美術系専門学校の非常勤講師をつとめる傍ら、ライフワークとして人体の可動フィギュアを制作している西村健志さん(以下、西村さん)。
先日完成した作品「オリーブさん」は、手足を曲げたり伸ばしたりできるのはもちろん、正座のような連動性が必要な動きも見事なまでに再現しています。
【 可動フィギュア製作記-36】
1体目が完成しました!
1/8スケール「OLIVE-san(オリーブさん)」と命名。
11月19・20日の #デザインフェスタ に出展します。
この1体目は、触ってもらえるように展示予定です。
では、細かい調整を入れながら2体目の製作に取り掛かります!
この日、「オリーブさん」の完成報告を行った西村さん。
自身の講師としての教材でもあるアプリ「Fusion360」を用いてデータ作成をし、3Dプリンター「Adventurer3」で出力して組み立てた「オリーブさん」は、サイズにして8分の1スケール。「手に顎を乗せる」「横座り」といった動作で、本作の可動性を表現しています。
「ヒトのフィギュアだから当然では?」と思われる方もいるかもしれませんが、実はこれを再現するのはかなりの難作業。
「固い材質で作るフィギュアだと、足を深く曲げても太もも裏の部分が邪魔になって、人間のようなポージングが出来ないんです。そこでハッチを設け、深く曲げたときにふくらはぎの一部がそこに入り込む仕組みを考えました」
また、サイズの異なる2つのギアを膝部分に組み込むことで、関節部分の動きを再現。2つの内部構造で可動するフィギュアという珍しさもあり、とりわけ「膝関節」「もも」に関する西村さんの投稿には多くの注目を集めました。
他の部位にも随所に工夫を施しているという西村さん。肩の背中側にもギアを配置し、肩甲骨の独特の動きを再現しています。お尻はトーションバネを使って、太ももと連動して可動する仕組みにしています。
「『複雑な仕組みで扱いづらそう』と思われるかもしれませんが、仕掛け自体は、歯車やバネを『関節と関節』・『関節と仕掛け』で連動するといったものです。普通の可動フィギュア感覚で動かせるようになっていますよ」
西村さんの投稿には、「デッサン用にも使えるかも?」といった声もありましたが、実は制作のきっかけが、趣味にしている絵画。ポーズを取った人の絵が上手く描けなかったからなのです。
「『人形を作って、それを写真撮影してトレースすればいいんだ!』と思ったのがきっかけでした。ただ、最終的には『絵のモデル』としてではなく、『人形を作ること』自体にハマりましたが(笑)」
ここまで記事を読み、実際に「オリーブさん」を目にしてみたい方もいらっしゃるかと思いますが、つぶやきにもあるように、今月(11月)19日・20日に東京ビッグサイトにて開催される「デザインフェスタ56」に出展予定。
また、西村さんによると「手に取って触ってもらってOKなので、是非、実物の可動性を楽しんでください!」とのことです。
<記事化協力>
西村健志さん(@nishimu_F360)
(向山純平)