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女性は男性より「毎日3000語多く喋っている」と判明


「女性は男性よりもおしゃべり」という通説を検証するため、アリゾナ大学の研究チームが大規模調査を実施しました。この調査では、10歳から94歳までの2197人を対象に、EARという録音装置を用いて日常会話を記録しました。その結果、女性は25~64歳の間に男性より約3000語多く話すことが判明。ただし、10~24歳や65歳以上では男女の発話量にほとんど差がありませんでした。この傾向は「育児」や「家庭内での役割」の影響と考えられます。また、全体的に人々の会話量が減少しており、これはスマートフォンの普及やSNSの増加が影響していると指摘されています。

「女性は男性よりもおしゃべり」というイメージを持つ人は多いかもしれません。

日常生活の中で「女性の方がよく話す」と感じたことがある人もいるでしょう。

しかし、この通説は本当に正しいのでしょうか?

米アリゾナ大学(University of Arizona)の心理学研究チームは、この疑問を解明するために大規模な調査を実施。

その結果、女性は確かに男性よりも1日に約3000語多く話していることが判明しました。

ただし、女性の方がおしゃべりになるのは、ある年齢層に限られていたようです。

研究の詳細は2024年2月に学術誌『Journal of Personality and Social Psychology』に掲載されています。

目次

  • 「女性はおしゃべり」という通説は本当?
  • 女性はある時期に「おしゃべり」になっていた

「女性はおしゃべり」という通説は本当?

「女性は男性よりも話好き」というステレオタイプは、文化を問わず世界で広く信じられています。

例えば、映画やドラマでは、女性キャラクターが男性よりも活発に会話をする場面が多く描かれます。

また「男性は寡黙で、女性は感情を言葉にするのが得意」という考え方も根強く存在しています。

しかしこれまでの研究では、この通説を必ずしも裏付ける証拠は見つかっていません。

2007年には同じアリゾナ大学の研究チームが「男女の発話量には大きな差がない」ことを調査で報告していました(Science, 2007)。

彼らは500人の男女を対象に調査を行い、1日あたりの平均発話数が男女ともに約1万6000語であることを発見し、 男性と女性の間に明確な差は見られなかったのです。

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Credit: canva

ところがこの研究には難点があり、批判も受けていました。

調査対象のほとんどが大学生であり、特定の地域(テキサス州オースティン)に住んでいたため、より幅広い年齢層や地域での再調査が求められていたのです。

そこで今回の最新研究では、より多様なサンプルを用いて「本当に女性は男性よりも話すのか?」を再検証することになったのです。

女性はある時期に「おしゃべり」になっていた

メール教授らの研究チームは、より多様なサンプルを用いるため、10歳から94歳までの男女2197人を対象に調査を実施しました。

この研究では、EAR(Electronically Activated Recorder)という録音装置を活用。

これはランダムな間隔で作動し、日常会話の断片を記録する装置で、参加者が自然に話す量を正確に測定できることで知られます。

チームは4カ国で行われた22の異なる研究から約63万件の録音データを収集し、解析を行いました。

その結果、性別による会話量の違いは次のように示されました。

  1. 25~64歳の年齢層では、女性が男性よりも多く話していた。
    • 女性の1日平均発話数:約2万1845語
    • 男性の1日平均発話数:約1万8570語
    • 男女の発話数の差:約3000語
  2. 10~24歳、65歳以上では、男女の発話量にほとんど差がなかった。

つまり、「女性は常に男性よりも話す」というわけではなく、特定のライフステージでのみ「おしゃべりにある」傾向が見られたのです。

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Credit: canva

では、なぜ25~64歳の間に女性はたくさん話すようになるのか?

その理由として、研究者たちは「育児」や「家庭内での役割」の影響を挙げています。

25~64歳の女性は子育てや孫の面倒を見たり、家庭の管理を担うことが多く、結果として会話量が増える可能性があるのです。

さらに研究では興味深いことに「人々が全体的に話す量が減っている」という新たな発見もありました。

2005年から2018年にかけて、1日の平均発話数は1万6000語から1万3000語へと減少

これはスマートフォンの普及やSNS・メッセージアプリの使用増加により、人と対面で直接話す機会が減っている影響が指摘されています。

まとめ

今回の研究では「女性は常に男性より話す」という通説は部分的に正しく、特定の年齢層(25~64歳)でのみ女性の発話量が多いことが示されました。

また男女ともに人々の会話量が減少しているという事実も明らかになりました。

デジタル時代において、私たちは「話すこと」をどのように捉えるべきなのか。

この研究はそんな私たちの「コミュニケーションの未来」について考えさせられる結果となっています。

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参考文献

Do women talk more than men? It might depend on their age
https://news.arizona.edu/news/do-women-talk-more-men-it-might-depend-their-age

元論文

Are women really (not) more talkative than men? A registered report of binary gender similarities/differences in daily word use.
https://doi.org/10.1037/pspp0000534

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部

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