かつお節専門問屋・有限会社タイコウの代表取締役・大塚麻衣子さんが6月18日にX(旧Twitter)に投稿した内容が、広く反響を呼んでいる。
投稿によると、大塚さんが晴天のもと、自社の本枯節製造の一環として節干をしていた際、通りかかったスーツ姿の若い男性らから「こんな仕事できない」「可哀想じゃね?」「仕方ないんじゃねーの?そういう仕事しかできねーんだろ?」といった心ない言葉を投げかけられたという。
大塚さんは専門学校卒で、いわゆる高偏差値の学歴ではないと自ら語る。しかし、「この仕事誇り持ってやってるし、誰にでもできる仕事じゃない」と記されており、差別的な発言に対する違和感と残念な思いが綴られている。
この投稿には、たちまち多くの人から励ましの声が寄せられた。大塚さんはその後、「皆さんの言葉、めちゃくちゃ励みになります」と、涙の顔文字とともに感謝の気持ちを述べている。
有限会社タイコウは、近海で一本釣された鰹を中心に使い、昔ながらの日干(にっかん)・熟成という工程を経て極上の本枯節を仕立てて卸販売している、日本で唯一の鰹節問屋である。
問屋の商流では省かれるようになってしまった「日干」という手間を惜しまず、風味と品質を追求する姿勢は、まさに伝統職人の誇りそのもの。その結果として、味と香りに深みのある高品質な出汁原料は、飲食業界や食通から高い評価を得ている。
SNSを通じて日常の出来事が注目される今、今回の事例は「職業に貴賎なし」という価値観の再認識や、職業に対する敬意の重要性を社会に問いかける機会となった。
見知らぬ誰かの仕事を笑う前に、その背後にある努力と誇りに思いを巡らせ、敬意を持てる社会であってほしいと願う。
<記事化協力>
大塚 麻衣子さん(@AJIMAI3)