![Windows MRヘッドセット](http://vrinside.jp/wp-content/uploads/winmr_group4up_gradient_1920x1080_rgb1-650x366.jpg)
複数のメーカーがWindows Mixed Realityに対応するヘッドセットを開発する
2016年にはHTC ViveやOculus Riftを始めとする複数のVRヘッドセットが発売された。現在ではHTCとOculusのいずれもが自社のVRデバイスを一度以上値下げしており、発売時と比べると200ドルから400ドルも安くVRデバイスを購入することができるようになっている。
だが、この価格改定を含めて考えてもハイエンドVRデバイスは一般の消費者にとってまだ高価だ。VRに対応する高性能なPCも必要となるため、ゼロからVR環境を整えるのに必要な総額は簡単に10万円~20万円になってしまう。
そのため、ハイエンドVRデバイスを購入しているのはテクノロジーに関心のあるアーリーアダプターやゲーム機に対する投資を惜しまないコアゲーマーに限られてしまっている。
今年の後半から各メーカーが販売を開始するWindows Mixed Realityヘッドセットは、この状況を変えてくれるデバイスになるかもしれない。
XRに対するマイクロソフトの取り組み
![Microsoft HoloLens](http://vrinside.jp/wp-content/uploads/MSHoloLens_Hero1_RGB-779x389-1-650x325411-650x325.png)
マイクロソフトのMRヘッドセットHoloLens
VR/AR/MRといった技術を搭載したデバイスの開発を目指す企業は世界的な大企業の中にも多く、マイクロソフトもその一つだ。
HoloLens
同社のXRデバイスに関する取り組みとして最も知られているのはMR(Mixed Reality)を謳うHoloLensだろう。
このデバイスは他社のVRヘッドセットのように消費者向けの製品ではなく、開発キットの価格は30万円以上と高価だ。だが、その分性能は高い。パソコンとの接続が不要な独立型のデバイスでありながら、高度な処理が可能だ。
次世代のHoloLens
マイクロソフトは、このデバイスの価格を下げて消費者の手の届くものにしようとは考えていないようだ。むしろ、エンタープライズ用途に絞ってさらに機能を向上させようとしている。
次世代のHoloLensには、映像や音声を分析・認識するためにマイクロソフトが開発を進めるオリジナルチップが搭載されることが発表されている。クラウドにデータを送信して処理の結果を受け取るのではなく、HoloLens内部のAIがデータを処理することで高速なレスポンスを可能にするという。
ユーザが見ているもの、聞こえている音をデバイスに搭載されたAIが認識し、その場に応じたアクションを実行してくれるようになるはずだ。
VR(MR)への取り組み
![AcerのWindows MRヘッドセット](http://vrinside.jp/wp-content/uploads/acer-windows-mixed-reality-vr-headset-6-650x3661-650x366.jpg)
AcerのWindows MRヘッドセット
VR(MR)ヘッドセットの開発
MRヘッドセットHoloLensを自社で開発するマイクロソフトだが、複数のメーカーとの協力によってVRヘッドセット(マイクロソフトはこちらもMRヘッドセットと呼んでいるが)の開発も進んでいる。
AcerやDell、HPといった有名メーカーがマイクロソフトのWindows Mixed Realityに対応したヘッドセットの開発を進めており、今年の後半からリリースされる予定だ。
Acerが開発したデバイスは既にアメリカで販売が開始されており、過去にレビューも紹介している。国内では、予約者への発送が昨日から開始されているはずだ。
低価格デバイス
上で挙げたレビューの紹介記事で言及されているように、マイクロソフトがMRヘッドセットと呼んでいるこのデバイスはHoloLensとは少々異なる。カメラによって外部の映像を取り込んで表示することができるが、デバイスの性質としてはVRヘッドセットだ。
そんなMRヘッドセットが持つ特徴のいくつかは、VRヘッドセットの低い普及率を改善することになるかもしれない。
Acerが開発したものを含むWindows MRヘッドセットは、HoloLensと違ってパソコンと接続して使用する。しかし、比較的性能の低いパソコンでも動作するのが特徴だ。
HTC ViveやOculus RiftといったPCベースのハイエンドVRヘッドセットの動作には、ゲーマーや映像編集を行うユーザが使うような高い映像処理能力を持つパソコンが必要だ。対して、MRヘッドセットはグラフィックカードを搭載していないノートパソコンでも動作するという。
AcerのMRヘッドセットは4万円と、セール中のOculus Riftと同じだ。高性能PCが不要でデバイス自体の価格も高くないので、消費者にとって手が出しやすい存在となる。
インサイドアウトのトラッキング
PCベースのVRヘッドセットが高いトラッキング能力を発揮できるのは、外部に設置した複数のセンサーによってヘッドセットやハンドトラッキングコントローラーの位置を追跡することができるからだ。高いトラッキング性能は操作にストレスを感じさせず、VRコンテンツのクリエイターに様々な表現を可能にしてくれる。
しかし、外部センサーの設置は面倒だ。特にVRデバイス専用のスペースを確保していないユーザは、デバイスを使うたびにセンサーを設置したり片付けたりする手間がかかることになる。
MRヘッドセットにはインサイドアウトと呼ばれるトラッキング方式が採用されているため、この手間はない。ヘッドセット本体に内蔵されたセンサーがヘッドセットの移動を認識してくれる。
レビューではViveやRiftに比べるとトラッキング性能が低いという評価もあったが、外部センサー不要で「使える」レベルのトラッキングを実現した意義は大きい。
環境を整えるためのコストが小さく、モバイルVRとハイエンドVRを隔てる要素となっている「ユーザの移動のトラッキング」も可能なマイクロソフトのMRヘッドセット。
発売は他社に比べると遅れてしまったが、初めての(VR)ヘッドセットがマイクロソフトの技術を使ったものになるという消費者も多いのではないだろうか。
参照元サイト名:Time
URL:http://time.com/4917466/microsoft-virtual-reality-headset-demo/
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