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【霊長類以外で初】オウムも餌をディップして「味付け」すると判明!


オーストリアの研究者によって、オウムがブルーベリー味のヨーグルトに餌をディップする行動が確認されました。これは食べ物の風味を意図的に変える行動として鳥類では初めての発見です。過去にはニホンザルなど一部の霊長類で同様の行動が報告されていましたが、鳥類で味付け行動が確認されたことはありませんでした。そのため、この発見は鳥類の認知能力や動物の食文化の進化に関する新たな視点を提供します。実験では、18羽のシロビタイムジオウムが観察され、その多くがブルーベリー風味のヨーグルトを好んでディップしました。研究は今後、他の個体や野生のオウムでの行動も調査予定です。

私たちは毎日の食事で、オムライスにケチャップやマヨネーズをかけたり、パンケーキに蜂蜜を垂らしたり、果物でチョコフォンデュをすることがありますよね。


これは味や香りをプラスして、より美味しく食べるための工夫です。


こうした「味付け行動」はヒトと一部の霊長類でしか確認されていませんでした。


ところがオーストリア・ウィーン獣医学大学(VMU)の研究で、オウムが餌をブルーベリー味のヨーグルトに積極的に浸して食べることが明らかになったのです。


これは単なる餌の洗浄やふやかしではなく、風味を加える明確な目的がありました。


ヒトを含む霊長類以外では初のことです。


研究の詳細は2025年2月10日付の科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。




目次



  • オウムも食べ物の味を調節できる?
  • オウムも「味付け行動」をすると判明

オウムも食べ物の味を調節できる?


画像
シロビタイムジオウム/ Credit: en.wikipedia

私たち人間は、日常的にソースや調味料を使って食事を楽しみます。


しかし、野生動物が意図的に味を調整するという話はあまり聞きません。


これまでの研究では、日本の霊長類であるニホンザルが海辺でサツマイモを塩水に浸して食べる行動が報告されていました(Kawai, 1965)。


一方で、鳥類でこのような「食品の風味付け」行動が確認されたことはありませんでした。


鳥が食べ物を液体に浸す行動自体は、カラスやオウムなどの一部の種で観察されています。


例えば、以前の研究では、今回と同じシロビタイムジオウム(学名:Cacatua goffiniana)が乾燥したパン(ラスク)を水に浸して柔らかくする行動が報告されています(Zewald &Auersperg, 2023)。


ただ、これは「食べやすくする」ための行動であり、味を変える目的ではありませんでした。


そのため、今回の発見は、鳥類における食文化の進化を考える上で非常に興味深いものです。


なぜオウムは食べ物をディップするのでしょうか?


研究チームは、この疑問を解き明かすため、実験を行いました。


オウムも「味付け行動」をすると判明


研究者たちはオーストリアの研究施設において、18羽のシロビタイムジオウムを対象に実験を行いました。


オウムにはジャガイモとヌードルを餌として用意し、少し離れた場所に3種類のディップ用液体(ブルーベリー味の大豆ヨーグルト、中立的な大豆ヨーグルト、風味なしの水)を提供しました。


そしてオウムたちがどの液体に餌を浸すのかを観察しています。


その結果、


・9羽のオウムが食べ物をヨーグルトにディップする行動が確認されました。


・特にブルーベリー風味のヨーグルトに浸す回数が、中立的な大豆ヨーグルトの2倍以上でした。


・風味なしの水にはまったく浸しませんでした。


・ヌードルをディップする回数がジャガイモより多く、食べ物の種類によっても選好が異なりました。


さらにオウムがヨーグルトを舐め取るのではなく、ヨーグルトを付けたまま食べることも観察されました。


これにより、オウムが単なる餌の洗浄やふやかしではなく、「食べ物の味を調整する目的」でディップする行動をとっていることが示されたのです。


この発見は、鳥類の認知能力に関する新たな知見を提供するとともに、動物の食文化の進化に関する研究にも大きな示唆を与えます。


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オウムが餌をディップする様子/ Credit: Jeroen Stephan Zewald et al., Current Biology(2025)

今回の研究は「鳥は味を楽しむのか?」という疑問に対する新たな答えを提供しました。


これまで、鳥類は哺乳類よりも味覚が単純であると考えられていましたが、オウムの行動は「味わう」ことに関する新たな可能性を示唆しています。


さらに、この行動がどのように広がるのかも興味深いポイントです。


研究チームは今後、



  • この行動が他の個体にどのように伝わるのか?

  • 野生のオウムでも同様の行動が見られるのか?

  • 他の鳥類にも「味付け」の習性があるのか?


といった点を調査する予定です。


あなたの家のペットのオウムも、もしかすると「ディップ好き」かもしれません。


今度、好きな食べ物と一緒に風味付きのヨーグルトを出してみると、意外な発見があるかもしれません。


全ての画像を見る

参考文献

Cockatoos prefer their noodles dunked in blueberry yogurt: First evidence of non-primate food flavoring behavior
https://phys.org/news/2025-02-cockatoos-noodles-dunked-blueberry-yogurt.html

元論文

Innovative flavoring behavior in Goffin’s cockatoos
https://doi.org/10.1016/j.cub.2025.01.002

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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