吉野家って、実は秘密裏にいろんなグルメ展開をしてるんですわ。運営母体は吉野家や関連会社なんだけど、あえて吉野家という名称を隠して営業してるのですよ。つまり極秘ともいえます。その理由は、おそらく新たなグルメの可能性を手探りで追求しているから。ブランドには乗っからず、ピュアにグルメの可能性を探ってるのだと認識。
吉野家でバイトから企画部長に昇格した渡邉喜広氏が代表
たとえば『トノサマカルビ』(東京都新宿区高田馬場1-17-15)は吉野家が母体の焼肉屋。運営しているのは株式会社吉野家ホールディングスが株主となっている株式会社スターティングオーバー。吉野家でバイトから企画部長にまで昇格した渡邉喜広氏が代表。
時代の選球眼ありまくり
「吉野家の焼肉屋だよ!」と言ったほうが話題性があるのに、それをせず、ゼロからの挑戦。震える。その心意気に震えますわ。しかもこれ、ただの焼肉屋じゃあないんですわ。一人焼肉専門店なんですわ。孤独のグルメ、ぼっち飯、一人贅沢、とにかく一人の時代に一人焼肉をブッ込んできたわけで、時代の選球眼ありまくりですわ。
『焼肉ライク』が流行っていることを考えると当然の時流
しかも高田馬場は学生街。10~20代の若い世代こそ一人の時間を楽しむ傾向にあるといわれているし、一人焼肉の立地としても最強。神、いわゆるゴッド。事実、店舗に行ってみると、一人客がいた。女性客も、男性客も普通に一人焼肉を楽しんでいる。『焼肉ライク』が流行っていることを考えると当然の時流ですわ。
キムチとナムルが食べ放題
店内に入ると券売機があり、とことんオートメへーション化。焼肉定食メニューは690円からあって激安。でも今回は贅沢に1400円の熟成カルビ定食の食券を購入。席は一人一台のロースター。取材時はキムチとナムルが食べ放題。これは嬉しいです。とことんキムチとナムルが食べまくれますわ。
焼肉の下にはパリパリで新鮮なタマネギ
熟成カルビ定食は、ライス、焼肉3種、スープがセットになったもの。焼肉の下にはパリパリで新鮮なタマネギが敷かれていますわ。これ、地味に良き。吉野家の牛丼のタマネギは絶品だし、このタマネギも絶品なんですわ。
ガムも最初から1枚付いてくる。なるほど、後払いの店では会計するときに渡されがちなガムですが、最初から渡せば手間がかからない。天才ですわ。ジーニアスです。
タレがシミシミの焼肉でライスを食べる幸せ
焼肉はどれもしっかりとタレが染み込んでいて、あとからタレに浸さなくても十分おいしく食べられる。たとえ超高級な肉じゃなくても、タレで肉をおいしくする技術、これぞ日本の古き良き焼肉屋にある技術だと思うんですわ。
タレがシミシミの焼肉でライスを食べる。これ以上幸せな事ありますか? ありませんわ。タレはさすがにウマイ。ジワッと深くて雑味もくどさもない。過剰にしょっぱくもないし、絶妙な黄金比率。さすが吉野家ですわ。今まで培ってきた技術の集大成。
『トノサマカルビ』はすでに消滅
この『トノサマカルビ』ですが、もう閉店してしまい、食べることができないんですわ。もう営業してないと知って「こんなことってある?」「こんなの絶対おかしいよ」って思いましたわ。大好きだったのに消えたのですよ。
世界的なパンデミックの影響なのか、運営母体の方針が変わったのか、わかりませんが、けっこう人気があった印象があるので残念ですわ。またやってください。お願いします。
(執筆者: クドウ@地球食べ歩き)