
「海が近いから―――」
小野リサ がそう静かにつぶやいて、はじまった Vou te contar (Wave:Antônio Carlos Jobim)からは、いままでにない“シアワセ”を感じて、涙あふれて。いや、想いあふれて (Chega de Saudade) ―――。
いやその前からだ。エメラルドのドレスに着替える前、小野リサ は、ピシッとした白いジャケットでギターを抱えてしれっとステージにあらわれ、開演1時間前から、フルメンバーでリハをたんたんとすすめていく。
そのリハから、非日常。小野リサ が奏でつむぐボッサノーヴァ(Bossa Nova)のさきに、フェラーリF355 や、ホンダ プレリュード(前奏曲)がみえる。
ここは、オートモビル カウンシル AUTOMOBILE COUNCIL 2025 @幕張メッセ(4/11~4/13)

大学生時代、昼はサークル新棟3階で酒呑んでギター弾いて歌って笑って、酔っぱらいと綱渡り芸人(O bêbado e a equilibrista:João Bosco)。
危険物取扱者免状をとって深夜に給油所でバイトして、最初に自分で買ったクルマが、ホンダ プレリュードAB型だった。
その AB が、酔いしれる歌声を放つ 小野リサ の先にみえる。自分のサンバの先輩が、一時期 小野リサ といっしょにいたな…なんて野暮なことも思い出しながら。
後半の サンバ・ヂ・ウマ・ノタ・ソ(Samba de Uma Nota Só/One Note Samba:Antônio Carlos Jobim)は、誰にも聞こえないように、となりの妻にも聞こえないように、小野リサ といっしょに歌った(泣)。いや妻も歌っていたはず。同じブラジル音楽サークルだったから。
いま、大阪の出張を終え、新幹線 のぞみ 280km/h の車内で、小野リサ が オートモビルカウンシル2025@幕張メッセ で歌った「I Wish You Love」を聞きながら、浜名湖のきらきらな水面が高速で過ぎ去っていくなかにいる。
走馬灯のように、というけど、ほんと新幹線 のぞみ のように、あっという間の半生だった。
自分が乗っていたプレリュードの次のモデル BA 後期型のCMを制作した広告系へ新卒で入り、DTP(死語)移行前夜から出版社で自動車雑誌や鉄道雑誌、旅行誌、ムックを渡り歩き、フリーランスになって、こうしてオートモービルカウンシルにいれることは、シアワセだ。
「これでよかったのか」と酒飲みながら吐いたりするけど、オートモビルカウンシル2025@幕張メッセ の3日間は、仕事を忘れて、新幹線 のぞみ のように “クルマ文化のすばらしさと自分の半生”を高速レビューしたシアワセな時間だった。
小野リサ の次、森山良子の圧倒的なパワーと、クルマエピソードも、ほんと、ほんとうに楽しかった! 感動した! またこんど記す。
―――自動車の、音楽の、出会いのすばらしさを、あらためて五感フルで体感し、感動した。ありがとう幕張。
オートモービルカウンシル実行委員会 加藤哲也 共同代表 率いる関係者みんながめざした「ここでしか味わえない感動」を、ご本人・なかの人たち以上に体感して、もっと記したいことがいっぱいあるけど、「この列車は時刻通りに小田原を通過しました」とアナウンス。
来年も、ずっと続けてほしい、オートモービルカウンシル。ここでいったん、ふたたび日常へ。
自動車の むかし いま 未来、音楽、出会い、この場を共有するみんなに乾杯!
