
シンガー・ソングライター嘉門タツオ(66)が9日、大阪市の天満天神繁昌亭で落語家の桂あやめと月亭遊方が主催する「繁昌亭ロックフェスティバル Vol.7」にゲスト出演。因縁のある落語の舞台でパフォーマンスを披露した。
嘉門は1975年、笑福亭鶴光に入門。笑福亭笑光の名前をもらった。19歳であこがれのMBSラジオ「ヤングタウン」にも出演するなど順風満帆だったが、師匠に反発し、破門に。松竹芸能から専属契約を解除され、日本全国放浪の末にシンガー・ソングライターの道に進んだ過去がある。
2010年の彦八まつりに出演したことはあったが、繁昌亭の舞台に上がるのは初めて。当初は出演をためらっていたが、遊方が鶴光に断りを入れに行き、あっさりと快諾してもらったことで出演がかなった。
ギターを持って舞台に上がった嘉門は「何とも言えませんな…」と第一声。「破門になって45年。まさか繁昌亭の舞台に…。上方落語協会にも背を向けてきたので、現代なのか過去なのか未来なのか。いろんなところで歌ってきましたけど、僕にとっては印象深いステージです」と感慨に浸った。
あいさつ代わりに「ハンバーガーショップ」を歌いあげると、芸能界屈指の万博好きらしく、万博パビリオンのバッジがびっしり引っ付いたジャケット姿で「大阪・関西万博エキスポ~港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ~」を熱唱。すでに万博には11回行っているといい、効率的な来場の仕方なども伝授した。
さらに、月亭可朝さんの思い出話をしながら、「可朝師匠の歌を伝承する人はいない。語り継いでいかなアカン」と可朝さんの「出てきた男」を披露するなど、5曲を熱唱した。
トークコーナーでは、暁輝雄さんにあつらえてもらったという黒の着物姿で登場。あやめと遊方を相手に破門になった話や6代目笑福亭松鶴さんの話、仲の良かった桂雀々さんや笑福亭笑瓶さんとの思い出も明かした。
最後は3人で「生きてるうちが花なんだぜ」を歌って締めくくり、満足そうな表情を浮かべていた。