国内ITサービス市場が活況を呈する中、ベンダー間の競争が激化しています。調査会社IDC Japanの最新レポートによると、2024年の国内市場は前年比7.4%の成長を記録。特に注目すべきは、日立製作所が売上を大きく伸ばし、富士通に次ぐ2位に浮上したことです。DXや基幹システム刷新の需要が市場を牽引する中、ベンダー各社が今後目指すべき方向性として「AI統合サービスプロバイダー」という新たなモデルが示されています。
国内ITサービス市場、7兆円規模に成長
IDC Japanが発表した2024年の国内ITサービス市場の売上ランキングによると、市場規模は7兆205億円に達し、前年比で7.4%の成長を遂げました。
ベンダー売上ランキングは以下の通りです。

前年から順位の変動はなかったものの、特に日立製作所は前年比13.3%と高い成長率を記録し、NEC、NTTデータとの差をわずかに縮めて2位に浮上しました。
市場をサービスセグメント別に見ると、すべてのセグメントで上位10社がプラス成長を記録しています。中でも、デジタルビジネス化に向けた基幹システムの刷新や新規システム構築の需要が旺盛な「プロジェクトベース市場」では、上位10社のうち5社が10%以上の成長を達成しました。
また、産業分野別では、金融、製造、政府/公共が特に高い成長を見せています。中でも政府/公共分野は、中央官庁向けの大型案件に牽引され、上位10社のうち5社が前年比10%を超える売上成長を記録しました。
ITベンダーの未来は「AI統合サービスプロバイダー」へ
IDC Japanのシニアリサーチアナリスト村松氏は、今後の展望について、「AI駆動型組織への進化を見据えたモダナイゼーション支援が重要になる」と指摘しています。
さらに、その先を見据えた新たな価値提供モデルとして、「AIエージェントおよび関連システムの連携/運用を継続的に支援する『AI統合サービスプロバイダー』としての役割を果たす必要がある」と提言しています。
IDCのこの調査結果は、日本のITサービス市場がデジタル変革の本格的な段階に入り、AIを活用した新たなビジネスモデルへの転換期を迎えていることを示唆しています。
詳しくはIDC Japan株式会社まで。
レポート/DXマガジン編集部 海道