リーダーたる者、新しいことを学ぶ姿勢を持ち続けなければなりません。自分磨きを怠るようではリーダーとしての成長は見込めません。では、何を学んで何を得るべきか。リーダーが学ぶときに気を付けることを考えます。【週刊SUZUKI #103】
リーダーとしてチームをまとめ、メンバー一人ひとりをサポートするには、何より自分自身が成長しなければなりません。日々鍛錬を積み、成長への歩みを止めない行動こそが、チームをまとめるきっかけとなるのです。探求心を持ち、常に新しいことを学び、吸収する姿勢を持ち続けない限り、リーダーは務まりません。
もっとも、最新の技術や市場の動きを知識として得るだけでは不十分です。学んだことの本質を探る習慣を身に付けるべきです。例えばイノベーション創出に寄与しそうな技術が登場したなら、その技術が自社や社会にどんな影響を及ぼすのか、一方でどんなデメリットをもたらす懸念があるのかを考察します。その技術が他社でどんな効果を上げているのかは問題ではありません。自社ではどんな恩恵を見込めるのかを自身の目で見極めるべきです。機能や特徴といった表面的なことではなく、その背後に潜む自社へのインパクトを探る力を養うべきです。
市場の変化を追いかけるのも同じです。「消費者のニーズはこう変化している」「社会ではこんなテーマが議論されている」という最新の動きを把握しているかどうかは本質ではありません。それらの動きが今後、どんな影響をもたらすのかを探ることが大切です。その積み重ねが自身の糧となり、新たな変化に直面したときの意思決定を支える礎となるのです。
目の前の事象に隠れる潜在的なニーズや課題を探ることに注力すべきです。そのためには、周囲の雑音にとらわれることなく、物事を公平な視点で見定めることが大切です。特定のバイアスを取り除き、先入観なしに物事を評価することも必要です。リーダーはこうした公平な目を養うことで、複雑なプロジェクトを正しい方向へ導けるようになるのです。
あなたは周囲の意見に引きずられていませんか。偏った見方をしていませんか。考えるのが面倒で本質を探ることを諦めていませんか。リーダーとしての素養に欠けるこれらの行為は、チームを迷走させかねません。「なぜ」や「どうして」と考えることを習慣化し、物事の本質を探る洞察力を身に付けてください。
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筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。