スマートフォンのような小型端末を使って、3D映像を投影することが可能になるかもしれない。そんなSF作品のような装置に繋がるかもしれない技術がANU(オーストラリア国立大学)で研究されている。
ホログラムと通常の写真・モニタ
今回ANUで開発された装置は、これまでで最高の品質を持った3Dホログラムの生成が可能だという。
ホログラムは通常の写真やモニタに表示される映像とは異なる。これまでの画像は二次元であり、平面の情報しか持たなかった。しかし、ホログラムは三次元のデータを必要とする。
従来の方法で3Dホログラムを生成するには、複数のカメラによって複数のアングルから被写体を撮影する手段がある。この方式でホログラムを作成する場合、対象の大きさに合わせて大きな装置を準備しなければならないのが難点だ。
新開発の装置
今回開発された装置は、小型でありながら質の高いホログラムの生成が可能なのが特長だという。
詳細はともかく、大枠の仕組みは単純だ。カメラを複数用意する代わりに、一つの装置に極小のセンサーを無数に搭載している。その一つひとつが、あらゆる方向から届く光の情報を記録する。
一つのセンサーは、人間の髪の500分の1という驚異的な細さのシリコンでできた柱だという。ANUの発表によれば、装置にはシリコンの柱が数百万本も埋め込まれている。数多くのセンサーを使うことで、ホログラムの品質を確保することに成功した。
新素材の応用
この新素材はスターウォーズに登場したホログラムの投影装置にも繋がるかもしれない。だが、応用範囲はそれだけではない。SFを再現するために開発されたわけではないのだ。
従来のカメラは、光を反射・屈折させる光学部品によって構成されている。光学部品は「かさばる」が、この技術を使えば超薄型・軽量にすることも可能だという。
この変化は、人工衛星に搭載するカメラを大きく進歩させるかもしれない。人工衛星の重量を少し減らすことができれば、打ち上げに必要なエネルギーが削減され、大きなコスト削減に繋がる。宇宙開発にも影響を与える可能性がある装置だ。
この技術はANUが主導し、米国のオークリッジ国立研究所、中国の南京大学と共同研究しているという。
技術の詳細
この技術の詳細については、OSA(The Optical Society)に掲載されている。
参照元サイト名:Australian National University
URL:http://www.anu.edu.au/news/all-news/sci-fi-holograms-a-step-closer-with-anu-invention
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