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食物繊維が腸の働きを促して便通を良くする








そもそも食物繊維とはなにか




昔は殆ど注目されていなかったのに、最近になって注目を浴びる機会が増えた栄養素である食物繊維。

食物繊維は簡単に言えば「人間が殆ど消化・吸収できない成分」全般の事で、糖分やタンパク質、ビタミンやミネラルのように人の体内で積極的に吸収される事が無く、食事で摂り入れた分の殆どがそのまま便として排出されます。



そのため、以前は食物繊維=ゴミのようなイメージもあり、健康や美容のために積極的に摂り入れようと考えられるものではなかったのですが、近年になって食物繊維は腸内環境の改善など人体にとって必要となる様々な効果を持っている事が判明してきたため、注目されるようになりました。




現代人の食事では食物繊維が十分にとれない




食物繊維が注目を浴び始めた理由の一つが、現代人は食生活の変化によって十分に食物繊維が摂取できていないという事が判明してきた事も理由の一つ。

食物繊維を摂取する量の理想としては、成人であれば一日に24gが基準とされているものの、現代の食生活では平均で15g程度しかとれていないという事が分かっています。



なぜこんなにも摂取量が不足しているのかというと、昔ながらの食事では繊維質の多い野菜類が多かったのに対し、現代食は肉が中心の副菜となっている事や、主食も食物繊維が豊富な玄米など精製されていないものから食物繊維が少ない白米などに移行しているという事が理由に挙げられます。

この食物繊維の不足により、便通の悩みや腸内環境の悪化といったトラブルを抱えている人が増えているという面も大きいのです。




食物繊維は腸内の善玉菌を育てる




食物繊維の役割というと腸内の老廃物をからめとって掃除してくれるものという印象が強いですが、もう一つの重要な役割が腸内にいる善玉菌の餌となって、善玉菌を育てるという事です。



食物繊維には水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の二種類がありますが、このうち水溶性食物繊維は腸の中にいる善玉菌の餌となり、腸内の最近バランスを良く保つために重要となります。

また、腸内細菌によって分解されて体内にも吸収されるため、食物繊維は0kclではなく、1gあたり1~2kcal程度はあり、完全に栄養として利用されないわけではありません。




水溶性食物繊維と不溶性食物繊維




水溶性食物繊維と不溶性食物繊維はそれぞれ体内での働き方が大きく異なるため、もう少しく紹介します。




水に溶けて食べ物の吸収を穏やかにする水溶性食物繊維




水溶性食物繊維は、水にとけてドロドロの状態になるという性質を持っている食物繊維。

ドロドロの状態で食事を包み込み、胃や腸の中での進行速度をゆるやかにするため、食事の吸収速度を抑えて急激な血糖値上昇などを防ぐ働きがあります。

また、体にとって害のある成分も包み込んで吸収しないようにし、便として排出させる効果も持っています。



さらに、上記で紹介したように水溶性食物繊維は腸内の善玉菌の餌となって、善玉菌が増えるのを補助するため、腸の環境を改善するために役立ちます。

水にとけるため、便を柔らかくしたい時に効果的です。



水溶性食物繊維である成分としては芋類などに含まれる「ペクチン」、海藻類に多い「ヘミセルロース」「ガム質」、トクホなどで認定を受けている「難消化性デキストリン」などがあります。




水に溶けず便をカサましする不溶性食物繊維




一方、不溶性食物繊維は水に溶けず、そのまま胃や腸を通過していく食物繊維。水にとけるのではなく、水を含む性質があるため、スポンジや増えるわかめのように腸内で膨張します。

水を含んで膨張すると便のカサ(量)が増え、便が大腸の壁に触れる事で腸の動きが促されます。

不溶性食物繊維の代表的なものとしては穀物類に多い「セルロース」や、最近糖質カット食品などに利用されている事の多い小麦ふすまなどに含まれる「リグニン」「ヘミセルロース」などがあります。




大腸のぜん動運動が少ない「弛緩性便秘」の場合は、不溶性食物繊維の摂取を




以上のように、食物繊維は便の状態と非常に密接な関係があります。

その為特に便秘の人は積極的な食物繊維の摂取が推奨されるのですが、特に食事をしてもなかなか腸が動かず、便が移動しない=便意がそもそもおこらないような「弛緩性便秘」の人は、不溶性食物繊維を多めにとるようにすると良いでしょう。

不溶性食物繊維によってカサが増えた便が大腸を刺激し、大腸の動きが促される事で排便がされやすくなります。

また、便の量が多いので腸の動きによって便が移動しやすくなり、便秘の解消に役立ちます。




便意があるけど出ないタイプの人は不溶性食物繊維がNG




一方、便秘には腸は動いているものの、ストレスなどによって腸の動きが不規則となって便が正常に出て来なくなる「痙攣性便秘」や。便が腸内を移動し、排便直前の直腸まで移動しているにも関わらず便意がこない「直腸性便秘」の場合には、不溶性食物繊維を積極にとる事はNGです。

というのも、これらの状態はそもそも腸は動いているので便のカサをわざわざ増やして腸を刺激する必要はありませんし、単純に便の量が増えると余計に出にくくなって、便秘が悪化してしまう場合があります。




腸が細いなど体質的な便秘の場合も不溶性食物繊維の取り過ぎは危険




大腸の手術などによって腸の一部が細くなっているような場合や、生まれつき大腸の一部が細いというようなタイプの人も、不溶性食物繊維の取り過ぎは避けるべきです。

便の通り道が細いため、便の量を増やすと逆に腸の中で詰まりやすくなり、便秘が悪化してしまう場合があります。

お腹(腸)は動いているけどその度に一定の場所が痛くなるというような場合、大腸の形状が詰まりやすくなっている器質的便秘の可能性があるので、一度病院で検査を行った方が良いでしょう。




痙攣性便秘や直腸性便秘でも水溶性食物繊維の摂取はOK




水溶性食物繊維は、不溶性食物繊維と異なり便の量を増やすのではなく、便を柔らかくするという働きをするもの。

そのため、痙攣性便秘や直腸性便秘でも積極的に摂取して、便が柔らかくて排便しやすい状態にする事が有効です。



そもそも腸が動かない弛緩性便秘は加齢や出産などによって腸の動きが弱くなる事が原因であるケースが多いので、多くの人はストレスによる痙攣性便秘や、便意の我慢しすぎによる直腸性便秘。または薬の副作用などによるもの。

腸内で膨らんでお腹をスッキリさせるといった不溶性食物繊維がマイナスに働く可能性が高いので、自分自身の症状をよく見極めましょう。




水溶性食物繊維が多い食事は少ない




じつは、食物繊維の割合として殆どの食品は大部分が不溶性の食物繊維であり、水溶性の食物繊維が多い食品は非常に少なくなっています。

例えば食物繊維が多めの玄米なども、含まれている食物繊維の大半は不溶性であるため、便の量を増やすためには有効ですが腸内環境を整えるためには効果が高くありません。



比較的水溶性食物繊維が多い食事としては、ごぼうや大根、海藻や熟した果物など。主食では芋類は比較的水溶性食物繊維が多いとされています。



食物繊維を含む食品としてイメージしやすいこんにゃくも市販品の殆どは不溶性食物繊維であり、特殊な製法をしている一部のこんにゃくだけが水溶性食物繊維主体となっています。




水溶性食物繊維を積極的に摂るためにはサプリも有効活用




水溶性食物繊維を積極的に摂取するためには、食事だけではなくサプリも有効活用しましょう。

特に、最近数多くのトクホ食品に配合されている「難消化性デキストリン」は水溶性食物繊維として活用しやすく、手に入れやすいというメリットがあります。

食物繊維が配合された健康食品やサプリは数多く販売されていますが、どちらのタイプかしっかり調べて取り入れるようにする事が重要です。

食物繊維の特性を上手に利用して、悩ましい便秘の解消を目指しましょう!


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