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映画『不死身ラヴァーズ』佐藤寛太インタビュー「憧れの松居大悟監督作品に出演して」


松居大悟監督最新作のラブストーリー『不死身ラヴァーズ』が全国公開中です。本作は『進撃の巨⼈』の諫⼭創のアシスタントを経て漫画家デビューした⾼⽊ユーナによるコミックを原作にしたもの。

【ストーリー】「消えたっていいよ、私が消さないから」 ⻑⾕部りのが“運命の相⼿”と信じて追いかけるのは、両想いになった瞬間、この世界から忽然と消えてしてし まう甲野じゅん。⼆⼈は⼈⽣の中で何度も出逢い、その度にりのは「好き」と伝え、両想いになり、じゅんが 《消える》という出来事を繰り返していく。それでも諦めないりののどこまでも真っすぐな「好き」が起こす 奇跡の結末とは――。

本作で甲野じゅんを演じる佐藤寛太さんにお話を伺いました。

――本作大変楽しく拝見させていただきました。佐藤さんの「初めてこの作品を観た時、未だかつて無いほど恥ずかしくて、言葉が出ませんでした。」というコメントがとても印象的でした。(https://undead-lovers.com)

もうこんなに恥ずかしいと思うことは、記憶を思い返してもないほどで。初めて自分の演技を見た時ぐらい恥ずかしかったのかもしれないです。演技に対する反省というわけでもなくて、自分そのものすぎて本当にダサくてつまんないし、ギャグも大声出して面白い雰囲気を醸し出しているけどお前つまんないぞ!!って自分自身に叫びたくなるほど、もうなんか超恥ずかしかったです。 どうしていいか分かんなかったです。

――そんな!とても素敵でしたよ。

本当ですか?いや〜もう自分では恥ずかしくて仕方なかったですね。でも、松居さんの作品に出ることはずっと憧れでしたし、本当に僕にとって忘れない作品になりました。

――松居監督に出演希望をDMしたそうですね。俳優の方がSNSでそんなことをするんだとビックリしました。

同業者の方にDMを送ったのは初めてだと思います。写真方の方にはあるんですけどね。あと、水溜りボンドのカンタさんって、佐藤寛太って名前で同姓同名なんですよ。カンタさんにもDM送りました。SNSを辞めようと思ったことも何回かあったんですけど、こうやって直接つながれることがあるのは面白いなと思います。

――どの様なメッセージを送ったのですか?

さっき見返したんですけど、自分の想いを素直に書いて、「松居さんと会ってみたい」という内容でした。それを恋する乙女の様に「はやく既読つかないかな〜」ってずっとチェックしていて、返事が来た時すごく嬉しかったです。「(佐藤さんの出演作で)どの作品を観て欲しいとかありますか?」と聞かれて、「これとこれ観て欲しいです!」とやりとりして、その感想もいただいたりして。ありがたいですね。

――佐藤さんが松居作品と出会ったのはどんなきっかけだったのですか?

周りでも監督の作品がいくつか話題になっていて、最初は松居監督の作品だと意識していたわけではなかったのですが、意識すると「これも、これもそうだったんだ。俺すごく好きだな」と実感して。本もそうなのですが、映画を今まで「監督で観る」ということをしていなかったので、どんどんつながっていく感覚が新鮮でした。松居作品の中に出てくる人間って本当に面白くて魅力的なんですよね。『君が君で君だ』も『不死身ラヴァーズ』も、素晴らしく明るく描いているけど、ちゃんとその根底にある自己嫌悪だったり、惨めな気持ちも見せてくれるから、好きなんだと思います。

――おっしゃるとおりキャラクターの描き方が血が通っていて、素晴らしいですよね。そんな念願の松居組の現場はいかがでしたか?

松居監督はすごく接しやすかったです。友達のお兄ちゃんみたいな優しい方です。僕は現場に入る前に緊張したり、怖いなと思うことが多い方ではないのですが、この現場はすごく緊張しました。「もう一回」と撮り直しになった時にも、絶対に“答え”みたいなことを口にしないし、こっちが不安そうな顔をしていても、答えを教えてくれることは無かったので。それは、現場にいながらすでに「松居大吾クオリティを自分が出せているのか」不安だったからと思います。松居監督の作品に出ている俳優さんたちって、池松壮亮さんや成田凌さんなど、僕が憧れている方ばかりで、目指しているキャリアの皆さんで。そんな皆さんの様な芝居が出来ているのか、という不安がずっとありました。

――すごく素敵なじゅんでした。ものすごいパワーで向かってくるりのに対峙するという難しい役柄だったと思います。

自分はどちらかというとりのに向き合って、彼女から来たものを受け止めて返すっていうだけだったので、大変なのはもちろん主役の見上さんだと思います。見上さんが実際に風を切って走って笑って、悔しがって、泣いて。その感情の全てを受け止めて返したいという気持ちでしたし、見届けたいという想いもありました。

僕は甲野じゅんという1つの役を色々な角度で演じていますが、僕、クランクインの前、不安になるとナーバスになるのではなくてイライラしてしまう。「自分には何もかも足りないのではないか」と。誰かにではなくて自分にイライラするのですが、撮影の序盤はその感じがありましたね。どうすれば、1つのキャラクターの様々な側面を出せるのだろうかやっぱり考えたし、逆にそんなに見せなくてもいいのかな?と真逆のことを考えたりしていて。最終的には自分がやりやすいところをベースにしたところがあって、「自分がこう進んでいたら、こうなっているのかな」と考えながら役を作っていきました。

――会話がすごくリアルなトーンで続いていきますし、表情も隣にいる様に近くに感じられました。

これ、本当に不思議なんですけれど、あまりセリフを覚えた記憶がないんですよ。アドリブが多かったのもあるかもしれないんですが、アドリブってすごく特別なものみたいなイメージ持たれがちなんですけど、そんなことないんですよね。芝居の延長というか、監督がカットをかけなかったら続いていく時間という部分もあって。もちろんドキドキする部分もあります。どのくらい続くか分からないし、相手と同じタイミングで喋っちゃうかもしれない。そういう部分はソワソワしますが、『不死身ラヴァーズ』は、どう相手と向き合うかということのみに集中出来る環境だったので。

――本作への参加を通して学んだことはどんなことですか?

1個ずつ学んでいるし、1個ずつ多分失っていくものもあるんですよ、絶対。過去に出た作品を見返すと反省点ってたくさんあるんですけど、でもこの時の自分には2度と戻れないし、俺はもうこれを出来ないということもたくさんあって。それは成長のために受け入れていくしかないんですけど。今回ご一緒した見上さん、ユズ(青木柚)、松居監督やスタッフさんに「今のあいつともう一回仕事をしたいよね」と言ってもらえる様な芝居を続けていかなくてはと思います。

――松居作品常連の方もいらっしゃいますし、佐藤さんも今後色々な作品に出演されるかもしれないですね。楽しみです。

もう本当にそれはお願いしますね!って言ってるんですけど、「いや、寛太はなんかそういう感じじゃないから」みたいなことを松居さんって平気で言うんですよ(笑)。絶対出たいのに!

――佐藤さんが出演されている『正欲』も本当に素晴らしくて、これからもっとたくさんの作品で拝見出来ることが楽しみです。

ありがとうございます。「『正欲』良かったよ」ってすごく言っていただけるのですけて、今年決まってる仕事もほとんど観てくださった方からいただいてる気がします。岸監督から大きなプレゼントをいただいた気持ちです。今日の取材中に色々な質問とかしていただいて、「どういう役者になりたいですか?」と聞かれた時に、これまではあまり無かったのですが、例えば「ティモシー・シャラメが主演だから『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を観に行こう、とかホラーは苦手だけれどホアキン・フェニックスが出るなら絶対面白いじゃん」と思うことってあるじゃないですか。そういう役者になりたいなって。作品面白さを担保出来る様な役者になりたいなと。

――素敵です、ありがとうございます。佐藤さんは、本作のりのみたいに突っ走ってしまうことってありますか?恋愛じゃなくても良いのですが。

僕、インタビューで普通に恋愛のことも答えているんですけど、文字にした時にキモいなと思ってチェックを出してもらった際に自分で消しちゃうんです(笑)。結構りのに近いタイプだと思います。好きになったら突撃するし、だって止められないんだもんって。「会ってくれるまで30回連絡するわ」と宣言して、本当に連絡していると「分かったよ」って1回は会ってくれるから、そこからの勝負かなと。とりあえず会わなきゃ勝負は始まらないから、それまでの自分はもう捨てていくみたいな。そんな、りのと同じ様な突撃スタイルです。

――好きを好き!と言えることって素晴らしいですよね。この映画もそんなパワーがつまっている魅力的な作品だと思います。今日は楽しい時間をありがとうございました!

撮影:オサダコウジ


『不死身ラヴァーズ』

見上愛 / 佐藤寛太
落合モトキ 大関れいか 平井珠生 米良まさひろ 本折最強さとし 岩本晟夢 アダム
青木柚  前田敦子  神野三鈴

監督:松居大悟
原作:高木ユーナ『不死身ラヴァーズ』(講談社「別冊少年マガジン」所載)
脚本:大野敏哉 松居大悟

音楽:澤部 渡(スカート) 主題歌:「君はきっとずっと知らない」スカート(PONYCANYON / IRORI Records)

製作幹事:メ~テレ ポニーキャニオン 配給:ポニーキャニオン 製作プロダクション:ダブ

(C)2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 (C)高木ユーナ/講談社

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