猫は時々吐くことがあります。中には前触れもなく吐いてしまう猫もいるので、飼い主さんたちもビックリしてしまうことがあるかもしれません。それでも、猫が吐く理由を知っておくことで落ち着いて対処ができるようになります。ここでは、猫が吐く原因と対策をご紹介します。
猫が吐く原因①:毛玉
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猫が吐く原因として最も多いのは「毛玉」です。猫にとって毛玉を吐くことは大きな問題ではありません。頻度や吐き方を確認して、正しく対処してください。
どのように毛玉を吐くの?
月に数回、もしくは半年に数回嘔吐することがあるかもしれません。苦しそうに吐き出した吐しゃ物の中に毛玉が含まれているなら、主に毛玉が原因だと考えられます。
毛玉を吐く頻度は猫の種類や個体によって異なるので、あなたの愛猫がどれくらい頻度で吐いているのか知っておくことが大切です。
どうして毛玉を吐くの?
猫が毛玉を吐くのは、グルーミングの際に毛を飲み込んでしまうことが原因です。猫は私たちが考えている以上にたくさんグルーミングするものです。
飲み込んだ抜け毛は胃で消化することはできません。通常は便として排出されるのですが、毛の量が多い時には食道で毛玉として詰まってしまい、吐き出す必要が生じるのです。
ですから、抜け毛が多い時期にはどうしても毛玉を吐くことが多くなりますし、長毛種であることも毛玉吐きの頻度が多い原因といえます。
毛玉吐きの頻度を少なくするには?
毛玉吐きには個体差がありますが、最近頻度が増していると感じたり、とても苦しそうにしていたりするなら対処が必要です。
大切なのは猫がグルーミングをしても大量の毛を飲み込まないように、定期的にブラッシングをして、抜け毛を極力減らしてあげることです。また、猫の負担にならない程度にシャンプーしてあげることも大切です。
猫専用サプリメントの「毛玉除去剤」なども販売されており、排便によって毛玉を除去しやすくしてくれます。ただし、それらによって胃腸が強く刺激される場合もあるので、かかりつけの獣医師やトリマーなどに相談して様子を見ながら与えるようびしてください。
猫が吐く原因②:病気
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病気が原因で猫が吐いてしまうこともあります。気付かないうちに病気を抱えていたり、重大な病気が進行していたりするので、それぞれの病気特有の症状を知っておくことは大切です。
胃腸の病気
胃や腸にトラブルを抱えている場合、それらは嘔吐や下痢などの症状として表れるでしょう。体調不良が胃腸炎に繋がることもありますし、体に合わないものを食べることで胃腸炎になることもあります。
また、胃に腫瘍ができてしまうこともあります。食欲が無くなったり、嘔吐を繰り返したりするなら、腫瘍を疑ってみると良いでしょう。
「最近体重が減少しているな」と感じたら、食事の様子を観察してみてください。胃腸のトラブルをすぐに発見してあげましょう。
中毒
猫たちは「防衛反応」として吐くことがあります。猫にとって毒となるものを食べてしまった時にはすぐに吐き出そうとします。
もちろん、吐いたからといって安心できるわけではありません。食べ物の中には猫が少し食べただけで中毒症状を引き起こすものがありますし、中毒症状の1つとして「嘔吐」を繰り返す場合もあるからです。
よく知られていることですが、タマネギなどのネギ類、またチョコレートなどは猫にとって有毒です。自分から口に入れることは稀ですが、飼い主は猫の活動範囲にそれらを放置しておくことのないようにしましょう。
仮にそれらを食べてしまった場合、中毒症状が進行して下痢、痙攣、衰弱などが表れることもあります。最悪死に至ることもあるので、すぐに病院に連絡するようにしてください。
寄生虫
子猫などがよくかかりやすいものに「寄生虫病」があります。猫回虫と呼ばれるものが原因であり、多くの場合、嘔吐や下痢が伴います。
吐しゃ物の中に、白くて細長い虫が含まれているか確認してください。これが回虫です。猫回虫は、感染した猫の糞やネズミなどの小動物を介して感染することがあります。また、お母さん猫から感染することもあるので要注意です。
ただし、猫回虫は致命的なことにはならず、便の検査などで簡単に発見できるので安心です。定期的な検査を行ってあげましょう。
また、猫回虫の他にも様々な種類の寄生虫は存在します。これらも同様に、嘔吐や便を観察することで発見できます。違和感があるなら検査するようにしてください。
腎疾患
猫は腎疾患になりやすい動物だとご存じでしょうか?
通常、体内の毒素は尿によって排出されるのですが、腎疾患になることでこの機能が低下し、体中に毒素が回ってしまいます。
腎疾患になると、猫の体調が全体的に悪くなります。下痢や嘔吐、また食欲の低下などもみられるでしょう。症状が進行すると命にかかわる場合もありますので、早めに病院で検査してもらってください。
猫の吐く原因は様々ですが、「吐く行為」と同時に「体調の悪化」が観察されるなら、病気の可能性が高いということが分かります。
猫が吐く原因③:消化不良
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単純に消化不良で吐いてしまうこともあります。日頃から猫の食べ方を観察しておくことで、いち早く原因を発見することができます。
どうして消化不良になるの?
猫が消化不良になるのは、食べ慣れていないものを食べたことが原因になる可能性もあります。
例えば、普段はキャットフードばかり与えているご家庭で、時折人間食を与えてしまう可能性はゼロではありません。このような普段食べ慣れていないものに胃がビックリしてしまうことがあるのです。
人間と猫では体内にある酵素の種類が異なるといわれています。猫は肉食であり肉の消化が得意ですが、野菜の消化は不得意です。「健康的なごはんをあげよう」と考えて野菜たっぷりのごはんを作ってしまうと、消化不良で下痢になるか吐いてしまうでしょう。
さらに、大量に食べたり、急いで食べたりすることも消化不良の原因となります。
消化不良を起こさないためには?
消化不良にならないようにするには、「猫の体にあったものを、適度な量だけ、ゆっくりと」食べるさせることが大切です。
市販のキャットフードであれば成分表や量の目安を守ることで解決に近づきます。また、ゆっくりと食べてもらえるように少しずつ与えたり、あえて食べづらい器でごはんを与えたりすることも効果的です。