チワワは抜け毛はひどいって本当?
結論からお伝えすると、チワワは抜け毛が多いとも少ないとも一概には言えない犬種です。
主な理由として、チワワには被毛のタイプが「ダブルコート」と「シングルコート」の2種類存在し、また被毛の長さのタイプも「ロング」「スムース」の2種存在します。どちらのタイプかによって抜け毛の量が大きく異なるためです。
また、体の小さなチワワは、トイ・プードルや柴犬といった他の人気犬種と比較して体表面積が小さいため、全体の抜け毛の総量はそこまで多くないと感じる場合もあります。
このように、チワワの抜け毛の量は個体差が大きく、飼育環境や被毛の長さによっても飼い主が受ける印象は変わってきます。
チワワの抜け毛が多い原因
チワワの抜け毛について理解を深めるには、その原因となる被毛の構造やサイクルを知ることが重要です。
なぜ抜け毛が多くなるのか、その主な要因を解説します。
チワワは「ダブルコート」と「シングルコート」が混在する犬種
チワワの被毛には、大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは「ダブルコート」、もうひとつは「シングルコート」です。
ダブルコートとは、硬くて太い「オーバーコート(上毛)」と、その下に生える柔らかく密集した「アンダーコート(下毛)」の二重構造の被毛を指します。オーバーコートは皮膚を外部の刺激から守り、アンダーコートは体温を調節する役割を担っています。
一方、シングルコートはアンダーコートがなく、オーバーコートのみで構成される被毛です。
チワワにはダブルコートとシングルコートの両方のタイプが存在し、どちらの遺伝子を受け継いでいるかによって、抜け毛の量が大きく変わります。
ダブルコートの場合は抜け毛が増える傾向にある
抜け毛の主な原因となるのは、ダブルコートの犬種が持つ「アンダーコート」です。このアンダーコートは、気温の変化に対応して体温を保つために生え変わる性質があります。そのため、アンダーコートを持つダブルコートのチワワは、この毛が生え変わるタイミングで大量の抜け毛が発生します。
特に、アンダーコートは柔らかく細いため、家の中に舞いやすいという特徴があります。
ご自身のチワワがどちらのタイプか分からない場合は、毛をかき分けてみて、皮膚の近くに綿毛のような柔らかい毛が密集して生えているかを確認してみてください。
ロング・スムースの被毛の長さよっても抜け毛の量の印象が変わる
チワワには毛の長さが違う「ロングコート」と「スムースコート」がいます。この被毛の長さによっても、飼い主が感じる抜け毛の印象は異なります。
ロングコートチワワの場合、抜けた毛が長い被毛に絡みつき、すぐに床へ落ちるとは限りません。そのため、一見抜け毛が少ないように感じられることもありますが、ブラッシングをした際にはごっそりと毛が取れます。一本一本の毛が長いため、掃除の際には見つけやすいですが、その分目立ちやすいともいえます。
一方、スムースコートチワワは、抜けた毛が体に留まることなく直接床に落ちます。毛が短く硬いため、カーペットやソファ、洋服などの布製品に刺さるように付着し、取り除きにくいのが特徴です。常に抜け落ちているように見えるため、ロングコートよりも抜け毛が多いと感じる飼い主も少なくありません。
「換毛期」は抜け毛がさらに増える
ダブルコートのチワワには、年に2回、特に抜け毛が増える「換毛期(かんもうき)」が訪れます。これは、季節の変わり目である春と秋に、体温調節の役割を担うアンダーコートがごっそりと生え変わる時期のことです。
春には、冬の寒さから体を守っていた保温性の高い冬毛(アンダーコート)が抜け落ち、通気性の良い夏毛に生え変わります。逆に秋には、夏毛が抜けて、寒さに備えるための冬毛が生え始めます。
この換毛期には、普段とは比べ物にならないほどの量の毛が抜けるため、特に入念なケアと掃除が必要になります。
チワワの抜け毛対策
チワワの抜け毛を完全になくすことはできませんが、適切な対策を行うことで、抜け毛の量をコントロールし、室内での飛散を最小限に抑えることは可能です。効果的な対策方法をご紹介します。
こまめなブラッシングで抜け毛を減らす
最も基本的で効果的な対策は、こまめなブラッシングです。ブラッシングには、すでに抜け落ちた毛や抜けかけの毛(死毛)を取り除き、部屋に散らばるのを防ぐ効果があります。また、皮膚を適度に刺激して血行を促進し、健康な被毛の育成を助けるというメリットもあります。
ロングコートのチワワには、毛の絡まりを優しくほぐす「ピンブラシ」や、アンダーコートを取り除くのに適した「スリッカーブラシ」がおすすめです。スムースコートのチワワには、皮膚を傷つけにくい「ラバーブラシ」を使い、マッサージするようにブラッシングすると良いでしょう。換毛期には毎日、通常期でも週に数回行うのが理想です。
定期的なシャンプーで抜け毛を洗い流す
シャンプーも、抜け毛対策には有効です。シャンプーをすることで、ブラッシングだけでは取り除ききれなかった大量の死毛を一度に洗い流すことができます。抜け毛が気になる時期には特に効果を実感できるでしょう。
ただし、シャンプーのしすぎは、皮膚を守るために必要な皮脂まで落としてしまい、かえって皮膚トラブルの原因になる可能性があります。シャンプーの頻度は月に1回程度を目安にし、皮膚がデリケートなチワワのために、低刺激で保湿成分の入った犬用シャンプーを選ぶことが大切です。例えばアロエやセラミド配合のシャンプーなど、低刺激で保湿性の高い製品がおすすめです。
洋服の活用で抜け毛の飛散を防ぐ
チワワに洋服を着せることも、抜け毛の飛散を防ぐための一つの方法です。洋服が抜けた毛を受け止めてくれるため、ソファやカーペット、飼い主の衣類に毛が付着するのを軽減できます。特に、外出時や来客がある際に有効な対策です。
しかし、長時間洋服を着せたままだと、熱がこもって蒸れたり、生地との摩擦で皮膚に負担がかかったりすることがあります。皮膚トラブルを防ぐためにも、通気性の良い綿などの素材を選び、室内では定期的に服を脱がせて皮膚を休ませる時間を作りましょう。
チワワの抜け毛の掃除方法
日々の対策と並行して、効率的な掃除方法を知っておくことも、チワワと快適に暮らす上で欠かせません。室内に散らばった抜け毛を効果的に取り除くためのアイデアをご紹介します。
カーペットや床には掃除機と粘着クリーナー
床やカーペットの掃除の基本は、掃除機と粘着クリーナーです。掃除機をかける際は、毛の流れに逆らうようにゆっくりとかけると、繊維の奥に入り込んだ毛も吸い取りやすくなります。
特にカーペットに絡みついた毛は、掃除機の前にゴム手袋をはめた手で円を描くようにこすると、静電気で毛が集まり、簡単に取り除くことができます。仕上げに粘着クリーナーを使えば、残った細かい毛もしっかりとキャッチできます。
布製品にはゴム製品や専用ブラシが効果的
ソファやクッション、車のシートなど、布製品に刺さってしまったチワワの短い毛は、非常に取り除きにくいものです。このような場所には、ゴム製の製品が非常に効果的です。水で濡らして固く絞ったゴム手袋でなでるだけで、面白いように毛が集まります。
市販されているペットの毛専用のブラシやワイパーも、同様の原理を利用したものが多く、一つ持っておくと便利です。
空気中に舞う毛には空気清浄機も
抜け毛は床に落ちるだけでなく、人の動きやエアコンの風で空気中にも舞い上がります。アレルギーを持つ家族がいる場合や、よりクリーンな室内環境を保ちたい場合には、空気清浄機の導入がおすすめです。
製品によっては、ペットの毛やフケを効率的に集める機能に特化したモデルもありますので、ご家庭の状況に合わせて検討してみると良いでしょう。
病気やストレスが原因のチワワの抜け毛に注意
換毛期以外の時期に大量に毛が抜けたり、一部分だけが禿げてしまったりする場合は、単なる生え変わりではなく、病気やストレスが隠れている可能性があります。注意すべきサインを解説します。
アレルギー性皮膚炎や膿皮症などの「皮膚病」
特定の場所を執拗に舐めたり、体を掻きむしったりしている場合、皮膚に何らかのトラブルが起きている可能性があります。アレルギー性皮膚炎やノミアレルギー、細菌感染による膿皮症(のうひしょう)などが原因で、強いかゆみから脱毛が引き起こされます。脱毛部分の皮膚に赤み、発疹、フケ、べたつきなどが見られる場合は、早急に動物病院を受診してください。
甲状腺機能低下症などの「内分泌系の病気」
かゆみを伴わないのに、体の左右対称に毛が抜けていく、いわゆる「対称性脱毛」が見られる場合、内分泌系の病気が疑われます。代表的なものに、甲状腺ホルモンの分泌が減少する「甲状腺機能低下症」や、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される「クッシング症候群」などがあります。これらの病気は、脱毛の他に、元気消失、体重増加などの症状を伴うこともあります。
「ストレス」や「栄養不足」による脱毛の可能性も・・・
チワワは非常に繊細な犬種であり、環境の変化や長時間の留守番など、強いストレスが原因で脱毛することもあります。
ストレスを感じると、体の一部を過剰に舐め続ける「舐性皮膚炎(しせいひふえん)」を引き起こし、その部分の毛が薄くなったり、禿げてしまったりします。舐性皮膚炎とは、ストレスによって体の一部を過剰に舐め続けることで皮膚が炎症を起こす状態です。
また、フードが体に合っていなかったり、栄養バランスが偏っていたりすると、被毛の健康が損なわれ、毛艶が悪くなったり、毛が抜けやすくなったりすることもあります。
チワワのミックスも抜け毛が多い?
近年人気のミックス犬ですが、親犬のどちらの毛質を受け継ぐかによって、抜け毛の量は大きく異なります。チワワのミックス犬の抜け毛について解説します。
チワプー(チワワ×トイ・プードル)
抜け毛が非常に少ない犬種として知られるトイ・プードルとチワワのミックスです。トイ・プードルのシングルコートで巻き毛の性質を強く受け継いだ場合は、抜け毛はかなり少ない傾向にあります。
しかし、チワワのダブルコートの性質が出た場合は、ある程度の抜け毛が見られます。個体差が非常に大きいミックス犬といえるでしょう。
チワックス(チワワ×ミニチュア・ダックスフンド)
ミニチュア・ダックスフンドも、チワワと同様にダブルコートの犬種です。そのため、チワワとダックスフンドのミックスであるチワックスは、基本的に抜け毛が多い傾向にあります。
特に換毛期には、両親から受け継いだ豊富なアンダーコートが抜けるため、しっかりとした抜け毛対策が必要になります。
ポメチワ(ポメラニアン×チワワ)
ポメラニアンは、豊かでふわふわのダブルコートが魅力の犬種であり、抜け毛の多さでも知られています。そのポメラニアンとチワワのミックスであるポメチワは、多くの場合、抜け毛が非常に多い犬種となります。
ダブルコートである可能性が高く、特に換毛期にはかなりの量の毛が抜けることを覚悟しておきましょう。こまめなブラッシングが欠かせません。
まとめ
チワワの抜け毛は、ダブルコートかシングルコートかという被毛のタイプによって大きく異なり、一概に「多い・ひどい」とは言えません。
もし愛犬が抜け毛の多いダブルコートであっても、こまめなブラッシングや定期的なシャンプーといった正しいケアを行うことで、抜け毛をコントロールし、掃除の負担を減らすことが可能です。大切なのは、日頃から愛犬の被毛と皮膚の状態をよく観察することです。
換毛期とは違う異常な脱毛が見られた場合は、病気のサインかもしれません。この記事で紹介した対策や知識を活用し、愛犬との快適で健やかな毎日をお過ごしください。
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