今あなたの愛猫が目の前にいるとしたら、ちょっと実験をしてみてください。
猫の目の前でいきなりパチンと両手で音を鳴らしたら、きっと愛猫の瞳孔は大きく見開きているはず。
「猫の気持ちは目を見ればいろいろ見えてくる」
と語ったのはイギリスのケンブリッジ大学で生物学を学んだサリー・モーガン。猫が幸せでリラックスしているとしたら、猫の瞳孔は縦長でスリット状になっているはず。逆に明るい場所で猫の瞳孔が広がっていたら、それは何かが起こった「サイン」なのだとか。
人間とは違う猫の体の仕組み。その行動についての最新情報をご紹介します。
■「瞳孔の広がった猫には気をつけよ」
「瞳孔の広がった猫には気をつけよ」この言葉は獣医の卵が教授から早いうちに教わる言葉だそうです。
猫の瞳が大きくなったときは、痛みを感じていたり、急にジャンプをする前触れだったりするかも知れないと言うのです。
猫の瞳の大きさに変化をもたらすのは「闘争・逃走反応」システム。これを知らないと猫に突然噛み付かれたり、引っかかれたりする可能性があるのだとか。
猫の夜間視力は人間の8倍もあるというのをご存知ですか?猫の瞳孔は明るい場所では細くスリット状になりますが、暗い場所では大きく見開かれてほぼ円形になります。
猫の瞳孔の最小のサイズと最大のサイズの差はとても大きく、瞳孔の面積はおよそ300倍にもなります。人間の場合はせいぜい15枚程度ですからこの違いが優れた夜間視力の理由かも知れませんね。
■猫の目が闇に光るのはなぜか?
暗闇でカメラのフラッシュが当たったとき、猫の目がうっすらと緑色に光るのを見たことがありますか?
目が闇に光るのは猫だけではありません。例えば犬や鹿でも同様に光ります。人の目は光らないのにこのような動物の目が闇に光るのは、目の網膜の後ろにある特殊な反射層のおかげ。
この部分は「タペタム」と呼ばれ、鏡のように光りを反射する細胞で埋め尽くされているのです。網膜を通過してタペタムに当たった光は、すべて目の内部へと跳ね返され、光線がいっさい無駄にならないようになっているとか。
このおかげで猫は暗い場所でもよく見えるのだそうです。ちなみに高速道路などのセンターラインに打ち込まれている夜間標識用の鋲を開発したパーシー・ショウは大の愛猫家。彼は猫の目が暗闇で光を反射するメカニズムを参考にこの鋲を開発したそうです。
ですからこの鋲は名前を「キャッツアイ」と言うとか。豆知識として覚えておくといいかも知れませんね。
■猫が甘みを感じない理由とは
糖分は素晴らしいエネルギー源。食べ物に糖分が含まれていることを知る能力は、多くの動物の役に立ちます。
この甘味を感じる能力は、2つの遺伝子が生成されることで形成されますが、猫にはこの遺伝子の1つ、甘味受容器タンパク質の生成遺伝子が抑制されているのだとか。
そのため猫には甘みを感じることができず、また糖を欲しない完全な真性肉食動物。このことを突き止めたのはアメリカのフィラデルフィアのモネル化学感覚研究所の研究員たち。さらに調べた結果、アシカ、アザラシ、イルカも糖を欲しない完全な真性肉食動物なのだそうです。
そのため猫は体内の糖分量を調節する肝臓内の鍵酵素も持たないため、炭水化物は必要ない体なのだそう。
市販のキャットフードの多くに2割程度の炭水化物(炭水化物は糖質と食物繊維から成る)が含まれているのは、ちょっと問題なのではと警鐘を鳴らしています。
これは猫の体の仕組み上きちんと処理できないほどの量なため、近年糖尿病を患う猫が増えているのは、これが原因ではないかと推測しています。
■最後に
猫と人間の大きな違い。それは身体能力の他には、この必要な栄養素が違う体質かも知れません。人間は熊や狼や犬といった多くの動物たちと同様に雑食です。肉食と菜食の両方を行なっています。
こうした動物はみな甘味を感じる2つの遺伝子を持っていて、糖分の味がわかります。たとえば草食動物である馬は角砂糖が大好き。
これらの違いは遺伝子によって決まっているため、「うちの猫だけベジタリアンにしたい」というわけにはいきません。
このような猫と人の違いはしっかり覚えておいた方が安心ですね。