日本で誕生した言葉「推し活」は、特定のアイドルやキャラクター、スポーツ選手などへの応援活動を意味する。松井証券の調査によると、「推し活」を行う人の半数以上が費用面で悩みを抱えており、活動を支える資金の確保が課題となっているようだ。
推し活を支える費用捻出方法として「節約」や「ポイ活」といった消費活動の延長線上の行動が多いが、中には「投資」などの収入増加手段を模索する人々も増加しているという。この記事では、推し活者たちの資金捻出方法について分析する。
推し活の費用とその内訳
推し活の中でも特に人気が高いのは、マンガやアニメ、ゲームキャラクターであり、次いで国内アイドルが続く。多くの人が「グッズの購入費用」や「ライブチケット代」、「遠征費用」などを負担と感じている。また、Vtuberのグッズ代など特定のカテゴリに熱中しているファンの間では、購入費用が一段と高くなる傾向があるようだ。
調査結果によると、推し活の理想的な費用は月額5,000円以上とする人が多いものの、実際の支出は5,000円未満に抑えるケースが半数以上を占め、推し活に対する金銭的ジレンマが表面化しているようだ。
資金調達方法「節約から投資まで」
推し活の費用を賄うための手段としては、「節約」が最も多く、「ポイ活」がこれに続く。具体的には日常的な消費行動を見直し、ポイント還元サービスを積極的に活用することで推し活の費用を確保しようとする人が多い。
特に20代や30代の若年層では、収入に制限があるため、こうした地道な努力が見られるようだ。
一方で、推し活に30,000円以上を費やしている層の中では、「副業」や「投資」から捻出する割合が高くなり、費用面での負担を軽減するために収入源を多様化している傾向がある。
投資による「推し活投資」の拡大
興味深い点は、推し活の資金を「投資」で捻出している層の存在だ。約8.8%の推し活者が「国内株式」や「投資信託」などを利用し、半数近くが「新NISA」を活用している。さらに、投資手法の中には「推し活投資」という新しいスタイルも広がりを見せている。
これは、自分が応援するタレントが広告に出ている企業や、所属事務所と関連のある企業の株式を購入する行動で、ファン心理と投資活動を結びつけたユニークな手法だ。推しの活動をより身近に支援することで、投資への関心が高まり、経済的な支援のしかたも広がっているようだ。
「推し活投資」が投資活動に及ぼす影響?
松井証券の調査によると、「推し活投資」の流行は、若年層の新しい投資スタイルとして注目されているようだ。推し活の延長としての投資は、個人のライフスタイルや消費活動に密接に関わり、従来の資産運用とは異なる価値観を反映しているとのこと。また、現在投資をしていない推し活者のうち、半数以上が今後の投資に関心を示している点からも、推し活を通じて投資に対する心理的なハードルが低くなっていることが推測される。
「推し活」を支えるために様々な方法で資金を捻出する人々。推し活という文化が単なる娯楽を超えて日常生活に浸透しているようだ。
推し活投資といった手法が生まれ、若年層が自分の消費活動に投資を組み込むことで、新しい経済的な価値観が形成されつつある。一方で、推し活の費用負担のために多くの人が悩みを抱えており、今後の推し活にかかる費用の捻出方法に関しても、いろいろと話題になりそうだ。
参考情報:
<松井証券 「推し活」とお金に関する実態調査>
調査方法:インターネット調査
調査時期:2024年9月
調査対象:全国の20~69歳の「推し活」を行っている男女1,000名
世代割付:20代、30代、40代、50代、60代各200名(男女100名ずつ)・調査機関:ネオマーケティング