痔は、日本人の3人に1人が罹患していると言われる、よくある疾患のひとつだ。
痔になっても、なかなか医療機関を受診しない人も多い。
今回は、痔のメカニズムや、放置するとどうなるか、治療法、予防法について解説する。
大きく分けて4種類
痔は、内痔核、外痔核、痔瘻(じろう)、裂肛の4種類ある。
一般的には、内痔核と外痔核を合わせていぼ痔、痔瘻のことを穴痔、裂肛のことを切れ痔と呼ぶ。
それぞれの特徴的な症状は、内痔核は出血、外痔核は痛み、痔瘻は肛門周囲が赤く腫れて膿がたまる、裂肛は出血と痛み、である。
初期は治療しやすい
いぼ痔の原因は、肛門の静脈という血管が、膨らんでコブのようになっていることだ。
内痔核は肛門の奥の方にできて、痛みの神経がほとんどない場所であり、いきんだりすると圧がかかって出血しやすい。
外痔核は、肛門の外にできて、激しい痛みを感じやすい。
両方とも初期段階だと、軟膏を塗ることですぐに治る。
また、内痔核だと軟膏で治らなくても、注射を打つことで治せる。
そして重症化すると、手術が必要になる。
穴痔は切開排膿が必要
痔瘻は、肛門の奥の方と肛門周囲の皮膚が、細いトンネルのような管でつながった状態になる。
肛門の奥から細菌が、肛門とは別ルートで表面に出てくるのだ。
そして肛門周辺が、赤く腫れるのだ。
痔瘻は、膿が溜まっているため、初期をのぞけば基本的に切開排膿をしなければ治らない。
疾患自体も椅子に座れないぐらいかなり痛みが出るが、切開排膿する時もかなり痛い。
まずは塗り薬で治す
肛門が切れてしまうと、かなり痛い。
切れたところに、塗り薬を塗るのが第一の治療法だ。
何回も切れ痔を繰り返すと、少しずつ肛門が狭くなってくる。
便が出しにくくなると、手術することもあるのだ。
共通の予防法
あらゆる痔の大きな原因のひとつは、肛門に圧がかかることだ。
つまり、便を出す時に強くいきむ人、便秘で便が硬い人などに痔は多い。
予防法は、あまりいきまずに便を出すことであり、便を柔らかくするために水分を多く摂取する、食物繊維をとりすぎないことが大切だ。
そして、辛いものやスパイシーなものなどの刺激物を避けた方が、肛門には優しいのでおすすめだ。
症状があれば早めに受診を
いずれの痔も早い段階であれば、塗り薬などのお薬で治ることも多い。
痛み、血が出るなどの痔の症状があれば、速やかに医療機関を受診して欲しい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。