1.独り立ちするまでの兄弟は大切な仲間

猫にとって兄弟は、社会性を身につけるための、とても大切な存在です。独り立ちするまでは仲がよく、いつも一緒にいます。しかし、猫は兄姉、弟妹といった認識はありません。また、仲間という感覚もあまりないと言われています。そのため、猫にとって兄弟は「敵ではない」という程度の認識のようです。
生後2〜3週を過ぎると、兄弟同士でじゃれ合ったり、噛んだり、追いかけっこをするようになります。これは単なる遊びではなく、力加減や猫社会で必要なルールを学ぶ「社会化期」の重要な経験です。
母猫や兄弟と過ごすこの時期は、猫にとってかけがえのない学びの時間でもあります。兄弟は家族というより、ともに学ぶ仲間に近い存在なのかもしれません。
2.ニオイで家族を認識している

猫同士は、視覚よりも嗅覚で相手を識別すると言われています。とくに母猫は、生まれたての子猫をなめて体を清潔に保つと同時に、自分のニオイをつけて「自分の子」として認識します。逆に言えば、ニオイが違えば、たとえ血のつながった猫でも「我が子ではない」と判断する可能性があると言えるでしょう。
兄弟同士も、生まれた環境で共通のニオイがあるため、自然と仲間として認識しやすくなるようです。
ただし、このニオイによる認識は時間が経つと薄れてしまいます。共通のニオイが薄れることで、仲間という認識も薄れてしまうと考えられています。猫にとっての家族は、血縁ではなく「同じニオイを共有している相手」と言えるのかもしれませんね。
3.一緒に子育てをする仲間

猫は基本的に単独行動の生き物ですが、母と娘のように血縁関係のあるメス同士が、一緒に子育てをすることがあります。これは「共同育児」や「オールペアレンティング」と呼ばれる行動で、1匹が授乳や食事をしている間に、もう1匹が子猫の世話をするなど分担して子育てをおこないます。
ただし、これは犬のような群れ行動とは異なり、あくまで「ゆるやかな協力関係」といったかかわり合いです。親子だからというより、相性が良くて一緒にいることにストレスがないため成立している関係性だと考えられています。
血縁はあっても、合わなければ別々に暮らす。それが猫の自然な距離感です。
逆に言えば、一緒に子育てをするということは、お互いを信頼し、安心できる相手だと感じているのでしょう。
4.一度離れたら親兄弟でも知らない猫

猫には、人間のような「家族」という概念はありません。そのため、どんなに仲の良い親や兄弟であっても、一度離れてしまうと赤の他猫と同じように接するようになります。
ある程度期間が経つとニオイの記憶は薄れ、見た目だけでは判断できなくなると考えられています。再会しても「誰だコイツ?」と警戒心を見せたり、威嚇することも珍しくありません。
つまり、猫にとって血縁関係は、関係性を築くうえで絶対的なものではないのです。ひとり立ちして離れてしまえば、兄弟であっても「知らない猫」になります。いつまでも仲良し兄弟ではいないのです。
5.血縁関係でも縄張り争いをする

猫は本来、縄張り意識がとても強い生き物です。たとえ親や兄弟であっても、成長して性成熟を迎えれば、他猫として扱い、縄張り争いをすることがあります。とくに、オス同士ではこの傾向が顕著で、実の兄弟であっても敵対関係になるケースもあります。
また、親猫が子猫に対して威嚇することもあり、それは「自立のタイミング」を教えている行動とも言えます。
もちろん、数年後にばったり出会って、兄弟とはわからなくても気が合えば仲よくなる可能性もあったりします。
血縁があるからといって、常に仲良くできるとは限らないのが猫の世界。むしろ、環境や相性、個々の性格によって関係性が大きく変わるのが猫らしいと言えるかもしれませんね。
まとめ

猫は血のつながりを、人間のような家族としては認識していません。親や兄弟に対して特別な感情を抱くのは、あくまで「一緒に過ごした時間」や「ニオイの記憶」がある場合に限られます。
それでも、母娘で子育てを協力し合ったりと、血縁関係が影響する部分も見られます。ただし、それはあくまで相性が合うなどの理由があるからこそ成立する関係です。猫にとっての「家族」は、血よりも「今の関係性」が重要なのです。
そのため、兄弟または親子で迎える場合も人間の感覚を押しつけず、猫なりの距離感や関係性を尊重してあげることが大切でしょう。
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