医療は日進月歩といわれているが、白内障手術も選択肢の幅が広がっている。しかし、手術後の生活まで考えて治療法を提案してくれる医師は少ないという。「患者様主体で診療をしてくれる医師を探してほしい」と警鐘を鳴らすのは、大阪府泉南郡にある南大阪アイクリニックの院長・渡邊 敬三先生。WEBコンテンツ『白内障ラボ』やYouTubeで啓発活動を続ける渡邊先生に、白内障についてインタビューした。
【渡邊 敬三先生 プロフィール】
近畿大学医学部を卒業後、同眼科学教室に入局し、府中病院眼科(現府中アイセンター)(大阪
府和泉市)勤務。
オーストラリア・シドニーでの研究留学などを経て、近畿大学病院眼科にて医学部講師として
白内障外来および角膜・ドライアイ外来を担当する。
平成28年4月より南大阪アイクリニック院長。
貴院の特徴を教えてください
「見え方も、生き方も、幸せにする。」をモットーに、白内障手術を中心とした診療
を行っています。患者様のお困りごとに寄り添い、患者様が想像していた以上の結果
となるように、高水準の医療を行うことはもちろん、スタッフ一同がおひとりおひと
りの未来を思い描きながら、親切かつ丁寧な接遇を実践しています。
白内障の治療に注力することとなったのは、どのような背景があったのでしょうか
眼科医の多くがまず目指すのは「早くて鮮やかな」白内障手術です。過去の私も同じ
ような考えのもと修練を重ねました。その考えを持ったまま開業をしてみると、自分
が思っていた以上に満足していない方が多いことに気づきました。そこから不満の原
因の究明と対策を繰り返し、「すべての人に最高の白内障手術」が出来るよう改善を
続けるようになりました。
白内障になりやすい人の傾向はあるのでしょうか
強度近視やアトピー性皮膚炎、ステロイド薬の長期使用、外傷歴などがある方は、早
い方では20代でも白内障を発症することはありますが、多くは加齢に伴うものです。
白内障の治療はどのような選択肢がありますか
白内障の初期には点眼治療が有効との報告もありますが、一旦進行すれば手術以外に
選択肢はありません。白内障手術では白内障になった水晶体を除去し、かわりに焦点
を合わせるための眼内レンズを目の中に挿入しますが、レンズには単焦点レンズ、乱
視矯正レンズ、老視矯正眼内レンズ(通称:多焦点レンズ)など選択肢は様々ありま
す。老視矯正眼内レンズは遠方から近方まで焦点が合うのが特徴ですが、単焦点レン
ズを選択した場合には焦点が最も合う距離をお一人お一人の生活に合わせて選択する
ことにより、手術後の生活の質が大きく改善します。
今後の展望について教えてください
近年では乱視矯正レンズや老視矯正レンズが徐々に普及しつつありますが、欧米に比
べるとその頻度は少ないのが現状です。眼内レンズが高額であることがボトルネック
になっていることもありますが、レンズの特徴を正しく理解していない医師が多くい
ることも一因となっています。また先ほど述べましたように単焦点レンズを使用する
としても個別の生活状況(眼鏡やコンタクトレンズの使用の有無、仕事内容、趣味な
ど)を正確に把握すれば、手術後の生活がより快適になるにも関わらず、これらの聴
取が行われずに手術をされてしまう現状があります。
10年前には叶わなかった新しい白内障手術の考え方を日本全国に広げていきたいと考
えています。