2023年1月13日(米国時間)、VR医療シミュレーション・プラットフォームSimX社は、同社のVirtual Advancement of Learning for Operational Readiness(VALOR)プログラムが米国宇宙軍に採用されたことを発表しました。
同プログラムは、宇宙飛行士の回復と宇宙発射ミッションのための没入型訓練プログラムの設計に利用されるとのことです。
宇宙飛行ミッション全般に対応したバーチャル医療トレーニング
米国政府機関は、SimX社のバーチャルリアリティ医療シミュレーションシステム(VRMSS)に、当初170万米ドル(約2億1,000万円)を投入することになっています。
この予算はVRMSSと病院前宇宙医療コース(PHSMCC)に基づく様々な宇宙コンポーネントと医療シナリオを統合するためのものです。
VALOR主任研究員兼SimX CTOのKarthik V Sarma博士は公式リリースで以下のように述べています。
VALORプログラムの使命は、VR医療シミュレーショントレーニングを適応させ、あらゆるシナリオで高品質で再現性の高い、利用しやすい臨床トレーニングを可能にすることです。
なお、訓練できるシナリオの中には、宇宙から地球に帰還した飛行士たちの海洋での人員回収ミッションも含まれています。
今後は民間の宇宙飛行にも拡大を目指す
この仮想訓練プログラムは、米空軍第24特殊作戦航空団および第1空軍第3分遣隊(有人宇宙飛行支援業務)と共同で開発・試験されています。
SimX社によると、このプログラムにより、
・戦闘救難士
・飛行外科医
・パラレスキュー隊員
に対して、より頻繁で効果的な訓練が可能になるとのことです。
また、このプログラムは、HTC社のVIVE Focus 3ワイヤレスVRヘッドセットで実行されます。
国防総省有人宇宙戦闘支援室のブレント・マニー氏は、以下のようにコメントしています。
このプロジェクトのミッションインパクトは、有人宇宙飛行の不時着に対応するグローバルな救助部隊の総合医療能力を高めることです。
これらの能力は、有人宇宙飛行の継続的な拡大に備え、我々のPJが最高水準の医療を提供できるようにするために不可欠です。
今後は、成長する商業宇宙飛行部門に対応するため、シナリオを追加してプログラムを拡張していく予定となっています。
まとめ
VRを活用した宇宙飛行のための医療訓練プログラムが米国の宇宙軍に採用されることが明らかになりました。
このプログラムは広く宇宙飛行の業務全般の医療シナリオをVRで訓練できるものとなっています。
今後人類が宇宙へ飛び出す機会が増える前に、宇宙での医療技術を身につけたスタッフが必要になってくるはずです。
今後は民間でも利用できるようにシナリオをより精緻化していくとされており、宇宙開発の別の側面での発展の一例と言えます。
また、余談ですが米軍の訓練で使用されるVRゴーグルが米国企業のものではなく、HTC製のVIVE Focus3というのが意外ですね。
参考:U.S. Space Force Turns To VR For Medical Training[VR Scout]
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