海外メディアVRScoutは、2017年4月17日において、「Virtual Fitting Room」を紹介した。
今年はじめにイギリス・ロンドンで開催されたLondon Fashion Weekでは、ファッション・デザイナーとアプリ開発者のコラボから生まれた革新的なARシステムが披露された。
以上のコラボの中心にいたのが、ロシア出身で現在はオーストリアで活躍しているファッション・デザイナーのSabinna Rachimovaと、スマホアプリ「Pictofit」を開発したReactive reality社である。
Sabinna Rachimova女史は「見た服をすぐ買う(buy now, see now)」というビジネスモデルを展開していることで知られている。このビジネスモデルは、ファッションショーで見せた服を、その服を見て気にいったショーのギャラリーにすぐに販売する、というものだ。
「Pictofit」とは、自分の写真と服の画像を合成して、ディスプレイ上でバーチャルな試着ができるというスマホアプリだ。
こうした両者のコラボによって生まれたのが、Hololensを使ったARフィッティングシステム「Virtual Fitting Room」である。
同システムを活用するためには、まず試着するヒトのホログラムを作るために、デジタル一眼レフカメラが64台設置された撮影室に入る(下の画像参照)。この部屋で撮影した写真をもとにして、ホログラムを作るのだ。
合成したホログラムをHololensに取り込んだ後、Hololensを装着すると目の前にホログラムのヒトが現れる。そのヒトにあらかじめ用意しておいたホログラフィックな服を着せていくのだ(下の動画参照)。
このHololensを用いた試着では、ヒトのホログラムの身長や体型に合わせてホログラフィックな服のサイズが最適化されるので、リアルな試着よりぴったりなサイズの服を着た姿を素早く見ることができる。
同ARシステムに関して、Reactive reality社のCEOであるStefan Hauswiesnerは、以下のようにコメントしている。
ARには、ヒトとファッションの関わりを変えるチカラがあります。
Virtual Fitting Roomを活用すれば、朝に着る服を決めることからインターネットを使って服を買うことにいたるまで、わたしたちは見たい自分を(ホログラムを介して)すぐに見れます。
そうした見たい自分を見て、違う服の組み合わせを試したり、友だちに見せてどう思うか聞くこともできます。
未来におけるヒトとファッションの関係を垣間見せる同ARシステムの弱点は、ホログラムを合成する撮影室がどこにでもあるようなものではない、というところだろうか。
しかしながら、この弱点も克服できないことはない。例えば、現在のプリクラがポートレートを撮影すること自体を一種のイベントとしているように、自分のホログラムを合成することを楽しむようなビジネスモデルを構築すれば、「セルフ・ホログラム」が自然と普及するだろう。
ともあれ、ARはVRに匹敵するビジネスチャンスがまだ手付かずの状態にあると見て間違いないのではなかろうか。
「Virtual Fitting Room」を紹介したVRScoutの記事
http://vrscout.com/news/virtual-fashion-dressing-room-hololens/
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.