
佐藤浩市(64)が19日、東京・シネスイッチ銀座で行われたドキュメンタリー映画「ハッピー☆エンド」(オオタヴィン監督)公開記念舞台あいさつに登壇した。
劇中でナレーションを務めているが、檀上で「劇場作品としては、やっていなかったと思います」と、80年のNHKドラマ「続・続事件」でデビュー以来45年で、映画のナレーションを務めたのは初めてだったと明かした。
「ハッピー☆エンド」は、在宅緩和ケアを選択した5つの家族の生きる輝きを描いた作品。「患者本人が好きなように」「本人が望むこと」を全力でサポートすることが信条の、在宅緩和ケア医の萬田緑平医師のもと、末期がんで余命宣告された患者が住み慣れたわが家で「生き抜く」ことを選択する姿を描く。全身がんを抱え、18年9月に都内の自宅で亡くなった、樹木希林さんも出演している。
佐藤は登壇し「生きものとして、いろいろなことを感じながら、死を迎えるのは人間だけではないと思った」と口にした。「その選択ができるのは人間だけ。自分のためか、残された人のためか分からないですけど、考えさせられた。良い意味で、いろいろなヒントを与えてくれる映画だと思いました」と作品を評した。
オオタヴィン監督は「すごい、むちゃ振りをした。アニメーションのヘリコプターの声も、実はお願いして、ドキドキしました」と、佐藤に劇中アニメーションのヘリコプターの声も依頼したと明かした。「(収録の)一番、最後に取っておいて『ヘリコプターの声、お願いできませんか』と。こういう内容なので、重厚な声でないと難しい。ぜひ、とお願いしました。がんに対する認識が少し、変わったと?」と佐藤に声をかけた。
佐藤は「その時に、自分がどう迎えるか…そうやって選択をする。抗がん剤をやることもあるし、そうじゃない考え方…家族とすごした時、気持ちの持ちようで、肉体にも何らかの変化があると感じた」と答えた。
私生活では、乳児院や児童養護施設の子どもを週末や休暇中に預かるフレンドホームの取り組みを約6年続けており、トークの中では、その件にも話が及んだ。佐藤は「本当に、いろいろな人生、いろいろな時間を過ごした子どもがいるということ。かわいそうな子、不幸な子という扱いはしない。実際、普通に笑うし、いろいろなことを感じるということを、自分たちも考えながら接したいと思います」と語った。