TwitterやpixivなどでBL『AIスピーカー×独身サラリーマン』など独特な作品を披露している江久井さん(@kei_kisyu)が、病床の妹の生きる糧のマンガが打ち切りになったことを言えずに苦悩する兄を描いたマンガを公開しています。
※参考記事 これが「令和の最先端BL」……!? マンガ『AIスピーカーと独身サラリーマン』にハマる人が増加中
https://otajo.jp/85877 [リンク]
2 pic.twitter.com/tYQCxcpXr3—江久井(えぐい) (@kei_kisyu) September 30, 2020
4(完) pic.twitter.com/CU2mnlsgbQ—江久井(えぐい) (@kei_kisyu) September 30, 2020
「お兄ちゃんの夢が叶うまでは生きていたいなぁ」というのが妹の咲夜の口癖。「漫画家という俺の夢はいつからか妹の希望になっていた。賞に落選しても、同年代・年下がデビューしても、その思いが俺を夢を追わせてくれた」という兄の朝咲ですが、「今となってはそれも無い」と思います。
「お兄ちゃんが連載するまで生きていたいな」「お兄ちゃんが増刊号に読み切り掲載されるまで生きていたいな」「お兄ちゃんが賞を…いや…担当付きになるまで生きたいな」とだんだん現実的に変化していき、「この漫画が終わるまで生きたいな~」と言うようになった妹に、「生きる糧を俺の夢から他人の漫画に変えやがった!!」となる兄。
一ヶ月後。「…あ、お兄ちゃん!待ってたよ、アレ買ってきてくれた?」という妹。「ん、あ~洋服だっけ!?最近寒くなってきたもんな、ごめん買ってきてねぇや!今日は俺の貸してやるからさ!」「あ、ありがとう…?いやいやそうじゃなくて、今月号だよ、今月発売…売ってたでしょ」「…ごめん、買い忘れちゃった!!」と会話するふたり。「えー…」と残念そうな妹に、「言えない…言えるわけない…」と思う兄。「お前が糧にしている漫画、今月号で打ち切りなんだよ!」と心の叫び。「嘘つくのは心苦しい!でも知られるわけにはいかない!!」と思い、「ごめんな…」と謝り、「いいよ直ぐ手に入るもん」と妹が答えたところに、母が登場。「調子どう~?漫画買ってきたよ」との言葉に「!!!?」となる兄。
「ちゃんと二冊買ってきたよ~」「に、二冊も?」「うん、アンケート用に」という母に「良い読者かよ!!というかやばい!!バレ-」と焦る兄ですが、「あ!?お母さんコレ違う………!」という妹に「やだ間違えちゃった?買いなおして来るわ!」というのをチャンスと見て、「あのさ!ついでに!洋服買ってきてあげて!?俺女の子の服わかんないし!」と時間稼ぎに走りますが……。目を離しているスキに「お兄ちゃん、買ってきてるじゃん…」と雑誌は妹の手に……。「…あ。へー…。最終回かぁ、打ち切りだよね、この終わり方。悲しいな……………でも、お兄ちゃんが私に嘘をついてた事の方が悲しいよ」と言う妹。「今まで数えるくらいしかついたことなかったのに。何で嘘ついたの?」と聞かれて……。
「打ち切りって知ったら悲しむと思ったんだよ。ごめんな!」という兄に、「…また嘘ついた」とベッドから起き上がる妹。「お兄ちゃん嘘つくとき口が片方つりあがるんだもん。本当のこと言って!!」と迫ります。
「~ッ、お前が悲しむって思ったのは本当!でも実は…。う…打ち切りが嬉しかったんだよ!俺その作品に嫉妬してたから!急にお前の生きる糧になったりしてさぁ…。また“お兄ちゃんの夢が叶うまで生きていたい”って言ってほしかった。こんな考えお前に知られたくなかったんだよ」と素直に言う兄に「え…」となった妹は……。
「しょーもねー!?」と叫び、「え!何!?…つまりッ…」と「嫉妬→打ち切り!俺だけを見てくれる!?やったあ!→でも妹は悲しむし、こんなの知られたくない!→隠しちゃえ!」と分析して「こういうコト!?」と聞き、「だいたい合ってる」という兄に「ダッサーーー!!人としても漫画家としてもクソだーーー!!」とメッタ刺しに!
しゅんとする兄に、「…お兄ちゃん覚えてる?」と語りかける妹。「私が学校行きたいって泣いてさ…、お兄ちゃん学校の漫画描いてくれたよね。それがキッカケだったかな?毎日たくさん描いて見せてくれた。でもお兄ちゃんの夢ってさ、私の生きる希望になることじゃないでしょ…。思い出してよ、お兄ちゃんの夢はーー漫画家…でしょ」と笑顔で言う妹に、「うん…ごめん…俺間違ってた…」とダダ泣きする兄に「うわ、きたな…」と言いつつ、「いや、私もごめんね…。やる気出さそうとしてああ言ってたけど…私の糧はずっとお兄ちゃんだし…」とこりらも素直に言い、「え!?それってお前ッ……」となる兄に、「そーだよ、ごめんね!もー気にしないで漫画描いてよ!!」と伝えます。
それから、口癖が「お兄ちゃんが夢叶うまで、絶対生きてやるんだから」ともとに戻り、それに伴って兄の方も入選したり、読み切りが掲載されたり、ついには連載デビュー。しかし、「でもこの幸せは、そう長くは続かなかったーー」と。
「お兄ちゃんの漫画…新キャラ出過ぎかと思ったらもうラスボス戦…? なんか…早くない?フラグ回収とか風呂敷たためる?…大丈夫?」と辛辣に批評する妹。「あ、ねぇ…今月号見せて?」と言われ、「言えねぇ…!言えるわけねぇ」と思う兄。「俺の漫画、今月号で打ち切りなんだよ!!」と下を向くのでした。
『週刊ヤングジャンプ』(集英社)の賞を目指すために描いたというこの作品。江久井さんは「数あるネタの中から、“これがいいのでは”と担当さんが仰ってくれたので、アドバイスや修正を受けながら形にしました。賞を獲得することが出来たので、とても思い出に残る作品です」と話し、「最初と最後が繋がる繰り返しの話が好き」という自身の嗜好が出たストーリーだといいます。
兄の朝咲と妹の咲夜について、「病弱な妹を支える為に生きる糧になった兄。しかし恵まれた才能は無く、家族の応援と妹の為というだけで努力しただけの平凡な人間です。報われて欲しいのですが、この話で兄は打ち切りになってしまいました。でも1番の読者であり敏腕毒舌の妹が支えと糧になり、兄はまた漫画を描くと思います」という江久井さん。「打ち切り」がテーマの作品ですが、「好きな漫画の打ち切りはなんだって悲しいです! 面白いのにもっと続きが読みたいのに……!作者さんも辛いだろうな、と心が痛みます。私も漫画を描いて、それでご飯を食べていきたいので 自分の漫画の打ち切りを想像したら不安で辛くなります。絶対にそんなことなりませんように。まだ連載したこと無いのですが……一刻も早く連載をしたいです。打ち切りなんて一生経験したくないです」とコメントしてくれました。
江久井さんは、ギャグ・BL・ラブコメ・バッドエンド・メリーバッドエンドなど、多種多様で独創的なストーリーの作品をBOOTHで発売しています。「よろしければ読んでいただけると嬉しいです!」とのことなので、一風変わった作品を読みたいという人はチェックしてみてください。
かためマグロやさん(BOOTH)
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※画像はTwitterより
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