『シン・レッド・ライン』(1998)『ツリー・オブ・ライフ』(2011)で知られる巨匠テレンス・マリック監督最新作、第72回カンヌ国際映画祭において「人間の内面を豊かに描いた作品」に贈られるエキュメニカル審査員賞を見事に受賞した、サーチライト・ピクチャーズ作品『名もなき生涯』が公開中です。
五感を揺さぶる唯一無二の映像体験によって観る者を別次元へと誘い、今や生ける伝説と呼ばれる映画監督テレンス・マリックが、46年のキャリアの中で初めて実在の人物を描いた本作より、この度、主人公の農夫フランツ(アウグスト・ディール)が、徴兵拒否の意思を神父様に打ち明けるシーンの本編映像をが解禁となりました。
【動画】巨匠テレンス・マリック監督最新作『名もなき生涯』本編映像
https://www.youtube.com/watch?v=s_SVTOBXxaE
雄大な景色がひろがるオーストリアの山間、教会や家々から離れた場所で、神父様へ重大告白をするフランツ。「兵役は断ります。罪なき人は殺せない。他国を攻め、弱者を餌食に。聖職者まで、そんな兵士を英雄と持ち上げる。英雄は逆の人間です。」と打ち明けたフランツに、神父はみるみる表情を曇らせ「この話を他の者にも?奥さんには?家族には?…君の行動は周りに影響を及ぼす。考えたほうがいい。犠牲を払ったところで犬死だ」と諭す。ナチス統治下のこの国で、そんな行動に出たらどうなるのか…? フランツ自身はもちろん、共に暮らす最愛の妻と子供の立場は…? のどかな農村の生活音との対比が際立ち、想像を絶する覚悟がにじむ緊迫のシーンです。
巨匠テレンス・マリックが初めて描いた実在の人物であるフランツ。演じたアウグスト・ディールは「フランツは、裏表のないはっきりした人で、間違っていると思うと、それには加担できない。どんな子供だって、善悪の区別はつく、と同じようなことだ。その単純明快さがこころに強く響くんだ。なぜなら、現代では誰もが<イエス>と言い、ますます、付和雷同の世になっているから。この信念の明快さは大きな力を内包しているんだ」と、この時代を生きた人々にとっても、そして何かと苦悩や混乱の多い現代においても、一線を画す強さとたくましさを持った男であることを明かす。そんな人物を演じた本作について、徹底的な長回しで役者にゆだねていくマリック監督の撮影法によって、「撮影の最初期には役の史実を重視した。しかし、その後、まったく違ってきたんだ。フランツの完璧なコピーをつくるのではなく、もっと私の内面の感情をこの役柄に注ぎ込もうと考えた。わたし自身と役の人物が混ざっているんだ」と、ディール自身と役柄の境界があいまいにもなるほどに没頭した撮影を振り返っています。
76歳の巨匠テレン・マリックが作家生命をかけて人々に問う、戦争への加担を拒絶し信念に殉じた知られざる男の<名もなき生涯>。世界に再び争いの季節の足音が響き始めた今だからこそ、見る者の魂を揺さぶってやまないこの感動のヒューマンドラマを体験して。
【ストーリー】第二次世界大戦時、ヒトラーへの忠誠を拒絶し、ナチスに加担するより自らの信念に殉じた一人の農夫がオーストリアに実在した。彼の名はフランツ(アウグスト・ディール)、山と谷に囲まれた美しい村で、妻のフランチスカ(ヴァレリー・パフナー)と3人の娘と暮らしていた。戦火が激化し戦争に駆り出された彼は、ヒトラーへの忠誠を頑なに拒む。直ちに収監され裁判を待つフランツを、フランチスカは手紙で励ますが、彼女自身も村でひどい仕打ちを受け始める──。
(C)2019 Twentieth Century Fox
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