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星野リゾートがインド発のAI搭載ノーコードツールを先行導入、基幹システム開発を支援する選択肢として徹底活用


日本オムニチャネル協会は2025年7月23日、DXシステムセミナーを開催しました。今回のテーマは「インド発!星野リゾートDXを支えるAI搭載型ノーコード」。星野リゾートが導入するAIを駆使したノーコードツールの効果と可能性を紹介しました。

「ノーコードはシンプルな業務に向くものの、基幹業務などを支援するシステム開発には向かない」。そんな声をよく聞きます。しかし、本当に複雑な業務にノーコードは不向きなのか。今回のセミナーはこんな問いを考える内容となっています。

ゲストとして星野リゾート 情報システム部門責任者の久本英司氏と、星野リゾートがノーコードツールを使って基幹システムを開発する取り組みを紹介しました。星野リゾートが利用するノーコードツールを開発したインドのSovablu代表取締役社長 スブラマニア・ナタラジャン氏も登壇。日本では聞きなれないインド発のノーコードツールの強みを解説しました。

ノーコードを駆使した市民開発に目を向けよ

セミナー冒頭、モデレーターを務めた日本オムニチャネル協会 専務理事の林雅也氏が、ノーコードが注目される背景に言及。深刻なIT人材不足、DXの加速的推進、VUCA時代におけるシステム構築の柔軟性という3つの要因を指摘しました。「経済産業省の発表にょると、2030年には日本のIT人材が最大80万人不足すると言われている。多くの企業がIT人材の育成に乗り出すものの、不足を解消するほどの効果を見込みにくい。多くの企業がDX推進に舵を切る中、IT人材不足はこれまで以上に顕著な課題として多くの企業にのしかかるに違いない」(林氏)と考察しました。

モデレータを務めた日本オムニチャネル協会 専務理事の林雅也氏

その一方、「ITに詳しくない社員が業務改革を主導する動きが加速している。サイボウズのKintoneに代表される、いわゆるノーコードツールを駆使した市民開発の成功事例が増えている。今企業に求められるのは、ITに精通する人材ではない。業務を深く理解し、的確な意思決定を通じてその方向性を示せる人材に他ならない」(林氏)と述べました。ノーコードの台頭により、求められる人物像も変わりつつあると指摘します。

とはいえ、ノーコードは複雑なシステムには必ずしも向きません。そこで新たな解決手段として台頭しているのがAIです。「生成AIは、AIエージェントの登場で自律的な問題解決、さらには自動化へと進化している。システム開発にもAIは浸透し、開発を大幅に効率化する可能性さえ秘めている」(林氏)と述べます。ノーコードやAIといった新たな技術の可能性を模索し、これまでにとらわれない業務、システム開発の在り方を考えることが大切だとセミナー参加者に訴えました。

星野リゾートが先行導入するAI搭載ノーコードツール

では、こうした新たな技術は実際どのように使われているのか。ゲストとして登壇した星野リゾートの久本氏は、ノーコードと生成AIを組み合わせたユニークなツールを先行導入した同社の事例を紹介しました。

星野リゾートでは2017年頃から、成長に伴う新たなシステム開発の要求が激増。情報システム部門がすべての要求に対処するのが難しくなる中、現場が自らシステム開発に乗り出す「市民開発」への意識が高まっていったといいます。そこで、サイボウズのKintoneを導入。市民開発に本格的に舵を切ります。しかし、「機能は限定的でカスタマイズも必要だった。そのため、基幹システムの追加機能を早期に開発する用途にとどまった。業務の課題を解消する大規模なシスエム開発に活用するには限界があった」(久本氏)と振り返ります。ローコードツールの導入を検討するものの、ローコードに精通する人材が不足していたため運用を断念。久本氏は、複雑な業務アプリを開発するノーコードツールを探し続けたたといいます。

星野リゾート 情報システムグループ グループディレクターの久本英司氏

そこでたどり着いたのが、「Sobble(ソバブル)」というインド発のノーコードツールです。Sobbleは、星野リゾートがかつてオフショア開発のパートナーとして取引していたナタラジャン氏が、久本氏の課題を聞いて開発したと言います。

Sobbleの特徴は、クラウドネイティブでAWSのサーバーレスアーキテクチャに完全準拠している点、ソースコード修正不要の完全ノーコードである点、さらにユーザー課金ではなく稼働時間課金のため、「月額2万5000円ぐらいしかかからない」(久本氏)という高いコスト効率だといいます。その他、人事やワークフローなど業務向けの機能を標準装備しているのも特徴の1つです。

星野リゾートでは、正式リリース前のSobbleのアルファ版・ベータ版を本番環境で大胆にも使用。「非エンジニアがERPシステムを構築するにはシステム構築の基礎知識が必要。習得に時間も要する。これら課題に対し、生成AIが大きなブレークスルーをもたらした」(久本氏)と指摘します。

例えば、久本氏が手書きした人事系アプリの仕様書をSobbleの生成AIに読み込ませたところ、「手書きで書いた3日後には人事系アプリが完成している」という成果が報告されました。画面、データベース、ロジックの組み立てが従来の半分になり、最初のドラフトは1時間で生成されると言います。

セミナーでは、ナタラジャン氏がSobbleの特徴や特徴的な機能をデモしながら解説。AIがフィードバックを受けて学習し、精度を向上させる機能なども具体的に紹介しました。

Sovablu 代表取締役社長のスブラマニア・ナタラジャン氏

久本氏はSobbleの効果について、「ダメなら何度でもやり直せる。なり直すほど精度を高めたアプリに変化する」と強みを強調。特に、AIが生成したロジックがフローチャートとして可視化されるため、レビューする手間を省けるといいます。ナタラジャン氏も、「非エンジニアの学習期間がこれまでの3ヵ月から3~4時間に短縮された事例もある」と、効果を説明しました。

AIとノーコードの組み合わせが基幹システム構築時の選択肢に

セミナー後半は、登壇者によるディスカッションを開催。ERPを取り巻く開発事情について議論しました。久本氏はERPについて、「大規模な単一会計システムは当社の業務に沿わない。ホテルを所有するとの運営するのとではビジネスモデルが異なるのが一番の理由だ」と前置きした上で、「給与計算などのどの企業でも同様の業務を支援するならSaaSを活用する。一方で競争力に直結する独自業務は、モデリングを通じて自社の業務にフィットするシステムをノーコードかプロコードで構築するのが望ましい」という見解を述べました。さらに、「現場の工夫や思想といったオペレーショナルエクセレンスは残し続けるべきで、システム導入やリプレースを機に壊してならない」(久本氏)と指摘。企業文化や組織形態がシステムにどうフィットするのかも考えるべきだと訴えました。

Sobbleの可能性についても改めて言及。「AIとノーコードの組み合わせは、『これまでできなかったことに改めて取り組む』という新たな可能性を秘めている。SobbleのようにERPのコンセプトに基づき開発されたノーコードツールなら、データの整合性やスケーラビリティがプラットフォームによって担保されている。そのため、『アプリを容易に開発できる』と『アプリが正しく稼働する』の双方を同時に手に入れられる。これらを担保するノーコードは今後の業務に欠かせなくなるに違いない」(久本氏)と大きな期待を寄せました。

関連リンク
日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

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