飼い猫の4匹に1匹。およそ22~25%の猫がかかると言われている「腎不全」。日本アニマル倶楽部「犬・猫 死亡原因病気TOP10」によると、猫の死因の第1位は「ガン」で38%。第2位は「腎不全」で22%。そして3位は「猫伝染性腹膜炎」で10%となっています。
この第2位の死因の原因となっている「腎不全」ですが、猫はなぜか他の動物に比べてこの「腎不全」になりやすく、猫の宿命病とも言われています。
■猫の腎不全ってどんな病気?
猫の腎不全とは、その名の通り、腎臓が壊れて機能しなくなってしまう病気です。1度だめになった腎臓は再生しません。塩分の高いフードを偏食する猫や、ウィルス性疾患、慢性の炎症などがこの病気の原因とも言われていますが、はっきりとした原因はまだわかっていませんでした。
猫の腎不全は、最初は無自覚で気がつかないことが多いといいます。この病気は、体内の老廃物を尿として排出する役割を果たしている「ネフロン」という組織が少しずつ壊れてしまうため、だんだん猫が水をガブガブ飲んだり、おしっこの回数が増える、脱水、食欲不振などの症状が出始めるのが特徴です。
しかし今までこの猫の腎不全に対してはっきりとした治療法のガイドラインが確立していないため、猫にとっては「不治の病」。特に高齢の猫にとっては死亡の原因になるほどの恐ろしい病気だと思われていました。
■2016年10月、猫の腎不全の原因が解明!
世界中の愛猫家が待っていたであろう猫の腎不全の原因が、2016年10月、東京大学の大学院、医学系研究科疾患生命工学センターの宮崎徹教授によって明らかになりました。
多くの動物が体内に持っているタンパク質の一種「AIM」。体内の脂肪を融解する働きがあるそうですが、実はこの「AIM」が尿管のつまりを解消し、腎不全を予防するといいます。
ところがなぜか猫にはこの「AIM」が尿管のつまりを解消し、腎不全を予防する働きをしないのだとか。そこで宮崎徹教授は、他の動物から採取したAIMを培養して猫に投与したところ、見事に猫の尿管のつまりを解消し、腎不全を予防することがわかったそうです。
いかがですか。まさに画期的ですよね!猫以外の動物のAIMを猫に投与すれば、猫も腎不全になる確率が低くなる。そうすれば猫の寿命は今よりも10年は伸びる可能性は決して夢ではない、と宮崎徹教授は語っています。
宮崎徹教授によると、この猫の腎不全を予防する薬の開発はすでに始めているそうです。3年後の2019年に実用化されることを目標にしているのだとか。ぜひ頑張って欲しいです!
世界中の猫ラバーの皆様、あと数年で猫の腎不全は「完治可能な病気」になるかも知れませんよ。