去年からGoogle翻訳の精度が格段に向上していると話題になっている。
なんでもビッグデータで集めた情報とAIの学習能力でどんどん精度が向上しているとかナントカかんとか。
筆者は語学にそこそこ自信がある。なんたって通訳資格(通訳案内士)の一次試験(筆記試験)は合格してるくらいだからな!機械翻訳になんて負けるわけはねーぜ!
…ということで、さっそくGoogle翻訳をインストールして翻訳させてみることにした。
Google翻訳のアプリにはカメラの動きに合わせて、見たままの状態で翻訳してくれるリアルタイム翻訳機能と、文字を読み取って文章に変換するこれまでと同じ翻訳機能があるので、それぞれ検証していくことにした。
簡単なもので実験
まずはオフィス内にあった防犯カメラの表示で実験。
「防犯カメラ設置」で” CAMERA IN OPERATION ”か…ちょっと意訳されてるカンジもするけど、まぁ手始めに実験するにはちょうどいいか。「カメラ作動中」というのが本来の意味だ。
「動作時にカメラ」かぁ、この見たままで翻訳してくれる機能自体は画期的だけど、翻訳そのものは微妙かなぁ。
次はカメラで文字を読み取らせる通常の翻訳。
“CAMERA IN OPERATION”はうまく認識されたけど、「運転中のカメラ」かぁ。「動作時にカメラ」よりは自然だけど、ちょっと微妙かなぁ。良し悪しの判断はつかないなぁ。
看板とかは他のブログとかでも実験されてるようなので、もっと難しいものにチャレンジしてみよう。というより、簡単な単語だと直訳でも意味は通じるからちょっと別のものでやってみるか。
TOEIC問題に挑戦!
今や英語学習では常識ともなっているTOEICで実験。いきなり長文問題の翻訳を試してみる。日本でTOEICを運営している一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会のサイトに掲載されていたTOEICの長文問題サンプルを翻訳させてみた。
まずはカメラで見たまま翻訳してくれるリアルタイム翻訳から。
左が元の文章。右が翻訳。うーん、このリアルタイム翻訳は微妙かな。翻訳の性能の問題もあるけど、撮影の角度や手ブレによって翻訳が変わるし、翻訳されてなかったりするし、カメラの認識の影響が大きい気がする。そこで通常の翻訳機能を試してみる。
おお!これならだいたい意味がわかる。そうそう、ここの問題(196番~200番の問題)の文章はペンキをネットで買えてサンプルはタダで何営業日以内に発送とかいう文章だよ。リアルタイム翻訳はともかく、通常の翻訳機能なら長文でも大意はつかめそうだな。
英検1級の実際の問題で。
いやいや~英語をあるていど勉強した人ならTOEICの単語の難易度はそう高くなくて解くスピード重視のテストだと知ってますよ。
そこで中高生にお馴染みの英検を実施している日本英語検定協会のサイトへ行って英検一級の長文問題を翻訳させてみることにした。日本の英語資格の最高峰、留学経験なしでは絶対できないはずだぜ!
これまた左が元の本文で右が翻訳。おぁ、日本語的に変なところも多いけど、これだけ翻訳してくれれば普通に設問に答えられる程度に大意はつかめるんじゃないの??
天下のハーバード大学(Harvard University)なら…?
だんだんGoogle翻訳の精度が怖くなってきたところで、意地でも翻訳できなそうなところを見つけたくなる。
さすがに「これは翻訳できんだろう」ということで辿り着いたのがハーバード・ローレビュー(Harvard Law Review)ハーバード大学ロースクール(法科大学院)が出している法律誌のサイトの記事だ。これはさすがに法律の専門用語連発で翻訳できませんよね?
うーん。何を言っているのかさっぱりだ。さすがに専門用語が出てくると厳しいのかもね。
というより、この英文をキチンと翻訳されたものを読んだとしても意味を理解できないか(汗)
というわけで、様々なサイトで翻訳をさせてみたけど、Google翻訳の精度に驚くばかりだった。筆者はこれまで様々な翻訳アプリやサイトを試してきたが、ここまで精度が高いとは予想外だった。
この機能、Googleグラスとかと一緒になったら英語のテストでカンニングし放題じゃないかとか悪いことを考えてしまったw
Google翻訳の精度向上の秘密
で、なんでこんなにGoogle翻訳の精度が向上したのか気になるところだが、そもそもGoogle翻訳の機能向上は2016年に翻訳アルゴリズムが以前の古いシステムからニューラルネットというシステムを使用したものに変更されたことにあるそうだ。
ニューラルネットとは、人間の脳の神経回路の仕組みをコンピュータ上で行う数学モデルのことらしい。このシステムを使った翻訳では、文章をパーツごとに翻訳していくのではなく、全体を一つの文として捉え、文脈を把握したうえで、より正確な訳語を見つけるのだという。そのうえで、言葉の順番を変えるなどの調整を行うそうだ。これら一連の動作によって、より正しく、より自然な翻訳が可能になっているというわけだ。
さらにすごいのは、このシステムは学習し続けるため、日々、自然な翻訳が可能になっていくのだという。
最初の”CAMERA IN OPERATION”の段階で「たいしたことないやんけ」と思ったものの、結局はGoogle翻訳の能力には驚かされるばかりであった。
翻訳の精度向上のすごさと、最近の音声認識機能の向上が合わさると、会話を同時通訳してしまうアプリが出るのも時間の問題かもしれないなぁとか思ったのでありました。