誰しも一つは未来に残したい大切な品、後生に伝えたい忘れ得ぬ想いを持っているはず。
創業300周年を迎えた2017年より「300年クローゼット」プロジェクトを展開している大丸松坂屋百貨店は、大丸ゆかりの品物とそれにまつわるエピソードを創業600周年となる2317年の未来に残して届ける収蔵品として、「90年間つれそった3枚の写真」「お祖母さんがあつらえたウェディングドレス」「戦火をくぐりぬけた雛人形」の3点を発表しました。
思い出の品と物語を300年先まで引き継ぐ
3点の品物は2020年1月9日まで大丸心斎橋店に展示された後、大丸松坂屋百貨店の倉庫にて保管され、300年後へと引き継がれることになります。
一見すると無茶な取り組みにも思えますが、倉庫内は湿度や温度、照度などの環境を博物館の水準で保ち、徹底した管理マニュアルによって持ち主の子孫への定期連絡方法などを社内で引き継いでいくとのこと。
300年クローゼット 大丸創業300周年記念企画(YouTube)
https://youtu.be/9opMxEiopnk
また特設サイトでは、持ち主が品物にまつわる想いやエピソードを語ったウェブ動画を公開中。
そのなかの一つ「戦火をくぐりぬけた雛人形」は、昭和13年(1938年)ごろに大丸心斎橋店にて購入された雛人形。大阪に生まれた持ち主のもとに叔父から贈られたもので、戦争が激化し大阪から疎開する日がやってきても、持ち主の母は迷うことなく雛人形の入った大きな木箱をトラックに乗せて疎開先へ持ったそう。それから年を重ねて持ち主は母親になり、おばあさんになった今でも、春がやってくるたびに雛人形を飾って桃の節句を祝っているのだとか。
今から80年以上前に購入された雛人形にまつわるエピソードにしみじみと感じ入ってしまいますが、さらに300年後の未来に生きる人々の目には果たしてどのように映るのでしょうか。
「300年続いてきた企業だからこそ」
展示初日となった12月26日には、大丸心斎橋店にてお披露目イベントが開催され、大丸松坂屋百貨店の好本達也社長が「通常300年後のことを考えることはなかなかできませんが、300年続いてきた企業だからこそできること、小売業としてお客様の生活の場に繋がっていく企業だからこそできることがあるのではないか」と、プロジェクトへの思いを宣言。
300年後……この世界がどう変化しているかも想像がつかない遠い未来。もし人類が地球以外の惑星に移り住むことになったとしても、大丸は「このプロジェクトを引き継げる方法を、最後まで諦めずに検討いたします」「この宇宙に人類が存在し、買い物という行為がなくならない限り…」と述べています。
「300年クローゼット 大丸創業300周年記念企画」特設サイト:
https://300closet.jp/
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