FreshPatentsに掲載された特許申請書から、LGディスプレイが新しいVRヘッドセット用ディスプレイを開発していることが明らかになった。
申請書のタイトルは「Display for virtual rearity」で、2017年9月14日に公開されていた。
既存のVRヘッドセットが抱えていた、ディスプレイ表現における問題の1つである「スクリーンドア効果」を軽減し、VRディスプレイ上のイメージクオリティを改善する機能設計が施されているようだ。
新ディスプレイの概要!
「スクリーンドア効果」とは?
「スクリーンドア効果(screen-door effect, SDE)」はVRヘッドセットディスプレイ上に、格子模様が浮かんで見える現象のことを指す。
ヘッドセットのレンズを通じて、ディスプレイ上のピクセル間の隙間が拡大されて見えることが原因で生じる。Oculus Rift DK1など、VR市場の発展初期に発売された低解像度のVRヘッドセットでは特に起こりやすい現象で、快適なVR体験を妨げる要因として問題視されていた。
「スクリーンドア効果」はディスプレイの高解像度化、つまりピクセルの密度を高めることによって解決可能だとされている。そのためフルHDの高解像度ディスプレイを搭載したPSVRなど、最近のハイエンドVRヘッドセットにおいては問題視される機会も少なくなっていた。
高解像度化とは別の軽減方法
しかしLGの提出した特許申請書を読む限りでは、新ディスプレイは高解像度化を主目的として開発されてはいない。申請書には「光拡散要素(light diffusion member)」についての言及があり、これが「スクリーンドア効果」を軽減する上で重要な役割を担うようだ。
「光拡散要素」の詳細については明らかにされていないが、ディスプレイパネルとレンズの間に配置される機構か物体と思われる。
LGディスプレイによれば、「光拡散要素」はディスプレイパネル上の光が発せられているエリアから、光が発せられていないエリアへと、光を拡散して届ける役割を果たす。
先に述べたように、「スクリーンドア効果」はピクセルの密度が不足していることで生じる。しかし「光拡散要素」がディスプレイ上の「明るい部分」と「暗い部分」の差異を目立たなくすることにより、その足りないピクセル量を補い、格子状の模様が表示されずに済むようにする、という仕組みのようだ。
LGの新ヘッドセットに導入される?
このディスプレイが採用されたVRヘッドセットがどのような形で市場に登場するのか、詳しい情報はまだLGディスプレイ側からは明かされていない。
しかしいくらか推測をすることは可能だ。たとえばLGエレクトロニクスは、オープンソースのVRプラットフォームであるSteamVRベースのヘッドセットを開発する計画を、2月から3月にかけてサンフランシスコで開催されていたゲーム開発者会議「GDC2017」において明らかにしている。
またこの新ヘッドセットは9月に韓国で開催された「Korean VR Festival」でも完成イメージが改めて披露されている。このヘッドセットのレンズは、片目で1440×1280もの解像度となる予定で、「スクリーンドア効果」が際立って問題となるほどのスペックではないようにも思える。しかしより完璧なVR体験をユーザーに提供するため、新ディスプレイを組み込む可能性も十分残されていると言えるだろう。
ただしこのヘッドセットがいつ発売されるのかについては、LG側はまだ公表しておらず、不明のままだ。
低解像度端末でも「スクリーンドア効果」が軽減できる可能性
「スクリーンドア効果」をはじめ、VRヘッドセットがVR体験におけるユーザーの満足度を向上するためにクリアしなければならない課題は多く残されている。
今回LGが提出した特許は、こうした課題の1つに対して新たな解決方法を示したという点で注目に値するだろう。「光拡散要素」導入によってヘッドセット製造のコストがどの程度増すかは不明だが、高解像度化せずとも「スクリーンドア効果」を軽減できるのであれば、ミドルからローエンドまでの低解像度ヘッドセットでも「スクリーンドア効果」を抑制できる道が開けるかも知れない。
いずれにせよLGの新ヘッドセットの新情報を含めて、続報に期待したい。
参考URL:
FRESHPatents
http://www.freshpatents.com/-dt20170914ptan20170263691.php
VentureBeat
https://venturebeat.com/2017/09/24/lg-patents-vr-display-that-tackles-the-screen-door-effect/
UPLOAD VR
https://uploadvr.com/lg-steamvr-headsets-resurfaces-korean-vr-festival/
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.