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縫い目の向こうに世界を拓く。伝統の「刺し子」で個性が輝く、TOMOS companyの挑戦


栃木県宇都宮市に拠点を置く「TOMOS company」。彼らが手がけるのは、日本の伝統手芸「刺し子」を現代に蘇らせた、心温まる製品の数々です。原宿・ハラカドにオープンした直営店では、その美しい手仕事とユニークなデザインに、今、多くの人が心を奪われています。

この記事では、古き良き日本の文化に新たな息吹を吹き込むTOMOS companyの魅力と、彼らが創り出す「境目のない世界」の物語をご紹介。なぜ彼らの製品が国内外のブランドからも注目されるのか、そして私たちがその活動にどう関わっていけるのかを深掘りします。さあ、一針一針に込められた思いを探る旅に出かけませんか?

TOMOS companyとは?「境目のない世界」を創る挑戦

https://tomoscompany.com/

栃木・宇都宮から世界へ。福祉の常識を問い直すパイオニア

TOMOS companyは、就労継続支援A型・B型事業所を運営しており、栃木県宇都宮市内に複数の拠点を構えています。従来の障がい者福祉のあり方に常に疑問を投げかけ、より良い社会の実現を目指すという、挑戦的な哲学に基づいています。「福祉×クリエイティブ」という独自の視点から、障がいのある方々の個性を最大限に活かしたモノづくりを実践。社会参加の新しい形を提案し、地域社会、世界へとその価値を発信していく試みです。

手を抜かず、手間をかける「モノづくり哲学」

TOMOS companyのモノづくりの根底には、強い信念が流れています。それは「手を抜かない、手間をかける」という哲学。この哲学は、製品の品質だけでなく、そこに関わるすべての人々の尊厳と可能性への深い敬意を表しています。

障がい者福祉のあり方

補助金に依存するだけではない、持続可能な事業モデルを追求することで、障がいのある方々が「価値を生み出す」存在として社会に貢献できる道を模索しています。

社会と繋がる「場所」

画一的な作業ではなく、一人ひとりの得意なことや個性を活かせるような商品作りを重視。製品を通じて、利用者の方々が社会とつながり、自己表現できる場を提供しています。

伝統手芸「刺し子」の魅力

「刺し子」とは?日本の美意識が詰まった伝統技法

刺し子とは、布を補強したり保温性を高めたりするために、木綿糸で幾何学模様や文様を縫い重ねる日本の伝統的な手芸です。東北地方の農村で、厳しい寒さをしのぐために始まり、衣類を大切に長く使う「もったいない」の精神から発展しました。

一針一針に込められた思い

一針一針、布に糸を刺し重ねる作業は、非常に根気がいるものです。しかし、その手間を惜しまないことで、単なる補強以上の、美しい模様と独特の風合いが生まれます。TOMOS companyの利用者の方々は、この伝統技術を丁寧に継承し、作品にそれぞれの思いを込めています。

「襤褸(ぼろ)」の精神

刺し子の歴史と文化を語る上で欠かせないのが、ものを大切にする「襤褸(ぼろ)」の精神です。古布のほつれや穴さえも、その味わいとして愛され、継承されてきました。

TERASブランド:伝統をモダンに昇華した「刺し子」作品

TOMOS companyは、オリジナルブランド「TERAS」を通じて、刺し子の新たな可能性を追求しています。「TERAS」の刺し子製品は、伝統を感じさせながらも、現代のライフスタイルにフィットするモダンなデザインが特徴です。

タペストリーの制作秘話

「TERAS」の刺し子タペストリーには、栃木県内外の蔵や古民家の解体時に引き取られた、100年以上も昔に染織された古布が使用されています。この古布を洗浄し、刺し子を施し、デザイナーが縫い合わせることで、新たな命が吹き込まれます。大きなもので約2m四方のタペストリーは、その迫力で空間を引き締めます。

抽象画のようなデザイン

「TERAS」の刺し子は、民芸品としてだけでなく、抽象画のようなモダンなデザインに落とし込まれています。藍色の深みや、大胆かつ繊細な運針、様々な糸の色が相まって、着る人や使う人の個性を引き立てつつ、日本の伝統文化も感じさせる作品となっています。

幅広い製品展開

タペストリーのようなアート作品から、トートバッグ、クッション、アクセサリーといった生活雑貨、さらにはジャケットなどのアパレル製品まで幅広く展開しています。どの製品も、メンバーの得意を尊重し、伝統と現代が融合したデザインが魅力です。

刺し子が繋ぐ「個性の輝き」と「手仕事の価値」

TOMOS companyの刺し子製品は、単なる商品ではありません。そこには、制作に携わる一人ひとりの個性が光り、手間をかけた手仕事の温かみが宿っています。

利用者の方々の「得意」を活かすモノづくり

複雑な縫製やアイアンの台座のディレクションまで、それぞれのメンバーの得意な作業や能力を活かせるように工程を設計しています。これにより、高い品質を保ちながら、個々のメンバーが達成感を得られる仕組みを構築しています。

手間を惜しまない、真摯な制作プロセス

「手を抜かない、手間をかける」という哲学が、刺し子の制作過程に深く息づいています。約100枚の藍染古布に刺し子を施した巨大なタペストリーのように、かなりの仕事量であっても、日々の制作で積み重ねてきた技術と経験を活かし、真摯に取り組んでいます。この真摯な姿勢が、製品の持つ独特の魅力を生み出しています。

ワークショップで刺し子を体験する

TOMOS companyは、刺し子展イベントも開催。制作過程で出る刺し子のハギレをご自由に選んで、トートバッグやサコッシュに縫い付けるなど、刺し子体験ワークショップを同時開催することもあります。一針一針、布に糸を刺し重ねる作業は、心を落ち着かせ、集中力を高める瞑想のような時間。自分で作った作品は素敵な思い出になるでしょう。

福祉の「あり方」を変える

働く喜びを支える:TOMOS companyの就労支援

TOMOS companyは、障がいのある方々が社会に参加し、働く喜びを感じられる場所を提供するため、就労継続支援A型・B型事業所を運営しています。

就労継続支援A型・B型事業所の具体的な活動

A型事業所では、雇用契約を結び、最低賃金以上の給料が保証される形で、一般企業に近い環境での就労を支援します。B型事業所では、雇用契約なしで、障がいの特性に応じた作業を提供し、生産活動を通じて知識や能力の向上を図ります。TOMOS companyでは、主にこのA型・B型事業所で、刺し子製品をはじめとする様々なモノづくりが行われています。

利用者の方々の「働く」を支える体制

利用者の皆様は、それぞれの体調や能力に合わせて作業を行い、無理なく「働く」ことを通じて社会参加をしています。スタッフは、単に作業を指導するだけでなく、一人ひとりの個性や得意なことを見出し、それをモノづくりに活かせるようきめ細やかにサポート。働くことの楽しさや達成感を共有し、自立への道を共に歩んでいます。

東急プラザ原宿「ハラカド」への出店

渋谷区神宮前、東急プラザ原宿「ハラカド」3階にオープンした「TERAS HARAKADO」は、TOMOS companyにとって大きな挑戦であり、その活動を世界に発信する拠点となっています。

TERAS HARAKADOのコンセプトと店舗概要

「TERAS」は、日本の伝統手芸「刺し子」と、100年の歴史を持つ日本の古布BOROを用いたMADE IN JAPANのブランドです。ハラカドの店舗では、生活雑貨からアパレルまで幅広く展開し、BOROを使った一点物や原宿限定アイテム、コラボアイテムも提供しています。単なるショップではなく、刺し子の文化と、それを作る人々のストーリーを伝える場となっています。

「東京の顔」原宿から世界へ注目を集める理由

原宿は、日本のファッションやカルチャーを発信する世界的な拠点。そこに店舗を構えることで、国内外の観光客から大きな注目を集めています。特に、10万円を超える刺し子のジャケットなども好調に売れており、日本の伝統技術と福祉の融合が、国境を越えて高く評価されていることを証明しています。メディアでの露出も増え、その活動は宇都宮から東京、そして世界へと広がっています。

補助金に頼らない自立への道

TERAS HARAKADOの出店は、TOMOS companyが掲げる「福祉×ビジネス」という新たなモデルの象徴です。高品質な製品を生み出し、それが商業施設で販売されることで、利用者の方々が社会と直接的につながり、自身の仕事が社会に認められるという喜びを実感できます。高額な刺し子製品が売れるのは、単なる商品価値だけでなく、そこに含まれる「ストーリー」の力に他なりません。

日本の伝統技術を継承する職人の技、古布を再生させる「もったいない」の精神、そして、障がいのある方々が心を込めて一針一針縫い上げる「働く喜び」が、製品に特別な価値を与えているのです。

多様なコラボレーション事例

アパレルブランドとの協業事例

【MARKAWARE(マーカウェア)】モダンなデザインのアパレル製品に刺し子を施し、伝統技術を抽象画のようなアートに昇華。着る人の個性を引き立てつつ、日本の伝統文化を感じさせる作品を共に生み出しています。

【Mittan(ミッタン)】長く着続けることを前提にデザインされているリペアプロジェクトにて、刺し子での修繕を行いました。

【KIMONO by NADESHIKO】大正6年創業のきもの専門店「やまと」が展開するブランドからの依頼で、半衿と帯地を制作。

【おうるび】様々なシチュエーションに合わせた着付けを行う着物レンタル店からの依頼で、オリジナル七五三着物の被布に刺し子を提供しました。くるみボタンも指定カラーで制作しています。

【Mori】〈USEDを拡張する進化型古着屋“森”〉の“RE;CIRCLE PROJECT”の一環として、刺し子でのリペアを提供しました。劣化した古着を解体し、刺し子を施して新たなジャケットへと生まれ変わらせています。

アウトドアブランドとの共同イベント

【Nordisk(ノルディスク)】アウトドアイベントで、約100名向けの刺し子ガーランドのワークショップを企画・運営。参加者がロゴの図案に合わせて刺し子を施す体験型コンテンツとして、伝統手芸の魅力を幅広く伝えています。

ライフスタイルブランドとの連携

【Calen Blosso】創業大正15年の老舗履物メーカー菱屋のプライベートブランドのカフェぞうりの鼻緒に、TERASの刺し子が使用されました。

【cotogoto】日本の素材を使った手仕事や暮らしの道具店からの依頼で、別注カラーのコースターと鍋つかみが作成されました。シンプルななみ縫いを色合わせで表現し、実用性と温もりを兼ね備えています。

【KOTOSHINA】京都生まれのオーガニックスキンケアブランドのティースタンド〈KOTOSHINA 茶屋〉で使用するコースターを制作。シンプルな波縫いの刺し子コースターを4つのカラーパターンで作成し、ダブルネームのタグが付けられました。

【SOI】岐阜県美濃地方の美濃白川茶と美濃紙の魅力を発信する〈添い〉からのオーダーで、茶箱のサイズに合わせた巾着が制作されました。肩掛けもできる長さに調整され、プレゼントにも適した仕様です。

【DAMDAM】日本の伝統と植物成分から生まれたクリーンなスキンケアブランドからの要望で、ブランドカラーを差し色に落とし込んだコスメポーチが制作されました。

【POJ Studio】日本の上質な工芸品を世界に発信する〈POJ Studio〉とSashiko Pillow Coverの制作。TERASのオリジナルプロダクトを元にした別注製品も手掛けています。

テクノロジー企業との連携

【Miletos (AIテクノロジー企業)】 AIソリューションを提供するベンチャー企業、Miletos株式会社の社旗を制作。メンバーそれぞれの多様性を反映させた約2m四方の社旗で、藍染の生地と糸を使用し、約100枚の刺し子を施しました。

次世代と地域社会へ

TOMOS companyの活動は、地域社会や次世代との連携にも力を入れています。地元高校生とのコラボレーションでは、高校生が育てて染色した藍染生地とアイデアをもとに、TOMOS companyが刺し子を施して製品化する取り組みを行いました。これは、伝統技術の継承や、福祉とモノづくりの可能性を共に考える貴重な機会となっています。

また、JR宇都宮駅ビルでの刺し子の展示販売会のように、積極的にイベントに出展することで、利用者が手掛ける商品の展示や実演を通して、働く喜びを感じてもらい、多くの人に取り組みを知ってもらう機会を創出しています。

縫い目の先に広がる「境目のない世界」へ

伝統の「刺し子」に新たな息吹を吹き込み、障がいのある方々の働く喜びと個性を輝かせているTOMOS company。彼らの製品が持つ魅力は、その美しいデザインや丁寧な手仕事だけではありません。そこには、一人ひとりの努力と情熱、そして社会をより良くしたいという強い信念が深く縫い込まれています。

TOMOS companyの活動を知ることは、日本の伝統文化の奥深さに触れるだけでなく、福祉とビジネスが融合する未来の可能性、そして「働く」ことの本当の意味を私たちに教えてくれます。さあ、あなたもTOMOS companyの製品を手にとり、その縫い目の向こうに広がる「境目のない世界」を感じてみませんか?


VELTRA 旅行ガイド

余暇プランナー

海外や国内を"上手に"旅したい方へ、観光プラン作りに役立つ情報をお届け中!「心ゆさぶる体験」に出会える世界を創造するベルトラならではの目線で、記事の制作に取り組んでいます。旅行ガイドをきっかけに新しい発見をしたり、また旅に出たくなる想いが生まれますように。

縫い目の向こうに世界を拓く。伝統の「刺し子」で個性が輝く、TOMOS companyの挑戦

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