2017年5月19日、「ピンポン」などで知られ、天才と言われるアニメ監督、湯浅政明監督の最新作「夜明け告げるルーのうた」が公開。この映画では、人魚と少年の関係を描いた作品になっており、キャッチコピーは「君の“好き”は僕を変える」。
この作品を作るにあたって、キッカケとなったのは、監督の「心から好きなものを、口に出して「好き」と言えているか?」という疑問からだったという事で、作品にもそれが反映されていて心に“声に出して好きと言え!”という事を訴えてきます。
主題歌は斉藤和義さんの「歌うたいのバラッド」。またこれもたまらないですよね。
そんなこの映画は、人魚が主人公ですが、「人魚って結局何?」という疑問が湧いてきました。そこで今回は「夜明け告げるルーのうた」を観る前に知っておきたい、人魚の知識をお教えしたいと思います。
日本の人魚は“ブス”。しかも、災いをもたらす
人魚は、上半身が「人」、下半身が「魚」の架空の存在で、伝説が多く残っていても、姿は見たことない人がほとんどだと思います。
でも、みなさん人魚って“絶世の美女”なイメージがほとんどじゃないですか?
ディズニー映画などで、人魚が出てきたりしますが、そのほとんどは美女。だから、多くの人は人魚=美女という認識を持っていると思います。しかし、これは海外における人魚。日本では人魚=妖怪のイメージが実は強かったんです。見た目も海外の人魚と大きく違って、かなり“ブス”。
全然、美女じゃないです。しかも、災いをもたらすと言われており、あまりいい印象は持たれていなかったと言います。
海外の人魚は“美女”。でも、災いはもたらす
その反面、海外の人魚は美女。これにはギリシャ神話に登場する、「セイレーン」という人魚が影響しています。かつて、セイレーンは、その歌声で、人を魅了していたと言います。しかし、その美しすぎる歌声に引き込まれ過ぎて、船は次々と難破。美しい歌声で人々を死に追いやっていたのです。
これが元で、マーメイド伝説なども生まれていき、人魚=美しいというイメージが構築されていきますが、人魚は不吉な存在というイメージは強かったようです。この「セイレーン」という言葉は映画にも出てくるので、覚えていた方がさらに楽しめると思います。
ちなみに…このセイレーンは「サイレン」の語源だそう。美しい歌声で人を惑わせる為、いつしか「不吉な音」として認知され、「サイレン」の語源になったと言います。なんとも恐ろしい。
不吉な存在の人魚
人魚は“美しくて、楽しくて、優しい”という感じのイメージと思っていましが、実はそうではなく、人魚は“不吉で災いをもたらす”存在だったのです。
19世紀頃からアンデルセン童話の人魚姫物語によって美女イメージが強くなっていったそうですが、結構恐ろしいヤツだったんです。
今夏は、優しい人魚を観に劇場へ
Twitterより @lu_no_uta
このように、人魚は昔は不吉な存在でしたが、最近では、美しくて優しいイメージがついてきました。そのイメージの歴史は浅いですが、人魚はそのイメージの方がイイですよね。
そんな現代の優しい人魚が主人公の「夜明け告げるルーのうた」。優しい人魚たちが優しい気持ちにしてくれる傑作です。監督の「心から好きなものを、口に出して「好き」と言えているか?」という問いかけを意識して観れば、感動はさらに大きくなると思います。是非、劇場に行ってみてはいかがでしょうか?