2024年1月より大阪府泉佐野市は、株式会社アールビーズが開発したスマートフォンアプリ「スポーツタウンWALKER」を導入し、従来の紙ベースで行っていた健康マイレージ事業をデジタル化しました。この取り組みは、「だれでも」「身近な場所で」「手軽に」「楽しく」健康づくりを続けられる事業を目指し、愛称「さのぽっ歩(さのぽっぽ)」として再スタートを切ったものです。この新しいシステムは、運動習慣の促進はもちろん、地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。デジタル化により、多くの市民が手軽に参加し、意思を持って健康を意識する環境が整ったことは、非常に重要な意義を持っています。
このアプリは、日々の歩数や距離を自動で計測し、入力した体重からBMI(ボディマス指数)を管理することができます。さらに、市内や府内、全国の歩数ランキングを表示したり、泉佐野市のご当地キャラクター「イヌナキン」が歩数に応じて成長したりするなど、楽しくウォーキングを続けるための工夫が施されています。こうした機能により、利用者は自分の健康づくり活動を数字として可視化でき、達成感を得ることができます。日々の健康づくりが徐々に習慣化されることで、地域全体の健康意識が高まることが期待されています。
「さのぽっ歩」では、アプリを通じて健康づくり活動を行った利用者には「さの健康ポイント」が貯まり、このポイントは地域通貨「さのぽ」に1対1で交換することができます。各参加者が行った健康活動は、直接的に地域経済に還元される仕組みとなっており、地域内の店舗で利用可能です。この仕組みができたことで、地域経済が循環し、活性化される効果が期待されます。利用者としても、ポイントが地域内で使えることにより、より一層の参加意欲が持続する要因となります。
この健康マイレージ事業は、導入から3ヶ月の時点で目標人数の2,400人を突破し、2024年8月7日現在では3,588人が登録しています。特に60代以上の利用者が全体の約半数を占めるなど、幅広い年齢層の参加が見られます。この傾向は、泉佐野市が行う市民説明会などの取り組みの成果であり、スマートフォン操作に不慣れな方への配慮が効果を上げていることを示しています。地域の高齢者が積極的に活動を行うことで、さらなる健康効果が見込まれています。
参加者へのアンケートでは、全413名の回答者が令和6年度も引き続き参加したいと回答したことからも、この事業が市民の健康意識を高め、持続的な健康づくりの動機付けに繋がっていることが伺えます。多くの参加者が「いつもより多く歩くようになった」「健康づくりを意識するようになった」といった成果を報告しています。数値に残る成果が、その活動へのモチベーションを高めていることは明確です。「さのぽっ歩」を通じて、健康が無関心だった方々にも、日常的に健康を意識するきっかけを与えています。
利用者からは、非常にポジティブな反応が寄せられています。「こういうことをやってもらえると、毎日歩くことに意味があると感じる」というコメントや、「続けることに意義を感じることができて、数字として残るのが励みになる」といった声が多く見られました。特に健康上の問題を抱える方たちからは、「意欲的に歩くようになった」という感謝の言葉もあり、プログラムの意義が広く認識されています。市民同士のコミュニケーションやイベント参加も促進され、新たな交流の場が生まれるなど、地域のつながりの強化にも寄与していると言えるでしょう。
今年の8月1日からは、泉佐野市以外の医療機関での健(検)診受診でもポイント付与申請ができるようになったことにより、さらに多くの市民が参加できる機会が広がりました。このように、地域の健康増進に向けて積極的な取り組みが進められる中、今後は働き盛り世代や健康に無関心な層へのアプローチを強化し、泉佐野市全体の健康寿命延伸に貢献することが期待されます。デジタル技術を駆使し、地域密着型の健康促進ビジョンを実現していくことが求められています。
泉佐野市の健康マイレージ事業「さのぽっ歩」は、地域経済の活性化と市民の健康促進を同時に進める新たな試みであり、その成功は今後の政策にも影響を与える可能性があります。これからも地域全体で健康づくりへの参加を促進し、持続可能な社会の実現を目指していくことが重要です。