ビール女子読者の皆さま、こんにちは。京都在住ビール好きイラストレーター、楠木雪野(くすききよの)です。
ビール初心者の方々への入門ガイドシリーズ、今回は“ 黒いビール” についてです。「黒ビール」と一括りにしてしまいがちですが、その種類も味わいも豊かで様々。ぜひいくつかのポイントを知って、より美味しく楽しく味わいましょう!
“黒ビール” って何? 色はどうして黒いの?
何気なく使いがちな「黒ビール」という言葉。そもそも定義はあるのでしょうか?
日本では、一般消費者が適切に商品を選べるようにその商品の表示について定めた「公正競争規約」というものがあり、そのうちの『ビールの表示に関する公正競争規約及び施行規則』において、「濃色の麦芽を原料の一部に用いた色の濃いビールでなければ、黒ビール又はブラックビールと表示してはならない」と定めています。
つまり、“ スタイル”(細かく分類されたビールの種類のこと。『ビール女子のためのビール入門ガイド』第4 回参照)によって定義されているわけではなく、濃い色の麦芽を使った黒っぽい色のビールのことを総じて「黒ビール」と呼んでいるのですね。
そしてこの「濃い色の麦芽」が、ビールの色が黒くなる理由です。
ビールを造る際の「製麦」という工程で、麦芽(=モルト)を焙燥(ばいそう・乾燥させること)させてから更に100 度以上の高温で焙煎(ばいせん)すると、麦芽の色は茶色や黒に近い褐色になっていきます。
この濃色麦芽を材料として使うため、出来上がったビールの色も黒く茶色くなるのです(『ビール女子のためのビール入門ガイド』第2回参照)。
黒ビールの濃色麦芽やその種類については、こちらの記事にも写真入りで詳しく書いてありますので、ぜひあわせてご覧ください!→『黒ビールってどうして黒いの? 今さら聞けない、ビールのはなし。』
ポーター、スタウト… どんな種類がある?
黒ビールとして知られるビアスタイルで代表的なものには、ポーター、スタウト、シュバルツ、デュンケルなどがあります。ポーターやスタウトという言葉には、きっと馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
ただし先述したように、日本では“ 黒ビール” はスタイルで定義されているわけではないので、これらのスタイル以外でも色の濃いもの、黒いものはたくさんあります。
ちょっとややこしいところですが、それを踏まえて代表的なこの4つのスタイルを覚えておくと、より理解と楽しみが深まるかもしれません。
代表的な4 つのスタイルの特徴を表にしました!
実は私は、ポーターとスタウトがいつもこんがらがってどっちがどっちかなかなか覚えられませんでした!
そんな同じ悩みをもつ方(いらっしゃればですが…)のため、一目でわかるよう特徴を表にしました。「どう違うんだっけ?」と気になった時に、ぜひお役立てください。
黒ビールの楽しみ方&初心者さんへのおすすめ
さて、そんな黒ビール、おすすめの楽しみ方をご紹介します。
自分の好みの黒ビールのタイプや好きな味わい方を見つけると、ビールの楽しい世界がググッと一回り大きく広がります。
私は淡色ビールだとIPA が好きなのですが、黒ビールは同じビールでありながらそことはまた別ジャンルという感じで、楽しみが2 倍に増えたように思います。(ちなみに、黒ビールだと濃くて甘いインペリアルスタウトを最後にちびちび飲むのが大好きです。)
ぜひ黒ビールのことを知って、その魅力や、ならではの味わいを深く楽しんでみましょう。