アトピー肌の特徴
アトピー肌(アトピー性皮膚炎)は、肌がアレルギー反応によって炎症を引き起こしてしまうもので、炎症から肌の強い痒みや、赤い発疹が継続的に肌に作られるという症状をさします。
炎症によって発疹が引き起こされる範囲は主に顔や首などの部位のほか、肘や膝といった乾燥しやすい箇所が中心となりますが、人によっては全身に広がってしまう場合があります。
厚生労働省の調査によると様々な世代で大体1割程度が何らかのアトピー症状に悩まされていて、実は悩みを抱える人がかなり多い肌トラブルとなっています。
アトピー肌の原因
アトピー肌は「アレルギー」の一種であり、根本的な原因は人によっても異なるため、完全な治療方法があるものではありません。
しかし、肌のアレルギー症状がアトピー肌と変化していってしまう流れは多くのケースで共通していて、肌の乾燥と肌を掻きむしる事による悪循環が問題となります。
まず、アトピー肌の原因として肌がアレルギー反応を起こすと、炎症によって痒みを感じるようになります。
痒みを感じる部分をかいてしまうと、肌表面が削られ、場合によっては傷が出来ます。
肌表面には角質層によるバリア機能がありますが、これが取り去られてしまう事で、肌は乾燥しやすくなり、紫外線や外気などによる刺激を受けやすくなります。
刺激を受けると再度痒みを感じたり、アレルギー反応が引き起こされやすくなるため、その部分をまたかいてしまい……という悪循環によって、アトピー肌が深刻化していってしまうのです。
つまり、アトピー肌を改善していくためにはなるべく肌のバリア機能を高めたり、刺激を避けられるように過ごす事が大切になります。
アトピー肌の人が避けたい食べ物
アトピー肌の人が積極的に摂取するべき食べ物としては、肌の代謝を正常に促し、バリア機能を高めるものです。
具体的には、肌の材料となるタンパク質やコラーゲンを多く含んだ食材の「お肉」や「魚」や「大豆」ですが、特に豚肉など人の体に吸収されやすい栄養バランスのものが良いでしょう。
また、肌の代謝を保つビタミンB類やビタミンE、亜鉛などのミネラルも重要なので、カボチャやアボカドなどの野菜類にアーモンド等のナッツ類の他、牡蠣や海藻類も積極的に食べたい食品です。
その他には、体のバリア機能を高めるために抗酸化作用が強い栄養素も積極的に摂取すると良いでしょう。
例えばイチゴなどの果物をなどでビタミンCをこまめに摂取したり、トマトのリコピンなどを取り入れるのも有用です。
アレルギー反応のある食べ物は避ける
アトピーの場合、その原因がアレルギー反応にもあるため、体質的に合わないと思った食事は避ける事も必要です。
食べた直後に湿疹が出るなどはっきりと問題がある場合は当然ですが、どうしても食べると気分が悪くなるなど、何となく体の不調につながっていると判断できるものも避けた方が良いでしょう。
好き嫌いを推奨するものではないのですが、食事は精神的にも良い形で摂取する事が免疫を高める一つの方法でもあるので、無理に苦手な食材や不調を感じる食事を食べるよりは、食べて楽しいと感じられるものの中で栄養バランスを取る事が大切です。
アトピー肌に合う化粧品の選び方
化粧品の選び方としてアトピー肌の方全般で共通するものは、肌に対する刺激が少なく安全性が高いものを選ぶ事です。
安全性が高いといってもオーガニックなどが良いわけでは無く、パラベンなどの防腐剤や着色料、香料などがなるべく利用されていないものを選ぶと良いでしょう。
防腐剤(保存料)は「パラベンフリー」と書かれていても、フェキシエタノールなど他の防腐剤成分が多く含まれている場合などがあり、そちらの方が刺激が強い場合もあるので注意が必要です。
刺激の強さは試してみないと分からない
実際の所、化粧品を選ぶ際は成分表を見てもどの成分がどの程度配合されているかは殆ど不明ですので、特にアトピーなどトラブルがある部位に利用する際には、実際に塗って1日程度おき、刺激を感じるかどうかというテストを行って選ぶ事が理想です。
そもそも人によってアレルギーの原因となる成分や、刺激を感じる成分も異なるため、なるべく刺激が少ないものという点では共通ですが、刺激が少ないものを見つけるためには個別に試してみるしかありません。
ドラッグストアなどのテスターを利用し、最適なものを見つけましょう。
改善にはヒトセラミドが多く配合されているものを選ぶと
アトピー肌の症状として、肌のバリア機能であるセラミドの分量が減少してしまっているというものがあります。
セラミドは肌の代謝が行われる際に作られるのですが、肌の代謝が乱れているアトピー肌の場合、保湿機能そのものが低下し、これが肌の潤いが不足して刺激を感じやすくなる原因でもあるのです。
そこで、スキンケアコスメに利用したいのが「ヒトセラミド」。セラミドの中でも人の肌にあるセラミドと同じ構造のため、肌に塗ればそのまま自然に作られた保湿成分と同じように働く事ができます。
ヒトセラミドの中にも色々な種類があり、セラミドの持つ機能によって「セラミド1」や「セラミドAP」などの分類があったり、より肌に定着しやすい「長鎖型」のセラミドなどの種類があったりしますので、現在の肌状況に合わせて選択するようにすると良いでしょう。
アトピー肌を改善する方法
アトピー肌を改善させるためには、とにかく「肌のバリア機能を育てる」事が重要です。
痒みによって肌を掻きむしってしまったり、過剰な洗顔などを行ってしまうと、肌のバリア機能が育つ前に無くなってしまいますので、まずはこういった習慣を改善するようにしましょう。
ステロイド系の医薬品は利用に細心の注意を
かゆみを抑える医薬品として、肌の機能そのものを低下させる「ステロイド系」の軟膏が利用される場合があります。
ステロイドを肌に塗ると、肌細胞の活動そのものを抑える事によって、炎症によって肌が痒みを感じたりといった症状を即座に抑える事が可能なので、一昔前は皮膚科系の治療ではかなりの頻度で利用されていました。
しかし、薬の効果から分かるように、肌細胞の活動が抑えられてしまうため新しいバリア機能も作られず、肌の状態はいつまでも改善しないまま。むしろ、ステロイドを利用していると肌のバリア機能は更に弱まってしまうため、ステロイドの利用をやめた瞬間により強い痒みを感じるようになるといったケースもあって、ステロイドは特に慎重な利用をするべき薬であるとも言えます。
現在はステロイドにより痒みを抑えながら、しっかりと肌のバリア機能を改善していく治療法として研究が進んでいますので、信頼できる医師の指示に従いながら、適切に薬を利用する事が改善への近道となります。
食事など生活習慣の改善も必須
肌のバリア機能を高めるためには、食事や睡眠といった生活習慣の改善も必須。
肌に刺激が加わらないように注意を払っていても、そもそも肌を正しく育てるための環境がなければ改善にはなかなか繋がりません。
上の方で記載したような肌のバリア機能を高める食事と、なるべく夜10時前からの睡眠。そしてなるべくストレスを感じない環境で過ごすなど、生活習慣も含めてしっかりと改善を行いましょう。
アトピーの炎症が悪化した場合の対処法
アトピーによる肌の炎症やかゆみは、生活習慣の微妙な変化など様々な理由によって悪化してしまう場合があります。
この場合の最適な対処法としては、強い痒みを抑えるための対処を行って、ケア方法は変えない事です。
炎症が悪化して痒みが強くなると、肌を清潔にしようと洗いすぎたり、新しいケアが必要だと感じてスキンケアコスメなどを変更したりしがちですが、これらの追加ケアが余計な肌への刺激を生み出し、アトピー肌の症状を悪化させていく場合もあります。
もちろん、そもそものケア方法が間違っていたら見直す必要はあるのですが、肌に合うコスメなどをちゃんと見つけているのにも関わらず、新しいものを探そうとすると結果的に肌に合わないものを利用する形になってしまう場合があるので、ケアはそのままを維持した方が良いでしょう。
ただし、炎症が悪化しているという事はかゆみなども強くなるという事ですので、そのまま放置すると掻きむしって悪化させてしまうというのも事実。
早めに医師へ相談するか、市販薬であればなるべくステロイド系でないかゆみ止め軟膏などを利用して、痒みを抑えるようにしましょう。
また、肌が空気に触れると刺激を感じて痒みを引き起こしやすいので、短期的なケアとしてはワセリンのような軟膏を厚めに塗ったり、ラップなどで空気との接点を減らすのも、痒み軽減には効果があります。
アトピー肌は簡単に解決できるものではありませんが、痒みを抑えながら肌のバリア機能を育て、少しずつでも改善していくようなケアをしていく事が大切です。