衣服に付いた油汚れって、きれいに落とすのは難しいですよね。シミが消えず泣く泣く捨ててしまった……なんて方もいると思いますが、これを驚きの方法で解決してみせたのは「絵処まほろば工房 やたまる」さん。
Xに投稿された写真には、袖にかわいいフクロウの絵が描かれた紳士物スーツが写っており、どこにも油汚れがあるように見えません。素敵!
普段から、”ときめき増量活動”をしている「絵処まほろば工房 やたまる」さん。出番のない着物や帯に絵付けをしてよみがえらせたり、お気に入りの一着をより素敵なものに進化させたりと、新たな命を吹き込む手助けをしています。また、和装に限らず、オリジナルの帯留めを定期的に問屋に卸したりするなど、活動の幅も広げているとのこと。
このスーツの絵付けは、父からの依頼で行ったもの。正月に実家へ立ち寄った際に相談を受け、袖の汚れがかなり悪目立ちしていましたが、ぱっと見て問題なさそうな生地だったので、引き受けることになりました。
それにしても、いったいなぜモチーフにフクロウを選んだのか?うかがうと、着物・呉服業界ではフクロウは「福来郎」「不苦労」と、健康祈願の意味合いもある縁起の良い動物とされ、着物にはよく登場する馴染み深いモチーフなのだそうです。
グレーのスーツを見て、すぐにこれを連想したというやたまるさん。仕上がった作品は、なんだかフクロウが腕にとまっているようにも見え、とてもかわいらしいですよね。
先日これを父に渡したところ、「よくあんな濃い汚れの上に描けたなぁ」と感心。すぐ着用して、「どうだ?」と見せてくるなど、とても満足している様子だったとのこと。ちなみに、やたまるさんの作品は丸洗い可能な絵具を使用しているので、メンテナンスもラクチンだそうです。
また、聞くとこのスーツは、なんでも30年前に購入したもので、父にとって思い入れの深い一着。シミ取りで有名な店に出してみたもののうまく取れず、途方に暮れていたところだったのだとか。
それが思いがけず、我が子の手で見事復活を果たした、という点も、きっと感慨深い出来事だったのではないでしょうか。これからもきっと大切に大切に着続けられていくことでしょう。
<記事化協力>
絵処まほろば工房 やたまる(@yatamaru2)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024022707.html