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集中力が高い人は初対面の人との交流にストレスを感じないと判明!


マインドフルネス(mindfulness)と聞くと「瞑想」を連想する方がほとんどでしょう。

しかし心理学において、マインドフルネスは「頭に浮かんだ雑念や感情に左右されず、今この瞬間に集中できる心の状態」を指す特性の一つとしても知られます。

そしてオランダ・ラドバウド大学(Radboud University)の心理学研究チームはこのほど、マインドフルネス特性の高い人ほど、見知らぬ相手との交流にストレスや苦痛を感じにくいことを明らかにしたのです。

研究の詳細は、2023年8月18日付で心理学雑誌『Journal of Social and Personal Relationships』に掲載されています。

目次

  • マインドフルネス特性が高い人の特徴とは?
  • マインドフルネス特性が高いほど、ストレスレベルが低い

マインドフルネス特性が高い人の特徴とは?

マインドフルネス特性が高いと、どんなメリットがある?
Credit: canva

マインドフルネス特性は、意識に立ち現れた思考や感情に過度に反応したり、何らかの判断を差し挟むことなく、刻々と移り変わる目の前の出来事に集中できる性質のことです。

これまでの研究で、マインドフルネス特性の高い人は感情調節の能力が高く、抑うつや不安症状、ストレスを感じにくいことが分かっています。

また優劣の観点にもとづいた社会的比較をすることが少なく、フラットな視点で他者と交流したり、物事に取り組む能力に長けているとも指摘されています。

例えば「あの人は〇〇大学の出だから、私より給料もいいんだろう」というような先入観にもとづく勝手な判断をしないなどです。

実際に先行研究の多くで、マインドフルネス特性の高い人は他者に対してバイアスが少なく、協力的な傾向にあることが示唆されています。

そこで研究チームは今回、マインドフルネス特性が「見知らぬ相手」との社会的交流にどのように影響しているかをより詳しく知りたいと考えました。

マインドフルネス特性が高いほど、ストレスレベルが低い

本研究では、初対面の2人組を対象にストレスのかかる協力タスクをしてもらう実験を行いました。

研究に参加したのはラドバウド大学に通う女学生134名です。

(研究者いわく、性別の違いが結果に及ぼす影響を最小限に抑えるために今回はひとまず女性だけを対象にしたという)

お互いに初対面の女学生2人をペアとし、計67組が実験に参加しています。

参加者はまず、マインドフルネス特性の高さを評価するアンケート調査に回答しました。

そして次に、初対面のパートナーと協力して、2つのストレスのかかる作業を行います。

1つはお互いに至近距離(わずか27センチ)で向かい合って、自己紹介をすることでした。

それが終わると、自己紹介中に感じたストレスレベルを個別に報告してもらいます。

もう1つは、ジョイント・コーディネーション・タスク(Joint coordination task)と呼ばれるストレス課題です。

これは一人が小さな穴のあいた輪っかを持ち、もう一人がその穴にポインター(指し棒)を通して、輪っかの縁に触れないよう維持するというものです。

ジョイント・コーディネーション・タスクの図解
Credit: Kim Lien van der Schans et al., Journal of Social and Personal Relationships(2023)

タスク終了後、参加者は初対面のパートナーとの交流(協力タスク)がどれほど好ましかったか、パートナーのタスクに対する注意力がどれだけ高かったか、またパートナーと快適に協力できたかなどを評価しました。

その結果、マインドフルネス特性が高い人ほど、見知らぬ相手との交流で受けるストレスレベルが有意に低いことが判明したのです。

加えて、パートナーとの交流を好ましく思うだけでなく、相手の注意力やミスに対処する能力が高いと感じていました。

つまり、マインドフルネス特性の高い人は、初対面の相手を好意的に捉える傾向が強かったのです。

これと反対に、マインドフルネス特性の低い人ほど、見知らぬ相手とのタスクに強いストレスを受けていました。

マインドフルネス特性が高いほど、初対面の相手に苦痛を感じない
Credit: canva

こうしてみるとマインドフルネス特性の高い人というのは、非常に付き合いやすいいい人であるという印象を受けます。

そうなると当然、マインドフルネス特性の高い人とペアを組んだ方が、自分の感じるストレスは減るように思えます。

しかし興味深いことにマインドフルネス特性の高い人とペアになっても、自分が感じるストレスレベルには影響しないことが示されました。

つまり、パートナーのマインドフルネス特性が高いからといって自分のストレスレベルが下がったり、逆に相手のマインドフルネス特性が低いからといってストレスレベルが高まることはなかったのです。

このことから、マインドフルネス特性の高さは「当の本人がストレスを感じにくくなる」という点でプラスに働くが、交流する相手のストレスレベルを下げたり、相手に好意的に思ってもらう効果はあまりないと見られます。

「あまりない」と注意書きしたのは、それでも参加者のうちに、マインドフルネス特性の低いパートナーに比べて、その特性の高いパートナーとの交流を好ましく感じる傾向がわずかに見られたためです。

その理由は定かでありませんが、考えてみれば、マインドフルネス特性の高い人は相手との交流を好ましく思っているわけですから、その好意的な心情が言動に表れ、相手はそれを無意識的に心地よく感じていたのかもしれません。

皆さんも「ああ、この人、私に苛ついてるな〜」と感じたら、相手との交流は心から楽しめませんよね。

今回の調査結果ではこの点が明確化はされておらずとも、わずかに参加者の報告に表れたと考えられます。

とはいえチームは、今回の研究が若い女性だけを対象としている点で限界があると注意します。

次のステップとして、男性や他の年齢層を含む人々を対象とした調査を進めていく予定です。

全ての画像を見る

参考文献

Mindful individuals experience less distress when interacting with strangers https://www.psypost.org/2023/08/mindful-individuals-experience-less-distress-when-interacting-with-strangers-168484

元論文

Through mindful colored glasses? The role of trait mindfulness in evaluating interactions with strangers https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/02654075221119770
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