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恋愛で「急に音信不通」されたときの心的ダメージが明らかに


「いい感じと思っていたのに、突然連絡がこなくなった……」

恋愛中やマッチングアプリでのやりとりのなかで、こうした経験をしている現代人は増えています。

メッセージを送っても返事がない、既読にもならない。

まるで相手がこの世から消えてしまったかのように、何の説明もなく突然連絡を断つ。

こうした行動を心理学では「ゴースティング(Ghosting)」と呼んでいます。

では、ゴースティングは人の心にどれほどの影響を与えているのでしょうか?

米ウェイン州立大学(WSU)の研究チームがその実態を明らかにしました。

研究の詳細は2025年7月8日付で科学雑誌『Personal Relationships』に掲載されています。

目次

  • ゴースティングは「はっきり断られる」よりも苦しい?
  • 「希望と絶望のはざま」で人は身動きが取れなくなる

ゴースティングは「はっきり断られる」よりも苦しい?

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Credit: canva

研究チームは今回、仮想の恋愛シナリオを用いて、参加者に実際の恋愛に近い体験をさせながら、ゴースティングが人にどのような感情的・行動的影響を及ぼすかを検証しました。

参加者は、仮想の相手「テイラー」と出会い、メッセージのやりとりを重ね、2回のデートに成功したという設定を体験します。

好感触を得た後、彼らは「もう一度会いたい」というメッセージを送るのですが、ここでランダムに3つのパターンに分かれます。

1:「また会いたい!」という前向きな返信

2:「もう会わないでおこう」という明確な拒絶

3:完全に返事がこない(=ゴースティング)

この後、研究者は参加者の感情、自尊心、相手への愛着、SNSなどで相手を追いかけたくなる気持ちなどを調査しました。

結果はどうだったのでしょうか?

まず、ゴースティングされた人も明確に拒絶された人も、受け入れられた人に比べて明らかにネガティブな感情が増し、自尊心も下がっていました。

ここまでは予想通りの結果かもしれません。

しかし注目すべきはその後です。

ゴースティングされた人たちは「もう終わった」と言われたわけではないため、相手への感情的なつながりを捨てきれず、執着や未練を抱き続ける傾向が強く見られました。

実際、彼らはテイラーのSNSを逐一監視する行動や、連絡を再開することを考えたりする傾向が、むしろ「受け入れられた」グループと近い水準にまで達していたのです。

言い換えれば、「はっきり断られるよりも、曖昧に関係が終わる方が心に残りやすい」ということです。

明確な拒絶が「痛みとともに終わり」をもたらすのに対し、ゴースティングは「痛みとともに宙ぶらりんな関係」を残します。

「希望と絶望のはざま」で人は身動きが取れなくなる

この実験は2回行われ、いずれのデータもこの傾向を裏づけていました。

2度目の実験では、さらに「行動意図」に関する質問も加えられました。

たとえば、以下のような行動について「どのくらい実行しそうか」を数値化して測定したのです。

・メッセージを再送する

・相手のプロフィールを見る

・相手がよく行く場所を訪ねる

すると、やはりゴースティングされた人々は、再び連絡をとろうとしたり、相手の情報を探ろうとしたりする傾向が高く、行動的にも「終わりきれない状態」にあることが浮き彫りになりました。

しかも彼らの多くは、「自分がどう思われていたのか」「関係は終わったのか」がはっきりせず、心のなかに「わからない」という苦しみが残っていたのです。

これは心理学で「クローズ(心理的な終結)」が得られていない状態であり、人はこの状態に強いストレスを感じます。

さらに、研究者は別の先行研究も引用しています。

元恋人との接触が続くことで、別れからの回復が遅れることがあるという報告です。

とくに「別れを受け入れられないタイプの人」にとっては、その傾向が顕著だといいます。

つまり、ゴースティングは一見穏やかで角の立たない別れ方に見えますが、実際には相手の心理的回復を大きく妨げてしまう――そんな「優しくない終わり方」なのです。

研究者は今後、実際のゴースティング体験をリアルタイムで記録する方法にも注目しています。

たとえばスマートフォンアプリなどを使って、どの段階で人が「ゴースティングされている」と気づくのか、そしてそのとき人はどんな感情や行動をとるのか――そうしたプロセスをより細かく追跡することで、さらに深い理解が進むと期待されています。

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Credit: canva

この研究が教えてくれるのは、「別れのつらさ」は、その方法によって大きく変わるということです。

ただ沈黙して消えるだけのゴースティングは、「拒絶」の痛みと、「終わったのかすらわからない」という混乱の両方を人に与えます。
そして、そのダメージは、直接「もう会わない」と言われるよりも、心に長く残りやすいのです。

恋愛の終わりに正解はありませんが、少なくとも人に傷を残さないためには、「はっきりと伝える」ということが、いかに大切かを改めて考えさせられます。

全ての画像を見る

参考文献

Psychologists simulate ghosting—and reveal why it’s so damaging
https://www.psypost.org/psychologists-simulate-ghosting-and-reveal-why-its-so-damaging/

元論文

Give Up the Ghost: Emotional and Behavioral Responses to Ambiguous Rejection
https://doi.org/10.1111/pere.70018

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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