入れに入れっぱなしの状態になっているという人、一定数確かにいます。買った時に、「何を」「どのくらい」「どのように」その収納グッズに入れるのかを把握していれば、使わずに終わってしまう……ということも防げます。そして、そのためにはそもそも、入れるものの種類や総量を把握する必要があります。そのために必要な行為が「整理」なのです。
例えば文房具、ボールペンの収納をするとします。ボールペンを机の上に出し、書けなくなったものは処分、書けるものの中から気に入ったものをピックアップし、あなたのお気に入りのボールペンだけにします。まだ書けるから、人からもらったから、「なんとなく」で持っているものは外してください。また、お気に入りがわからないという場合は、使っている頻度、例えば1カ月以内に使ったかどうかで判断するとよいでしょう。収納の前にはまず整理することが必要です。そして、そもそも収納グッズもデザインや価格だけで判断して購入せず、整理して残ったものを見て、それらが入るかどうかを考えて収納グッズを購入するべきです。
ポイント2: 収納ともの、人との相性
整理をしてお気に入りのものだけになりました。次に収納グッズの登場です。収納グッズに、お気に入りのものを入れて収納していきます。そしてここにもポイントが。
整理をしたものの、【持っている物の総量>収納グッズの収納量】となっている、ということはよくあることです。ここで「じゃあ、収納グッズを買い足そう!」と思った人、いませんか。収納グッズを増やすことで、メリットは「たくさん持てる」。デメリットは「コストがかかる」。ここで、物を減らすか収納グッズを追加購入するかはあなた次第です。
ポイント1でもお伝えした通り、収納グッズの中に入れるものが「本当に自分にとって大切なものかどうか」がキーです。ちなみに、今回文房具の整理で「収納グッズを追加購入」した場合、同様のことがキッチングッズ、洋服、化粧品でも起きていった結果、「家の中が片付いた気がしない」となりかねませんのでご注意を。
ちなみに、収納グッズ自体にも使う人や使う場所によって向き不向きがあります。フタや引き出しが付いていて、フタを開けたり引き出したりするなどして「手間がかかる」ものもあれば、オープンなカゴタイプで投げ入れればよいだけの「手間がかからない」ものがあります。前者はフタを開けたり引き出したりといった1アクションが余計に必要ですが、その分見た目はすっきりとして、きれいな収納が可能となります。後者は簡単なため、継続するハードルが低いのが特徴です。
子どもが主体となって整理するのであれば、後者が向いているのかもしれません。来客が多いリビングスペースであれば、前者の収納が向いているかもしれません。収納グッズは、憧れの写真を見てそのまま真似をする、というよりかは、使い手の性格や目的によって柔軟に選んでいくことをおすすめします。今まで、収納グッズを買ってもうまく使いこなせなかったのは、収納グッズと物の量、ご自身やご家族の性格の相性が良くなかったからかもしれませんね。
ポイント3: その先を見据えた買い物を
お気に入りのもの。お気に入りの収納グッズ。その時はベストな選択をしたとしても、暮らしは変わり続けます。ある時点において気に入って使っていても、転職や出産、子の成長など暮らしの変化により、持つ物の種類とその量は変わります。だからこそ収納グッズに限らず、買い物をする際は慎重になっていただきたいと思うのです。
おすすめしているのは、汎用性のあるグッズを持つこと。我が家では無印良品のシンプルなファイルケースが重宝しています。書類収納以外にも、タオル収納や調味料入れなどに活用しています。時代が移り変わってもはやりすたりがないシンプルなものなので飽きも来ず、どこに置いても馴染みがいいのがお気に入りポイントです。
ちょっと話がそれますが、ある奥様がご主人のスーツのことでお困りでした。「スーツをオーダーメイドするのに、せっかく作ったスーツを『もったいない』と一度も袖を通さないんです」とのお悩みでした。そのご主人も、まさか眺めるためだけに作ったわけでは無いはずです。着ないことこそもったいない。月日は流れます。年齢を重ね、体型も変わります。スーツが似合う時、というのはオーダーメイドしたその「時」のはず。たくさん着てあげることが、ベストな選択だと思いませんか。
これは極端な話だったかもしれませんが収納グッズだって同じことだと思っています。整理をしてみて、必要とわかったから買う。好みやブームに振り回されるのではなく、必要なものをしっかりと把握したあとで収納グッズを買えばいいんです。そうすれば、買ったまま放置…なんてことにもならないのではないでしょうか。