猫は新しいものはあまり好きではない?
飼い主さんが愛猫のために高いお金を払って新しいものを買ったり、愛猫が喜ぶだろうと思ってプレゼントを買ったりしても、必ずしも猫が喜んでくれるとは限りません。
むしろ拒絶したり無視したり、敵意をむき出しにして破壊行動にでたりすることがあります。想像していたのとは全く違う反応にショックを受ける飼い主さんは多いです。
猫が新しく買ったものに対してこのような反応をするのは、猫が新しいものを苦手とするからです。猫にとっては、高価であるとか良い製品であるとか最新型であるということは関係がありません。「新しいものを持ってきた」という時点でありがた迷惑になってしまうのです。
猫がそこまで新しいものを苦手に感じるのはどうしてなのでしょうか。これから2つの理由をご紹介します。
理由その1:縄張り意識が強い
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猫の種類や性別に関係なく、猫には強い縄張り意識があります。もともと猫は単独行動をする動物で、それぞれの猫がお互いの縄張りを尊重し、適度な距離感を保つことによって無用な争いを避けるように暮らしています。
縄張りは「1匹の猫専用のテリトリー」ということなので、知らないものがテリトリーにあるということは猫にとって一大事です。
野生の猫にとって縄張りは、食べ物を調達し、安心して寝れる場所を確保し、子どもを育てる大切なプライベートゾーンです。そのため定期的に縄張りをパトロールして、異常がないか、安全か保たれているかを徹底的にチェックします。
縄張りを守ることは命を守ることと直結しているので、もし侵入者や新しいものを発見すると、怒って追い出したり、マーキングをして自分の管理下に置くなどすぐに対処します。
この習性は人間と暮らす猫たちにもしっかりと残っており、家の中に自分の縄張りを作って定期的にパトロールしています。
そしてテリトリー内に新しいおもちゃや家具を発見しようものなら「侵入者あり!」「危険物発見!」と警戒心をむき出しにします。
縄張りには猫グッズ以外も含まれる
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「飼い主さんが買った新しいバッグや洋服におしっこをかけられた」という話を聞いたことはありませんか?これはいわゆるマーキング行為です。「自分の縄張り内に、自分の匂いのついていないものを発見したので匂いをつけた」という状況です。
猫には、自分のものと飼い主さんのものという区別はつきません。縄張りにあるもの全てに目を光らせているので、飼い主さん専用のものであろうと、何か新しいものを発見したらマーキングするか排除しようとします。
それが無理なら隠れるといった行動に出ます。いずれにしても、新しいものは壊されたりおしっこをかけられないようにしまい込むのがベターです。
理由その2:家に懐く
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「犬は人に付き、猫は家に付く」といういい伝えがあります。これは、犬は飼い主さんに従うのに対し、猫は住み着いた場所に執着するという意味ですが、見事に猫の性質を表した言葉です。
犬は基本的に飼い主さんに注意を向けているので、飼い主さんが一緒であればどこであろうと安心します。一方猫は、住まいや食事を提供してくれる飼い主さんよりも、場所そのものに対して安心感を抱く傾向があります。
どんなに愛情深い飼い主さんがいても、また長年世話をしてもらっていても、飼い主さんが提供してくれいる家、つまり自分のテリトリーに注意が向きます。そのため、居住環境が変わることを極端に嫌います。
新しいものが1点でも「自分の家」の中に入ると、安心できていた場所に変化が起きてしまうので不快に感じます。
仮に大好きな飼い主さんが買ってきたベッドでも「飼い主さんが買ってきたのだから大丈夫」と思うことはありません。むしろ「何これ知らない!嫌だ!」「自分のテリトリーに変なものがある!」となってしまうのです。
模様替えも苦手
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猫にとって居住空間の変化は、私たちが想像する以上に精神的ダメージがあります。実際、何か新しいものが加わるわけではないのに、部屋の模様替えにですら反応します。家具やその他の物の配置が違うだけで、戸惑って緊張する猫は多いようです。
飼い主さんが「雰囲気が変わって新鮮だ」と喜んでいる隣で、猫は「いつもと違う。居心地が悪い」と感じているかもしれません。
猫にとっては、何の変化もない、いつも通りの慣れ親しんだものに囲まれるのが一番安心できることなのです。
ですから、引っ越ししたり、新しく家に引き取られたたり、同居人に変化が会った時には、どれほどのストレスが猫にかかるか想像してあげましょう。猫の気持ちが分かると、新しいものや環境に対する猫の拒絶反応にも辛抱強く接することができます。