
大沢たかお(57)が主演とプロデューサーを務める「沈黙の艦隊」シリーズの映画第2作「-北極海大海戦」(吉野耕平監督、9月26日公開)完成報告会が25日、都内で行われた。大沢演じる海江田四郎が艦長を務める超高性能原子力潜水艦シーバットを追うフリーカメラマン森山健介を演じた渡邊圭祐(31)は、タッグを組むフリージャーナリスト市谷裕美役を演じた上戸彩(39)から撮影中、子どもの写真を見せてもらったと明かした。「お子さんの写真を見せてもらった。すごく、きれいなかわいい子」と15年8月に生まれた長女、19年7月に生まれた長男、23年6月に次男を出産した、上戸の3人の子供がかわいく、美しいと評した。
「-北極海大海戦」から出演の渡邊は「やまとに乗れる…よっしゃあと思ったらヘリコプターに乗っていた。やまとの外にある政治の、さらに外にある、若者のパッションが出ればと思い演じた」と、笑いながら自身の役どころを説明。その上で「やまとと同じくらい、うれしかった」と満面の笑みを浮かべた。今作では、冷たい北の海で繰り広げられる緊迫の魚雷戦。砕ける流氷を回避しながら、最新鋭潜水艦同士が激しくぶつかり合う、原作漫画随一のバトルシーンとなった北極海大海戦を描いた。さらに、連載当時にテレビ特番が組まれるほどの社会現象となった、やまとの是非をめぐって衆議院が解散され、行われた「やまと選挙」も描いた。
上戸が「本当か?」と突っ込むと、渡邊は「今日、皆さんにごあいさつさせていただいた」と、やまとの乗員キャスト、政治パートのキャストと初めて会ったと明かした。「アナザーストーリーみたいになり、僕の中では上戸さんが主演だった」と撮影を振り返った。上戸は「待っている間は年齢差があったので、昭和の懐かしいこと、知ってる? と聞いて爆笑した」と笑みを浮かべた。
上戸が演じた市谷は、かわぐちかいじ氏(77)の原作漫画には出ない、オリジナルのキャラクターだ。前作ではテレビ局の報道キャスターを辞め、やまとと海江田を徹底的に追う役どころとなった。「娘が出てきて、おびえるシーンがあり、人間らしさを演じられたのが良かった」と撮影を振り返った。そして「30年前の作品と感じない、現代と繋がっている。選挙、戦争もそう…人ごとではない。情報がたくさん流れる中、どこに軸を持ち、自分も何を信じるか考える、今の作品。皆さんが目を置きやすい役を演じさせていただき感謝」と口にした。
「沈黙の艦隊」は、漫画家かわぐちかいじ氏(77)が1988年(昭63)から96年まで漫画誌「モーニング」に連載し、累計発行部数3200万部(紙・電子)を誇る同名漫画が原作。日米共同で極秘裏に建造された日本初の超高性能原子力潜水艦シーバットの艦長となり、日本人でありながら米艦隊所属となった海江田四郎が、理想の世界の実現を目指し、核ミサイルを積んで乗員76人を伴い航海中に反乱逃亡。自らを国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を全世界へ向けて宣言。日本との交渉を進める意向を示すと米国は核テロリストと判断し、撃沈を図った。前作のドラマ「-シーズン1~東京湾大海戦~」後半では、沖縄沖海戦、東京湾が舞台となるバトルシーンを描いた。海江田は、天才的な操舵(そうだ)で幾つもの海戦を潜り抜け、海上自衛隊をも巻き込んだ東京湾での大海戦で米第7艦隊を圧倒し、国連総会へ出席すべくニューヨークへ針路をとった。
◆「沈黙の艦隊 北極海大海戦」冷たく深い北の海を、モーツァルトを響かせながら潜航する、やまと。「大」いなる平「和」と名づけられた原子力潜水艦は、米第7艦隊を東京湾海戦で圧倒し、ニューヨークへ針路を取り、米国とロシア国境線のベーリング海峡にさしかかった時、背後に1隻の潜水艦が迫った。それは、ベネット大統領が「核テロリスト やまとを撃沈せよ--」と送り込んだ、やまとの性能をはるかに上回る米国の最新鋭の原潜「アレクサンダー」だった。時を同じくして、日本では衆議院解散総選挙が行われる。やまと支持を表明する竹上首相(笹野高史)は、残るも沈むも、やまとと運命を共にすることとなる。海江田四郎(大沢たかお)は、この航海最大の難局を制することができるのか。
◆「沈黙の艦隊」実写化の経緯 大沢が、出演した19年の映画「キングダム」の一連のシリーズを手がけるクレデウスの松橋真三プロデューサーから声をかけられ、21年ころから企画を進めた。かわぐち氏への企画プレゼンから、防衛省、海上自衛隊との協力体制の構築まで行った。22年夏から始まった撮影では、日本で初めて海上自衛隊・潜水艦部隊の撮影協力を得て、実際の潜水艦を使用することができた。そこに日本屈指のVFX技術を融合し、臨場感あふれる映像、作品を作り上げ、連載から約30年の時を経て映画化を実現。23年9月29日に公開し、興行収入13億4000万円を記録。「-~東京湾大海戦~」は、今年2月9日から全8話を240以上の国と地域で世界独占配信。Amazonプライムビデオが日本の劇場版映画を製作したのは国内で映像制作をスタートして5年で初めてだったが、その後、ドラマシリーズとして全世界に配信するのも初めて。12月時点で、日本のAmazonオリジナル作品で歴代1位の国内視聴数を記録した。24年2月にはAmazonプライムビデオで連続ドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1~東京湾大海戦~」が配信された。