オス猫の発情期とは
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発情期の猫は子孫を残すために様々な行動に出ます。中には人間にとっては迷惑に感じる行為もあります。
ここではオス猫の発情期について見ていきたいと思います。発情するとオス猫はどんな行動に出るのか、発情期の対策方法についてもご紹介していきます。ではまず、オス猫はいつ頃から発情期に入るのか取り上げていくことにしましょう。
オス猫は生後3か月を過ぎたころから性成熟の準備が始まって、陰茎が発育してきます。それと同時に別の猫に乗りかかって腰を振るマウンティング行為をするようになります。
さらに、他の猫のうなじにかみつくといった交尾の予行演習のような行動も観察されるでしょう。早い猫ともなると、生後5~6か月ころには精巣機能が発達し、交尾が可能になってきます。
オス猫の発情期はメス猫次第
とはいえオス猫の場合は、メス猫のように発情期があるというよりも、メス猫の発情期に合わせてオス猫の発情期も来るといった方が正しいかもしれません。
オス猫にはメス猫のように決まった発情期はなく、メス猫が発する発情期のにおいを嗅ぐことで刺激されて発情します。つまり、発情期のメス猫が近くにいればオス猫はいつでも交尾態勢に入ってしまうのです。オス猫の発情期はメス猫次第といえるでしょう。
メス猫の発情期とは
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では、そんなオス猫の発情に大きな影響を与えるメス猫の発情期についてみてみましょう。
メス猫の発情期は日照時間と大きく関係しています。日照時間が長くなってくる1月頃から9月頃まで発情期を迎え、約2か月の妊娠期間を経て春ごろから出産をします。年に2~3回の発情期を迎え、期間には個体差があるものの平均すると1~3週間程度だといわれています。この周期を繰り返しています。
メス猫の発情期の行動
では発情期を迎えたメス猫にはどんな行動がみられるでしょうか?
発情期を迎えたメス猫はオスを誘うために大きな声で鳴くようになります。また相手を見つけるために外へ出たがるようになります。
さらに自分のにおいを付けるために家具などに体をこすりつけたり、オス猫のようなマーキングを行ったりします。トイレ以外の場所でも排せつするようになるなど、多くの困った行動をとるようになります。
特にいろいろなところでおしっこするようになると掃除が大変ですし、大きな声で鳴くのも近所迷惑になってしまいます。
発情期の猫の鳴き声は独特で、甲高くまるで遠吠えしているかのように鳴くこともあります。他にはやたらと飼い主さんに甘えるようになるなど、かわいい一面も見せるようになります。
オス猫の発情期の特徴
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メス猫はこのように発情期の時期が決まっており、妊娠の準備に入ります。
ところがオスの場合は、上記でも触れましたがメス猫のような発情期というものはなく、精巣が十分に発達しており、なおかつ発情したメスがいればいつでも交尾するようになります。自ら発情するのではなく、メス猫の発情に誘発されて自らも発情するといった具合です。
ではオス猫が発情するとどんな行動に出るでしょうか?いくつかの特徴をみてみましょう。
スプレー行為
オス猫が発情した時に見せる最大の特徴は「スプレー行為」です。
スプレー行為とはマーキング行為ともいうことができます。家の中のソファー、カーテン、壁など様々な場所におしっこをかけて自分のにおいを残そうとします。こうして自分の存在や縄張りを主張するのです。
このスプレー行為のなにが問題かというと、おしっこのにおいが普段よりも強烈になることです。そのため夏場などは猫のおしっこのにおいが家じゅうに充満し、飼い主泣かせの行動になるといえるでしょう。
一度でも発情期を迎えてしまったら、スプレー行為はなかなか直らないといわれています。
大きな鳴き声
その他の特徴は「大きな声で鳴く」というものです。
発情期を迎えたオス猫は大きな声で鳴くようになります。普段のかわいらしい「みゃー」「ニャー」ではなく「アォーン」といった独特な鳴き方をします。これは自分の存在をメス猫に知らせたり、他のオス猫へ威嚇したりする意味もあります。
特に猫は夜行性のため、夜中にかなり大きな声で鳴かれると近所迷惑にもなります。ご近所トラブルで困っている方は少なくないようですよ。
攻撃的になる
さらにオス猫は発情期になると攻撃的になります。
メス猫に自分が強いことをアピールし、生命力の強さを見せつけ自分を選んでもらうために、他のオスと喧嘩をするようになります。
時には猫同士の喧嘩だけではなく、人間に対しても攻撃的になりひっかりたり噛みついたりしてくるため、発情期のオス猫への接し方には注意が必要です。
また中には、メス猫が出産直後にオス猫が仔猫をかみ殺すということもあるようです。なんとも怖い話ですが、メス猫は子供を失うとすぐに交尾が可能になるため、それを狙ったオス猫が子猫を殺して交尾しようとするということもあるのだとも言われています。
このように、発情期のオス猫は非常に攻撃的になっていることが分かります。
脱走
発情期のオス猫はメス猫に会うために脱走することがあります。メス猫に会いたい気持ちが非常に強くなるため、脱走する手段もすごいです。
飼い主がドアを開けたわずかな瞬間、わずかな隙間から外に出ることもありますし、自力でドアを開けて出ていくこともあります。中には網戸を破って脱走する強者もいますよ。
発情期のオス猫はこのようにすごく外に出たがるので、脱走に注意が必要です。
食欲不振
発情期のオス猫は食欲がなくなることがあります。食欲よりも性欲の方が大きくなって、食べているどころではなくなるのでしょう。
オス猫の発情の周期と期間
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ここまでオス猫の発情期の特徴をみてきました。非常に迷惑な行為もいくつかありましたね。ご近所トラブルの原因ともなりかねない行動も見られます。
ではこういった行動がみられるオス猫の発情期の周期や期間をみてみましょう。
上記でも何度か述べましたが、早い猫ですと生後5~6か月ころには精巣が十分発達し、交尾ができるようになります。一般的には、本格的に性機能が成熟する9~12か月頃には交尾が可能となります。
交尾が可能かどうかは、陰茎が成熟しているかどうかで見分けることができます。陰茎に棘(とげ)が生え始めたら成熟している証拠です。
こうして性機能が成熟したのちは、メス猫の発情期に刺激されて発情するようになります。ですから具体的にいつからいつまでといったように、周期や期間が決まっているわけではありません。
ただメス猫の発情期が関係していると言えるので、一般的にメス猫が発情する春から秋にかけて、オス猫も発情期に入るといっても良いでしょう。
ただしこれは外で生活している猫で考えた場合です。完全室内飼いの場合はまた異なってくるかもしれません。
メス猫の発情期は日照時間と関係していると述べましたが、この日照は人工照明も影響します。そのため1日12時間人工照明があるところで生活していると、季節に関係なく発情期が起こるでしょう。発情期の回数もたくさん来るかもしれません。
もしもオス猫とメス猫で多頭飼いしている場合、メス猫が避妊手術をしていなければ、メス猫の発情に合わせてオス猫もそのたびに発情するでしょう。
逆にオス猫を単独飼いしており、高層マンションなどで外の世界と完全に分けられた空間で生活している場合、発情の機会も少ないかもしれません。
オス猫は去勢手術をしない限り、生涯性欲をキープします。ですから高齢になったとしても、発情したメス猫が近くにいれば発情するのです。