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スポーツキャリアサポートコンソーシアム Athlete Career Challenge カンファレンス 2024 開催_競技を通じて培われるアスリート人材のチカラを社会へ、アスリートのキャリア開発 最新事例を共有


「今年はパリオリンピック・パラリンピックが開催されます。このパリ五輪代表選考にもれたアスリート、パリ五輪へ出場した選手たちが引退することが予想されます。

我々の調査・研究によりますと、アスリートは現役時代から引退後のキャリア設計を立てている人ほど、スムーズに引退し、セカンドキャリアとして活躍できることがわかっています。

そうしたアスリートの意識を変革していくためにも、我々は活動を注力していきたいと考えています」

―――そう語るのは、スポーツキャリアサポートコンソーシアム SCSC 高橋義雄 会長。

スポーツ界、経済界、教育界など110の団体・法人などが参画するスポーツキャリアサポートコンソーシアム(SCSC)は3月2日、アスリートのキャリア形成を支援、ライフキャリア向上をめざす「Athlete CareerChallenge カンファレンス 2024」を都内で開催。

アスリートのキャリア開発に関する中央競技団体の取り組み、プロチーム・企業スポーツをもつ企業の最新取り組み事例、アスリート人材の可能性、ACCの活動事例などを共有した。

アスリートのキャリア開発に関する中央競技団体の取り組み

<登壇者>
松田丈志氏(JOCアスリート委員会委員長/セガサミーホールディングス株式会社 ファシリテーター)
立花泰則氏(公益財団法人日本体操協会情報医科学アンチ・ドーピング委員会委員長)
長野宏美氏(公益財団法人日本テニス協会アスリート委員会副委員長)
清野隼氏(公益社団法人日本ボブスレーリュージュスケルトン連盟医・科学部長 桐生大学/JOC専任ハイパフォーマンスアシスタントディレクター)

―――

長野宏美氏は、JOCアスリート委員会の取り組みについて紹介し、「継続の視点を忘れず、理念を共有しながら成功体験を増やし、持続可能な取り組みとしてすすめていくことが重要」と言及。

立花泰則氏は、公益財団法人日本体操協会の取り組みについて紹介し、今後の同協会の活動において「ジュニア期のSCSC研修会の必要性を感じている。ここでは保護者にも参加してもらい、子どもたちとともにデュアルキャリアを学び、子どもたちをサポートする協力者になってもらう。デュアルキャリアの考え方や取り組みを通じて、スポーツの価値をさらに向上させたい」と伝えた。

また清野隼氏は、中高生時代からキャリア形成について考える機会をつくっていかなければならないと伝えたうえで「ひとりで考えるのではなく、ともに同じ目線で支え合う関係をつくり、それが自らのすすむ道を決める、切り拓くことのできるアスリートの成長につながる」と、SCSCとの連携の重要性を語った。

そしてファシリテーターの松田丈志氏は、「教育の大切さというものを皆さんが強調されていたと感じます。当然、子どもへもそうですが、コーチ、親に対しても、スポーツを通じて得られる学び・チカラをしっかりと伝えることが大事ですね。また競技後の人生のほうが長いわけですから、社会につながるスポーツであることを我々が体現して、仕組みをつくって今の子どもたちに提供していきたい。またSCSCのように外部でアスリートのキャリアをサポートしようという団体がたくさんある。ぜひそうしたサポートを活用してほしい」と結んだ。

プロチーム・企業スポーツをもつ企業の取り組み事例

<登壇者>
田沼泰輔氏(株式会社ダイバビリティ総合研究所代表取締役所長/事業構想大学院大学特任教授 ファシリテーター)
浅井公一氏(NTTコミュニケーションズ株式会社ヒューマンリソース部
人材・組織開発部門キャリアコンサルティング・ディレクター)
山之内克憲氏(トヨタ自動車株式会社スポーツ強化・地域貢献部企業スポーツ室強化・教育グループ)
山根成友氏(株式会社DeNAベイスターズチーム統括本部チームディベロップメント部部長)
友井川拓氏、上田竜太郎氏(元ラグビー選手NTTコミュニケーションズ株式会社)

―――

浅井公一氏は、社員選手が引退後のキャリアを描けないといった課題を解決すべく、キャリア専門家たちが集まり「C-Rocks」を立ち上げ、「現役選手やOBに社業でのキャリアの描き方を教えることが重要。また、引退後もビジネスの幹部になれるような人材を育てていきたい。そこには、アスリート向けキャリア指導ができるマネージャーの育成も必要」と。

また山之内克憲氏は、トヨタ内でセカンドキャリアを考える環境整備の一環として、アスリート職種を2023年10月に新設したことについて言及。「大卒・高卒・女性などでだいたい決まっていた職種をやめ、事技職・技能職・業務職などを選べるようにして、早いタイミングからキャリア形成の意識向上につなげている」と伝えた。

さらに山根成友氏は、選手を取り巻く環境としてのスタッフ・コーチ自身の学びや一体感を醸成する取り組みを続けてきたことを伝え、「DeNAベイスターズのなかでいま一番ほんとうに取り組んでいること」として、「組織の前提を揃えることが、パフォーマンスの向上につながる」と説いた。

そしてファシリテーターの浅井公一氏は、こうしたプロチーム・企業スポーツをもつ企業の取り組み事例を共有し、「アスリートがそのスポーツに取り組むことで育まれた能力として、PDCAを回していく力がすごくあるのではと思います。自分の目標をどう達成していくかを絶えず取り組んでいく。これがセカンドキャリアのなかでも非常に応用力があると思います。要は、そのあたりをどう気づくか。そのきっかけとなる事例だった」と語った。

アスリート人材の可能性

<登壇者>
田沼泰輔氏(株式会社ダイバビリティ総合研究所代表取締役所長/事業構想大学院大学特任教授 ファシリテーター)
丹野朝香氏(元ソフトボール選手企業スポーツ選手⇒農業)
山田貴子氏(元陸上長距離選手企業スポーツ選手⇒広島市立高校教諭)
杉原龍馬氏(元サッカー選手Jリーガー⇒外資系証券会社)

―――

「アスリート人材の可能性」と題したプログラム3では、アスリートから農業・教育・証券の世界へセカンドキャリア転身した3人が登壇。

横浜フリューゲルスでJリーガーとして活躍した杉原龍馬氏は、引退後、20年以上勤めた金融業界を去り、国家資格キャリアコンサルタントを取得して独立。リアルアスリートを設立し、アスリートやスポーツに関わるすべての人々・団体・組織・家族に特化したキャリアコンサルティングを展開する。

「アスリートと同じ目線に立って、同じ言語で話せるとアスリートってすごく安心する。そういう Athlete CareerChallenge の活躍に期待してるし、連携していきたい」とも話していた。

ACCの活動事例

<登壇者>
藤田真也氏(特定非営利活動法人キャリアカウンセリング協会理事長 ファシリテーター)
坂田賢二氏(センコーグループホールディングス株式会社)
善福真凪氏(一般社団法人国際スポーツキャリアセンター代表理事)
正垣源氏(株式会社スポーツフィールド)
鳥木千鶴氏(朝日放送テレビ株式会社)

―――

社会人野球を経験してきた坂田賢二氏は、ACCとして今後実現したいことについて、「スポーツのチカラで人・組織のパフォーマンスを高め、笑顔あふれる未来をつくる」と宣言。

プロチームや実業団などのトップスポーツ選手・指導者に対してパフォーマンス向上やチーム強化につながるプログラムを開発・提供していくと伝えた。

また、東京ベルディ・バンバータU-15軟式監督として、野球を通じて「自分で考え、自分で決めて、自分で動くことができる大人」への成長のきっかけを提供していきたいとも語った。

善福真凪氏は、国際スポーツキャリアセンターの今後の計画について、プラスアルファ思考でスポーツキャリアを進化させると言及。「これまでのサッカーという種別以外の他競技にフィールドを広げ、支援と教育という観点で ACC と交流しながら、アスリートの現役中はもちろん、引退後も最大限に力を発揮できるよう、キャリア支援を展開していきたい」と伝えた。

元パラアスリートの正垣源氏は、「パラアスリートたちへの競技外の研修を展開していきたい」と伝え、今後3年間のアクションプランとして、「講師としてのレベルアップ」「新規研修開発」「外部発信」「スポーツ団体への貢献」を掲げ、キャリア関連の相談窓口を新設していくプランも語った。

朝日放送テレビ人事局課長の鳥木千鶴氏は、同社でのACC活動について「一番身近なアスリートに問いかける」「高校にスポーツキャリア教育を提案」「公立高校でサッカー大会」などの実績を紹介。

今後の展開について「部活経験からキャリア・アンカーを見つけられるようなアセスメントの開発などをサッカー大会参加校の協力を得ながら展開していきたい」とも伝えていた。

―――最後に、スポーツキャリアサポートコンソーシアム事務局長 竹原啓二氏は、「今回のカンファレンスで皆さんもいろいろアイデアが湧いたんじゃないかと思う。また来年、ここで集い、よりよいアスリートのキャリア支援が推進できることを期待している」と参加者に呼びかけ、閉幕した。

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