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なんでみんな残業してるの?(ピコシムのブログ)



今回はピコシムさんのブログ『ピコシムのブログ』からご寄稿いただきました。


なんでみんな残業してるの?(ピコシムのブログ)



こんにちは、ピコシムです。


最近はコンプライアンスが社内でとても声高らかに叫ばれるようになり、個人情報保護や、社内ルールの徹底などが厳しくなっています。


そんな中、めちゃくちゃ緩いものがあります。


それは、終業時間です。


もはや自転車の赤信号無視と同じくらい、全く守られていません。


今月は、ブログを書く時間が残業によって削られています。


最近直属の上司が変わり、仕事を定時で上がろうとした私に思ってもいない出来事が起きました。


ある日の夕方、


私 「お疲れ様です、帰ります」


上司「ピコシムくん、みんなが残っているのに君だけ帰るなんてヤバイよ」


私 「えっと、今日の分の仕事は終わったので帰ります」


上司「だから、君だけ帰ったら他の人が気を悪くするじゃん。何でアイツだけ先に帰るんだよ!って気持ちになるでしょ」


私 「・・・」


上司は大変真面目な方で営業成績もよく、周囲からの信頼も厚い方です。


が、しかし、


『何で8時間も働いて、特に急ぎの仕事もないのに何で残業する必要があるんだよ!』と思いつつ、


残業している人たちは、何をしているのか、なぜ残業しているかは、ブログのネタになるので『取材として』残業をしました。


残業をしている人に付き合ってみて分かったこと


夕方5時以降、残業をしている人は何をしているか見ていると、周囲と談笑しつつダラダラと作業しています。


特に急ぐわけでもなく、1時間で終わる仕事を3時間に伸ばしてやっています。


いや、自分残っている意味ないでしょ。と心のツッコミを入れつつ、彼らは特にめちゃくちゃ忙しいわけでない。


疑問に思ったこと


・今、残業してまでこの作業する必要があるの?

・残業して、ゴールを決めないミーティングって時間のムダでしょ?

・この作業が残業のコストと見合ったものなの?

・残業している人たちは、仕事が終わった後何も用事がないの?

・要領悪く長時間残業して、俺はめっちゃ忙しいと言う社員と、君は夜遅くまで頑張ってるねという上司は、思考停止してんじゃないの?


『昨日も帰宅時間が深夜0時だったんだ』と誇らしげに言う上司に、昨日も大変でしたね。と労う素振りを一応見せた私ですが、


バカなの?と不愉快な気分になったので、


なぜ彼らをはじめ多くの日本の労働者が、


・なぜ残業するのか

・残業のメリットは何なの?

・残業をなくして成功した会社は何をしたの?

という視点で考えてみました。


残業をする理由


エン・ジャパンがなぜ残業するか理由を調査しているので、引用します。



引用:第104回 「時間外労働(残業)について」(アンケート集計結果レポート)|エン人事のミカタ by エンジャパン

https://partners.en-japan.com/enquetereport/old/104/


1.常に仕事量が多い


「正社員の最長残業時間、企業の2割が「過労死ライン」超え」2016年5月17日『マイナビニュース』

https://news.mynavi.jp/article/20160517-a305/


正社員はコストが高く、容易に解雇ができないため簡単に人員が増やせません。


2000年代に中高年のリストラをして中間管理職が減らされ、新卒採用を抑制したため、正社員の労働者を減らすことに成功しました。ところが、景気も回復し受注が増えると、社内の人員が不足して一人あたりの業務量が増加しました。


かといって、経営サイドは正社員を増やしたくないので、現状維持の長時間労働をさせておこうとします。


2.取引先からの要望(納期など)にこたえるため


納期を守ることは世界的に見ると珍しいことです。


ハフィントンポストに興味深い記事がりました。


島国で、ムラ社会的なところがあるからかもしれない。同僚もお客さんもお互いに監視している状態で、「きちっとやらなきゃ」という強迫概念が強い感じがしますね。


「メイロマさんインタビュー「『いまの日本』が当たり前じゃないと気づいてほしい」―「いま、日本で働く」ということ(3) 」2013年05月22日『ハフィントン・ポスト』

https://www.huffingtonpost.jp/2013/05/21/story_n_3311122.html


終業間際に明日朝一で◯×商品届けて、などと取引先から言われたら業務上対応しなければなりません。納期がキツキツの案件は、何としてでも間に合わせねば、信用が無くなり次回の発注が危ういです。


3.常に人手不足だから


常に仕事量が多いという1にも書いた理由と同じです。


4.時期的な業務があるから


業界によって繁忙期閑散期が異なります。


飲食業界なら1月、3月、7月、9月、12月


コンビニ業界1月、7月、8月、12月


小売業界なら2月、4月、7月、8月


不動産業界は、10月から3月まで など、


また、部署によっても


経理は、月末と月初、4半期決算月、決算月が繁忙期など定期的な繁忙期があります。


そこで、変形労働時間制という制度があるのだけど。


「Q3.変形労働時間制とは何ですか。」『労働政策研究・研修機構(JILPT)』(掲載終了)

http://www.jil.go.jp/rodoqa/01_jikan/01-Q03.html


5.年々業務が複雑化しているから


1人で複数の業務を担当したり、新たな事業により作業項目が増加、業務のIT化、コンプライアンスの遵守、セクハラ・パワハラ等ハラスメントへの対応、メンタルヘルス対策等それに伴う、報告書の作成や関連部署と連携など、やることは沢山増える一方です。


ここまで、長時間労働についてみてきました。


で、どうすればよいのか?


ボストンコンサルティンググループ 代表社員 イヴ・モリュー氏は、6つのシンプルな提案をしています。


同僚の仕事を理解する

・まとめ役を強化する

・最小限のルールの中で、一任した権限をマネージャーに与える

・将来の影を濃くする

・相互関係を深める

・協力している社員を褒め、しない社員を責める


「なぜ会社と社員の生産性が落ちているのか?6つの」 『ログミー』(リンク切れ)

http://logmi.jp/21363


興味のある方は、読んでみては。


そんなこと、言ったって、他にも沢山問題があるじゃんと


更にできない理由を並べてみました。


1.長時間労働が増加して人事評価される


日本や韓国では長時間労働が人事評価の対象となっています。長時間働いていると、頑張っているように見えるからです。


フルタイムの男性雇用者のうち、平日に1日10時間以上働く人の割合は、1976年時点の2割弱から4割を突破。労働時間は増加傾向にあり、このままでは十分な家事・育児時間を捻出できそうにない


「日本では、なぜ「長時間労働」がはびこるのか/週刊東洋経済(ビジネス) 」2015年4月19日『東洋経済オンライン』

https://toyokeizai.net/articles/-/66272


日本と韓国は目上の人間に対して忠誠心を見せることが評価の対象になります。例えば年上の人が間違ったことを言っても指摘せずに放置した方が良いのです。


目上の人へ意見することは、忠誠心がない、反発的だなどと見られて上司から不利な扱いを受ける可能性があります。


それって、超どうでも良くて、成果を出し続けているパフォーマンスの高い残業をしない人を評価した方が良いんじゃないの?


2.安い基本給を補う生活残業として


基本給が安く設定されているので、残業代で稼がないと豊な生活ができません。特に家族持ちは基本給だけでは大変です。


ダラダラ仕事をして、更に残業代が1.25倍も賃金が貰えるなんてヤラないやつはバカでしょ?基本給が安すぎて、まともにやってたら生活できないし、家のローン、子どもの学費、貯金もしなきゃいけない。


「残業の7割は無駄という実態が明らかに!仕事の生産性を高める工夫とは」2014年12月17日 『マイナビニュース』

https://news.mynavi.jp/article/20141217-overtime_q/


news.mynavi.jp


3.副業が禁止されているから残業で稼ぐしかない


日本の7割の企業では副業が就業規則で禁止されています。公務員でも同様に副業は禁止になっています。


だから、本業で非効率な作業を増やして残業しないと、所得が増えません。


以前、


「国は公務員の副業を積極的に奨励しよう!」2016年6月22日『ピコシムのブログ』

https://www.picsim-blog.com/entry/2016/06/22/212054


という記事を書きましたが、副業禁止をしている国は日本の全ての公務員と、フランスの幹部公務員だけです。


なぜか日本は、民間企業までもが副業禁止や承認制・許可制を就業規則で定めています。


ですが、就業時間後の過ごし方まで拘束するのは、


「奴隷と労働 2千年前と変わない人間の本質」2016年8月8日『ピコシムのブログ』

https://www.picsim-blog.com/entry/slavery_2016-08-08


で取り上げた通り、古代ローマの奴隷と同じです。


(奴隷は)片手間で自分の商売をしないこと。それを許せば注意散漫になるだけだ。


奴隷のしつけ方 第2章 奴隷の活用法


現代では、労働契約によって、就業時間以外は自由身分のはずですが、日本では民間企業の7割ので副業を禁止されています。


「奴隷と労働 2千年前と変わない人間の本質」2016年8月8日『ピコシムのブログ』

https://www.picsim-blog.com/entry/slavery_2016-08-08


長時間労働は労使のメリットが一致した結果


長時間労働は特定の会社員個人の責任ではありません。上司のマネジメント能力が低いだけでなく、経営サイドも長時間労働をしてもらったほうがメリットがあります。


労使共通


・正社員は解雇されない、解雇できないので持ちつ持たれずの関係になる

・正社員の数が少なくし、契約社員、派遣、パートを使ってコストが減る


 

労働者側


・目先の定時退社よりも周囲の人間関係に同調するほうが楽

・残業したほうが月収やボーナス収入が増える(定時退社のインセンティブがゼロ)

・業務フローを改善するのは他部署とのやりとりもあって面倒

・そもそも仕事量が多くて帰れない


 

経営者側


・長時間労働をしてもらったほうが、転職する時間もなく自社に繋ぎ止められる

・下手に定時退社されて業績が落ちたら大変だから現状維持

・正社員はコストが高いため人員を増やすより、1人あたりの業務量を増加させる方が良い


 

結果、残業したほうがお得という社会全体の構造的な問題です。


だから、どうすればよいのか?


個人でできること


組織は急に変わるとはとうてい思えないので、


・定時退社しても周囲の人間関係を傷つけない言い訳リストを作り実行する(親の介護、子どもの保育園のお迎え、妻がうつ病で、最近ストレスで精神科医に残業するなと言われて、、etc)

・副業OKな会社にいる場合、「この後別の仕事をするので帰ります」


かといって、定時退社が成功しない場合は


・労働条件の良い会社へ面接・転職


年齢等条件が悪い場合は


・労働環境の良い国への移住(たぶん恐ろしく少数派)


最良ではないけど、ベターな解決策


・国や会社の制度が変わるのを待つ


 

企業や組織で制度設計する人ができること


・社員の働きやすい環境を作る

(本社移転、一人のスペースを広げて医療・食事環境を充実)

・残業を減らす。残業を減らすと給料が減ることを危惧した社員には浮いた給与分の経費をそのまま給与に回して全額返した


これで、収入が減る心配は減ります。


すると気力や体力が増えるので、


・社員が考えるようになり業務効率化

・説明のための資料作りは無駄、口頭で説明させる

・有給取得を必ず達成させる


その結果、


・有給取得率が向上して、

・4年間で社員の第2子誕生が倍になり、

・業績は落ちず、右肩上がりになる


そんな企業になります。


「残業半減、有給取得97.8%!第2子誕生が倍!! SCSK会長 中井戸信英氏の職場改革がスゴすぎる」2016年3月1日『NAVER まとめ』

https://matome.naver.jp/odai/2145681242069887901


俺の会社は、そもそもサービス残業で金なんか貰えない!という人は、


『労働基準監督署』に行きましょう。


最後までお読み頂きありがとうございます!


次回もお楽しみに!


 

執筆: この記事はピコシムさんのブログ『ピコシムのブログ』からご寄稿いただきました。


寄稿いただいた記事は2019年12月21日時点のものです。


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